大前研一の株式・資産形成講座メールマガジン   2012/2/22(水)  
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本文タイトル
『日本における2012年度の国民負担率39.9%』

●政策金利を据え置き ~オーストラリア準備銀行~

 先進国の金利を見ると、豪ドルは比較的高いところに止まっています。現実には、定期預金などは期間にもよりますが、5%から6%の金利が付きます。豪ドルは為替としては乱高下しがちなもので、特にここしばらくは円高でしたので、豪ドルでは為替で損をした人が多いと思います。


 ただ長期的に見ると、為替は55円近辺から、120円まで動いているのです。さらに、もっと長い期間置いておくと、やはり金利差が大変効いてくるので、豪ドルは一喜一憂するためにちょっと入ってちょっと出るというものではなく、長期的に運用するには良いのではないかと思っています。

 海外に目を向けると投資のチャンスは多くあります。オーストラリアのリゾート地にはアパートがたくさんありますが、買った人はそれをマネージさせています。レンタルプールと言うホテルのような組織が建物ごとにあり、ホテルと同様に部屋を借すことができるのです。家財道具は全部付いており、掃除やリネン類もすべて任せてよいのです。人気のスポットのマンションはだいたい5%?6%で回ります。

 つまり、安い値段で買っておけば、銀行に預けた場合よりも良い収益が期待できます。オーストラリアの不動産はこのところ上がり続けているので、その分のキャピタルゲインと、経費を除いて5%で回るのとで、実際それが金融商品になっているというわけです。そして、売りたいと思えば売れるのです。ブリスベンやシドニー、メルボルンの人が持っているケースが多いのですが、皆自分が使うのは数日です。法律では、年間42日だけはオーナーが使ってもレンタル物件として認められます。

 カナダにも同様のシステムがあり、別荘を持ったらまず貸し出します。カナダの場合はオーナーが使用できるのは年間12日です。このようなシステムやサービス会社ができてくると、こうしたものは経費ではなく、投資になるわけです。さらには銀行預金よりもリターンがいいのです。

 アメリカでも、フロリダ辺りにある別荘は全てこのやり方です。そのおかげで北の方の人は、老後に住む不動産をを安心して購入できるのです。人に貸してマネージしながら経費で落としていって、そしてその不動産がうんと上がった頃に、北の不動産を売って、南の方に住むのですが、北の不動産を売った分が退職金にもなるわけです。アメリカ人は貯蓄がないと言われますが、実際は、そうしたものが経費、投資になり、貯蓄にもなっているのです。

 こうしたシステムがないところが、日本が不動産を含めて活性化しない一つの原因なのでしょう。日本にはこういうシステムがないので、みな別荘を持つのをいやがりますが、こうしたちょっとしたサービスのアイディアを絵として描く会社がなぜ日本に出てこないのか不思議で仕方がありません。


●中国からの資金逃避を促す根深い格差

 日経ビジネスでも特集として、日本から資本逃避が起こり始めていると掲載していますが、当たり前のことです。歴史的な円高で、海外では安い物件がたくさんあるわけですから、当然、資本逃避が起こります。ただし、日本は記事が伝えているほどは逃避が起こっていません。それが中国では派手に起こっているわけです。

 やはり中国人は、歴史的なバブルが崩壊し始めたと分かっているので、結構資本逃避が激しいのですが、それが香港経由かマカオ経由が多いということです。それから、さらに「裸官」という問題があります。これは、役人で、奥さんや子どもを既に海外に逃がしてしまっていて、自分が単身で中国で頑張っているというものです。

 いざ、中央の追求が始まった時には、当然ですが逮捕されます。ですから、奥さんにアメリカ国籍を取らせておくなどしていつでも逃げられるようにしているのです。先週のニュースではそういう人が112万人いるというのです。すごい数です。100万人以上の家族が香港を含めて海外に出てしまっているのです。つまり中国の汚職、贈収賄の根の深さがわかります。

 中国では、貧乏な官僚はいないと言われていますが、同時に給料の高い官僚もいないと言われています。これが腐敗の大きな根源で、中国の非常に深刻な問題です。また同時にその人たちはお金を外へ出してしまいます。自分の銀行口座に溜めておくようなバカな官僚はいないので、香港、マカオが流行ってしまうという構図なのです。


