2012/04/25(水)「日本の消費者物価と金融政策(福永博之)」資産形成力養成講座

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日本の消費者物価と金融政策(福永博之)

 

日本の消費者物価と金融政策

 

 注目すべき経済指標の一つ、全国消費者物価指数の推移を見てみます。2010年の平均を100として、毎月の物価を比較したものです。前月比ではないので、プラスになったりマイナスになったり、グラフは上下しています。直近の数字は2月のもので、上に振れてプラスになっています。ただ、100を超えれば、一応はデフレ傾向からの脱却も見えてくるということになりますが、まだそこまでは行っていないというのが現状です。

 この消費者物価指数に関しては、日銀が2月14日に重要な発表をしています。当時はバレンタインデーのプレゼントなどと言われました。デフレによって経済が成長しない状況を改善するために、資金を大量に供給し、インフレを起こさせるべきだと言われる中、日銀はそれまで動いていませんでしたが、この時インフレ目標のようなものを設定しました。

 消費者物価指数で前年比1%プラスに持っていくことを目標にするとしたのです。日本語で目標と言うと、何となくあいまいで、達成しなくてもよいのではないかという印象がありますが、英訳された文章を見ると、GOALという言葉を使っています。FRBも同じ言葉を使っていて、英訳では目標に持って行くという強い意味合いが表現されているわけです。それを受け、マーケットは実際に資金供給をやるであろうと受け取りました。

 ですから、もし今後、消費者物価指数が1%に満たない状況が長引いた場合には、日銀が資金供給をどんどんやる可能性があります。すると、為替市場に影響があります。円がどんどん外に流れて行くわけですから、円の価値が下がる、あるいは量が増えることによって売り物がでてくるので、円安傾向になると言えます。それをマーケットは好感したのです。

 こうしたことから、消費者物価指数は、特に、2月14日以降、マーケットが注目する指標になっているので、注意して見ておく必要があります。1%にならない場合、日銀が本気であれば、資金供給を行い、それによって、円が安くなり、大企業製造業などが恩恵を受けるということになります。そうなれば、雇用も増えることにつながり、国内の製造も増えることになり、万々歳です。

 ただ、やはり、日銀のバレンタインプレゼントは義理チョコだったのか、今のところは裏切られた感じとなっています。市場に出回っている資金の量を表すマネーストックのグラフを見ると、日銀の2月14日の発表後も、流動性はあまり増えていません。

 この量自体は、日銀がコントロールしているわけではありませんが、マネタリーベースという日銀の資金供給残高を見ても、4月に発表になった3月の数値は、前年同月比で、マイナスになっていたのです。日銀はあのような発表をしておきながら、実は何もしていないのではないかと、不信感につながりました。

 それが、ここのところの円高傾向と株価の下落の要因になっています。株価としては10,000円を割った後にこうしたニュースが出てきたことで、より円高を嫌気して買いづらくなっている状況です。

 さらに、4月10日に、日銀の金融政策決定会合がありましたが、新しい金融政策は出てきませんでした。今月はもう一度27日に決定会合を行う予定なので、どのような発表がされるか注目です。また、資金の流動性の量や、残高の動き、消費者物価指数の推移については、日銀がインフレターゲットを事実上導入したことを受けて、注意してみて行く必要が出てきています。

 物価が上がれば金融緩和はなくなりますが、上がらなければ金融緩和が行われる余地が残っていて、行われれば円安に振れるので、FXの取引をしている人も、これらの指数を確認しておく必要があります。


 

アメリカの金利と経済政策

 

 一方、アメリカでも、金融緩和への期待が市場を動かしています。長期金利のグラフを見ると、2%を下回る状況が続いていましたが、一気に上昇する場面が出てきました。上昇局面はNYダウが高値をつけたところであり、QE3の期待が高まったところでした。

 期待が高まった背景は、FRBのバーナンキ議長が、議会証言や講演で、アメリカの経済について、雇用の伸びが弱々しいことを挙げ、回復させるためには経済の加速的な成長が必要であると言ったことです。それを受け、マーケットでは近々QE3が実施されるのではないかと読んで、債券が売られたというわけです。その後、期待が薄らぎ、安全志向に戻って株価も下がり、金利も落ち着き、債券は買われているというのが、ここのところの状況です。

 QE3の実施については、見方は分かれていますが、雇用統計が良くないことや、FRBの姿勢を見ると、マーケット関係者は手っ取り早く結果を出そうとすると金融緩和しかないと思ってしまいがちです。実際に金融緩和を望む声や、行われると見る声が多いのですが、私はそうなるとは思いません。なぜなら、FOMCの議事録を見ると、前回よりも今回はQE3に対する賛成者が減っていて、FOMCの中では、必要ないという意見に傾いているからです。

 さらに、バーナンキ議長は実施を否定はしていないので、可能性は0ではありませんが、実際議長が一番気にしているのはデフレです。今のようにガソリン価格が上昇していたり、消費者物価指数がプラスで、目標の2%に近いところにあったりする中、実施の可能性は低いと言えます。株価も一旦下落してはいますが、13,000ドル台と、市場最高値に近いところにあるので、どうしても必要だとは言いがたい状況です。

 また、QE3には弊害もあり、原油、ガソリンなど、商品価格が上昇します。新興国もドルが弱くなることで、自国通貨が強くなり、輸出に悪影響が出てしまいます。こうしたことからも、よほど悪いことが起こらない限り、QE3はやらないだろうと思われます。逆に、アメリカ政府が、雇用などを促進する政策を出すことの方が、中長期的に見て効果が高いでしょう。

 また、現在FRBが、オペレーションツイストと言われる、短期債を売って長期債を買う操作をしていますが、それが、6月に終了する予定です。もし、FRBが、その後国債を買わない場合には、買い手がいないなら早く売っておこうと、一気に金利が上昇する可能性もあり、金融政策、金利の動きには注目しておく必要があります。


講師紹介

福永 博之

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師
株式会社インベストラスト 代表取締役
IFTA国際検定テクニカルアナリスト

福永 博之

4月11日に撮影したコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。

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