2012/03/01(木)「需給関係に見る円安の方向性(深谷幸司)」資産形成力養成講座

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需給関係に見る円安の方向性(深谷幸司)

 

売却通貨の候補として円が浮上!?

 

 各国の金融政策の動向は、去年は景気減速局面にあったため最近まで緩和基調が続いていました。ECBは欧州債務危機にともなう景気後退リスクから利下げを実施、オーストラリアでさえも利下げに動いてきたほか、新興国でも概ね金融引き締めを終了しています。  ただ、景気は去年終わりあたりから持ち直してきています。それを受けて、おそらく、先進国に関しては、金融緩和もぼちぼち止まり始めると思われます。欧州では債務問題による景気悪化懸念から追加緩和が期待されていました。しかし欧州中銀はこのところ追加利下げを躊躇しており、景気持ち直しの気配から、実施せずに終わるかもしれないという見方が出てきています。  こうした微妙な金融政策見通しの変化にもかかわらず、先進国間の金利差は依然としてほとんどゼロに近く、低金利通貨を売り、高金利通貨を買う、というキャリートレードの売却通貨に関しては、どの先進国通貨でも金利面では同じという状態ではあります。

政策金利の動向

 ただ、こうした取引では売却通貨が下落することがさらに重要です。これまで一貫して買われてきた通貨には逆に下落余地があり、むしろ売られやすいという視点からは、売却通貨の候補として、円が浮上してきていると思います。

 

新興国vs先進国 経済環境から為替への影響を探る

 

 新興国と先進国を比べると、相変わらず、新興国の方が分がいいという状態は変わりません。新興国は一時期、インフレ懸念による金融引き締めで減速していましたが、ここへ来てインフレも沈静化し、金融緩和の余地が出てきました。ブラジルなど、実際に金融緩和している国もあります。こうした変化は景気の持ち直しとともに、ここ最近、株価にプラスの材料として働き始めています。

 一方、先進国は相変わらず景気動向は緩慢ですが、米国景気は予想よりも足取りがしっかりしてきました。FRBはおそらく追加緩和はしないでしょうし、2014年まで現状の超金融緩和を続ける蓋然性が高いと述べたものの、絶対的にそこまで何もしないわけではなく、それよりも早く政策を変える可能性が高まっているのではないでしょうか。

 欧州は、ECBによる追加緩和バイアスが、ドル、ユーロ、円の中では一番はっきりしていたので、ユーロキャリートレードが市場におけるトレンドでした。しかし今は、次の緩和がもしかしたらないかもしれないという方向に動いてきています。

 そうした中、日銀が金融緩和の強化に動きました。FRBはもしかしたら見通しより早く修正に動くかもしれない、、ECBの次の一歩はないかもしれない、、という中で、日銀だけが一歩を進めたので、今度は円キャリートレードにいきやすい流れができています。キャリートレードの中で、これまでのユーロキャリートレードから、円キャリートレードにシフトすることになってくるのです。そうした変化が起きているのが現状でしょう。

 

経常収支とドル円 需給関係に見る円安の方向性

 

 貿易収支、経常収支とドル円相場の動きを長期にわたり重ねて見ると、過去は、貿易サービス収支の黒字は約5000億から1兆円の間にあり、経常収支は膨らんできていました。その間、ドル円相場はジグザグしながら、貿易サービス収支とよく似た動きをしていました。それが、2007年から一気に円高方向に進みました。

ドル相場と貿易収支、経常収支

 当然、貿易収支は悪化しました。最初の落ち込みはリーマンショックによるもので、為替相場とは関係ないとも言えますが、結局のところ、やはりリーマンショック辺りから始まった円高で、貿易収支も、経常収支も、トレンドとして悪化していることが見て取れます。

 さらに、経常収支と対外直接投資(日本企業による海外への投資)の動きを見ると、経常収支は黒字が1兆5000億円から、多い時は2兆円を超えて推移した時期がありました。世界景気が極めて良好な状態にあり、グローバル企業にとってバラ色な時期であり、また円キャリートレードによる円安も進みました。景気は良く、円安でもあるという、非常に強い追い風で収益が稼げる環境でした。それが、リーマンショックで一気に落ち込み、その後やや回復したものの、経常黒字はじりじりと減り続けました。

経常収支+体外直接投資

 この要因として、円高の影響をうけた、輸出企業の海外への生産移転や、輸入代替の動きが挙げられます。さらには、原発の問題で、燃料輸入が増えていることも影響しています。世界景気が持ち直すなかで経常黒字がどんどん縮小傾向にあるのは、構造的な問題があると推測されます。

 今後も、1月の経常収支が出てきますが、貿易収支が1兆5千億円近い過去最大の赤字となっていることから、利息、配当収入などの所得収入を足した経常収支も、やはり赤字になると予想されます。一時的とはいえ、ついに経常赤字に転落となるわけです。経常黒字の大幅減少は、外貨で稼ぐボリュームが大幅に減るということであり、外貨売り・円買いによる円高圧力が急速に減ってきているということになります。

 一方で、企業の海外への投資を見ると、最近は一段と増加している(下方向)のが分かります。やはり、円高の状況や、内外の景況格差を背景に、今の企業の戦略として新興国でビジネスを拡大するという流れがあり、投資が加速する方向にあります。稼ぎである経常黒字は減少、一方で投資は拡大、二つの動きを足し合わせた赤いラインは、このところ急激に落ち、マイナス圏にあります。つまり、稼いだ以上に、外に投資してしまっているという現状なのです。

 このグラフから、為替の需給をシンプルにとらえると、リーマンショック前は、外へのお金の流れや投機的な円売りで、実際には円高にはならなかったものの、円高圧力が強い状況でした。ところが今は、ベースラインの部分が、過去とは逆に、円安になってもおかしくない状況になっているのです。これはここ1年の大きな変化で、需給面から見ても円安の流れが起きていると言えるでしょう。


講師紹介

深谷幸司

ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ
資産形成力養成講座 講師
クレディ・スイス証券 債券本部 外国為替調査部長
チーフ通貨ストラテジスト

深谷幸司

2月16日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。

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資産形成力養成講座 加藤

 

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