●中国 最低賃金を5年で2倍へ

 日本の場合、池田内閣の所得倍増計画はラッパだけでしたが、結果的に経済成長して、倍増しました。一方、中国の場合は通達で来てしまうのです。中国では賃金が街によって異なるので、それぞれ5年で倍増させるようです。ジェトロが算出した平均人件費を見ると、私の感触とは少し異なりますが、上海、大連、深センは、マニラやバンコク、ムンバイと同程度です。


 バンコクとマニラは5年後もあまり賃金は上がっていないと思います。そこを中国では倍にすると言っているのです。ジャカルタは安く、ヤンゴンは41米ドル、日本円で3000円程度です。そうしたところと比べると中国は遥か彼方に行ってしまうわけです。それを国家政策としてやってしまうところが中国の恐ろしいところだと思います。

 ただし、これをやらないと住民の不満が増大するでしょうし、農村部との格差もあるので、都市部の賃金水準を上げることで農村部も上げる狙いでしょう。つまりは人民政府を維持するためのメーカーいじめとも言えます。

 吉と出るか凶と出るかわかりませんが、おそらくこれによって消費力も上がるとは思います。しかし、今中国を支えているチャイワン系の企業が、大挙してベトナムやインドネシアに出て行ってしまうという可能性も否定できません。当然インドやバングラデシュなどにも興味をもってくるでしょう。


●日本における2012年度の国民負担率39.9%

 国民負担率はどういう数字かということを知っておく必要があるでしょう。国民負担率には、税で負担する分と社会保障で負担する分があります。さらに、国が赤字を出している分を将来負担する、財政赤字の対国民所得比を、そこに上乗せしなければいけません。


 グラフを見ると、日本の特徴は、税はヨーロッパに比べると低いものの、全部の合計で見ると結構多くなっています。財政赤字としての負担は、ドイツは4%しかありません。スウェーデンに至っては1%しかありませんが、ここは税が50%にもなっています。総じて言えることは、先進国は50%くらいでなくてはだめなのです。

 ですから、日本も、財政赤字の部分を税金に持っていき、11%税金を上げるべきなのです。つまり、消費税は10%ではなくて、15%にする必要があると正直に言うべきなのです。社会保障の負担17%もかなり重たいですが、ドイツでも22%です。そもそも、3つの負担を足して51%であるのに、税と社会保障だけを足して、40%と発表していることが欺瞞なのです。

 一方、アメリカはどういうわけか若い経済ですし、増税の嫌いな国ですから、社会保障負担は低くなっていますが、財政赤字の分は日本と同様に高いです。イギリスも財政赤字分は高いですが、税金も高いという特徴があります。

 ざっくり見て、半分は国民負担で、そのおかげで先進国のサービスを受けているのです。それを先送りして次の世代の子ども達に払わせるなど、とんでもない発想で、今の世代が払うべきなのです。税金はきちんと11%上げて、将来に送り届ける分を少なくする必要があるのです。このグラフを見れば、税と社会保障と財政赤字の一体改革が必要で、削る方をしゃかりきに削らなくてはダメだということが分かるはずです。

 スウェーデンは合計の負担分が63%、フランスは70%です。このおかげで、子どもが産まれると親の状況に関わらず赤ちゃん手当があるわけですが、日本ではそういうものがないのに、民主党が聞きかじりで、フランス並みに子ども手当をやってしまったわけです。

 ただ、税を高くしていくと暗くなり、活力がなくなるのも事実で、アメリカは税が低いという点では超優秀ですが、日本はその数字だけアメリカに合わせているのです。


講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学 学長
株式・資産形成講座 総監修


大前 研一


2月12日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
編集後記
 編集後記

【不動産投資入門講座】 受付開始! 低金利が続く今がチャンス! キャッシュフローを生む不動産投資をマスターしよう!

グローバルマネー・ジャーナル第231号、いかがでしたでしょうか。

経済情勢を踏まえ、資産運用・形成していくためにご活用ください。

年金問題、少子高齢化、世界経済の混乱の高まりなど、将来に向けて資産を防衛するためのファイナンシャルリテラシーの必要性は日に日に高まっています。ファイナンシャルリテラシーは生涯に亘り重要であり、これはご自身だけではなく、家族でも共有すべき考え方だと思っています。

世界マーケットが混乱する「今」こそ、生涯重要になるファイナンシャルリテラシーを高めておく時期ではないでしょうか?

それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!    

株式・資産形成講座
加藤

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