2012/04/11(水)「ユーロ動向を探る EU・スペインの現状(大前研一)」資産形成力養成講座

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ユーロ動向を探る EU・スペインの現状(大前研一)

 

ユーロ圏安全網1兆ユーロ規模に拡大を ~OECD~

 

  ベルルスコーニ氏の影響で、イタリア人の知的レベルは低いという印象を与えていると思いますが、ユーロの形成においては、イタリア人の功績はものすごく大きな役割を果たし、要所要所でイタリア人が活躍しているのです。今、またそういう局面になってきているのかなと思います。

 イタリアのモンティ首相は、先週日本に来ていましたが、彼が急速にイタリア経済に対する信頼性を回復したと思います。そしてもう一人、ドラギ欧州中央銀行総裁です。現在の欧州中央銀行(ECB)の総裁は実はイタリア人なのです。彼は、ものすごく能力のある人で、モンティ氏といい勝負だと思います。

 モンティ氏は確かイェール大学でも研究した学者ですが、こうしたレベルの高い人がここに来て二人出てきて、イタリアそのものがこけたら大変なことになるという状況の中、政治家ではない、ある意味学者内閣と言えるようなものを作ってイタリアを一気に安定化させたわけです。

 ドラギ中銀総裁による金融政策を見てみると、やはり経済の専門家らしいことをやっています。昨年12月と今年2月に、1兆187億ユーロの資金を、欧州中銀からドイツを含む欧州銀行に供給しています。また、シングルAの資産担保証券(ABS)も担保を認めるとしました。つまり、トリプルA、ダブルAではなくて、シングルAでも担保として取ると言ったのです。この効果は絶大で、融資資金調達に苦心する欧州銀行を支援しました。

 また、ECBの資金で国債を購入し、その国債を担保にして他の金融機関からも借り入れが可能になりました。銀行が国債を購入するということは、実は、イタリア国債を買えるわけです。すると、イタリア国債の利回りが5%、政策金利は1%なので、差が4%となり、欧州の銀行はこれで回復してしまいます。

 ドラギマジックと言われていますが、これにより、欧州は、ギリシャ以降、ポルトガル、スペインなど、みんなひっくり返ると思われていましたが、少し時間をあげたら、この4%のスプレッドで、全て回復してしまうのではないかと思われます。

 これは、シングルAのABSも認めることによって、シングルAのものを担保にしてよいということで銀行がこれをとると、それが5%で回り、実際は自分は1%払えばよいので、4%が利ざやとして残るという仕組みなのです。

 これで銀行の利益が向上し、回復につながり、ヨーロッパの銀行の問題はどこへ行ったのかというくらいに、ドラギマジックが効いてきます。ヨーロッパが今安定してきたのは、実はメルケル独首相でもなければ、サルコジ仏大統領でもなく、このドラギ総裁のおかげだと言えるのです。

 また、イタリアそのものが大胆なコストダウンをし、財政再建に向けてドラスティックなことをやっていく、これまたモンティマジックと言えます。しかも彼は政治家ではないので、嫌だったらクビにしてくださいと言えるので、非常に強いのです。

 結局、ヨーロッパの安定網は、今まで使っていたESFSが償却してしまい、13年からはなくなりますが、図のように、結果的には8000億ユーロほどの強力なものが出来上がってきました。ドラギ氏や、モンティ氏のような人を得て、ヨーロッパは少し安堵の状況と言えます。ただし、もちろん、スペインがどうなるかによって、この先、がらっと変わってきます。

 

財政赤字のGDP比 今年末までに5.3%めざす【スペイン政府】

 

 スペイン政府は、大幅な歳出削減を盛り込んだ予算案を閣議決定し、財政赤字を今年末までに、GDP比5.3%に圧縮するとしています。しかし、スペインでは暴動が起きるなど、不安定な状態が続いていて、危機の解決とは言えないという声も聞かれます。

 ドラギ氏やモンティ氏の登場で、イタリアまで危機に陥る状況は回避されようとしていますが、確かに、今後の問題はポルトガル、スペインです。しかし、欧州中銀が昔に比べるとかなり強力になっているので、銀行そのものが破綻して、全体がずるっと行くことはなくなったと言えるでしょう。

 スペインの場合は、確かに暴動が起きていますが、暴動はイギリスでも去年の夏に起こっていますし、ギリシャでは年中行事化しています。問題はスペインの失業率です。25歳未満の失業率が50%近いのです。スペイン全体でも失業率は20%で、暴動が非常に置きやすい状況であると言えます。

 失業率を比較したグラフでも分かるように、ヨーロッパ全体の失業率は、ちょうどスペインの半分くらいで、25歳未満でも20%です。つまり、スペインの失業率はヨーロッパ全体の倍なのです。これは、10年前の繁栄期に移民政策をとったということも影響していますが、スペインでは、この失業問題が非常に中核的な問題であり、ギリシャの問題と比べると、スペインは財政問題というよりも失業問題であると言えるのです。

 従って、さらにきつい政策を打とうとすると、一層失業が出てくるので、その辺りのバランスが難しく、打つ手が非常に限られているのです。まずは、経済のパイを大きくすることを優先し、雇用を吸収する過程で改革をやっていかないといけません。

 その意味では、単純にイタリアやギリシャのように、ひたすらカットしていくというわけには行かないのです。スペインの場合、イマジネーションを持って、経済のパイを大きくする政策を先にとらなければ、前に進めないという問題があるのです。


講師紹介

大前 研一

ビジネス・ブレークスルー大学
学長

大前 研一

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