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今回の選挙では、ルペン氏に投票した人が選挙に行かなかったか、あるいはオランド側に投票し、自分たちを5年間も無視したサルコジ憎し、という結果になりました。それによりフランス大統領選からまだあまり経っていませんが、世界中はサルコジ氏のことを忘れてしまいました。オランド氏は成長戦略を取り、成長すれば緊縮策をしなくていいというわけですが、言うのは楽です。
オランド氏の言っている、いわゆる成長策を世界中で上手くやれた人がいるのかというと、実は数人いるのです。その人達は小さい政府にして、いわゆる規制緩和・撤廃をしました。レーガン元米大統領とサッチャー元英首相です。彼らは成長戦略を取るために、政府部門を小さくし、民間が全部できるようにしたのです。 ところが、その結果、実際に成長したのは15年後なのです。ですから、レーガン氏もサッチャー氏も、現職の頃は、石もて追われるがごとくに追放されました。そして、レーガン氏のおかげで良かったのはクリントン元大統領です。 クリントンは実は何もやっていないのに、夢のような8年間がクリントン時代に来たのは、ひも解いてみると、全てレーガン氏のおかげなのです。クリントン氏がアメリカの産んだ最も偉大な大統領の一人となったわけですが、レーガン氏の方は、皆がほめ始めた頃には、本人はアルツハイマーになってしまっていました。 また、サッチャー氏の場合も、彼女が失業を作ったと言われますが、こうした戦略を取ると失業の山になるのです。公共部門などから失業がたくさん出るからです。その後、失業が減り始め、アメリカの場合には経常黒字になってしまったわけですが、それは15年後なのです。サッチャー氏の場合もそうです。 オランド氏が15年後のフランスの繁栄のためにそのような施策を本当にやり、石を投げられる側に回るというようなことをやるのかどうか。それともそれは口だけで、実はサルコジ氏のやっていたように緊縮にするのか。そうしないとフランスは売り浴びせられるので、やろうと思ったら余程強い決意を持たないとできません。 レーガン氏やサッチャー氏はとにかく筋金入りの小さな政府主義者ですが、オランド氏はそのようには見えません。社会党ではミッテラン氏以来の大統領ですが、その当時はジャック・アタリなどの優れたアドバイザーがいました。オランド氏が優れたアドバイザーを本当に起用できるのか、そういう人が実際今のフランスにいるのか、よくわかりません。イタリアには、モンティ氏やドラギ氏など結構いることが分かってきていますが、オランド氏については、あんな安易なことを言って本当にいいのかと疑問です。 日本の場合も、小泉改革を本当にやろうと思ったら、日本はとことん悪くなって、地獄の底まで見た上で15年後によくなるというようなことをやらないといけませんが、小泉氏は途中で止めてしまいました。民主党も小さい政府と言ってスタートしながら、政権を取るや大きな政府でバラマキです。 日本の場合はそれだけの決意を持った、レーガン、サッチャークラスの人がいないという不幸で上手く行かないわけです。これができる人はなかなかいないので、オランド氏もおそらく口だけで終わるのではないかということを恐れています。 オランド氏の公約を見ていくと、閣僚の給与を30%カットとしています。それはすぐできますが、蚊取り線香ほどの効果しかありません。さらに、低所得層への援助金増額、やはりバラマキです。石油価格を3ヵ月凍結と言いますが、放っておいても下がっています。連帯保証制度で若者の賃貸住宅入居促進、これもバラマキです。
少し面白いのは、サルコジ政権が年金支給開始年齢を62歳に引き上げたのに対し、18歳より前に就職した人で規定の年金積立期間に達した場合は、60歳から年金を支給するという公約です。それから、富裕層、企業への増税です。企業は外へ出てしまうので、さらにダメになり、金持ちもいなくなるでしょう。さらに、金融取引税の導入です。 これらの公約には目新しいものが何もありません。具体的にやらないと行けない約束で、数字に出てくるものは全てバラマキです。社会党はもともとそういう方向にありますが、オランド氏がミッテラン氏のような優れた大統領になる可能性は非常に薄いのではないかと思います。 人物的には非常にいい人のようですが、今のフランスやヨーロッパの置かれた立場を良く考えると、オランド氏は自分の果たすべき役割が分かっていないと言わざるを得ません。たまたま、サルコジ氏が緊縮財政の方に振ったものを政治的に賢く狙って、きついことではなくて、鎮痛剤を打ってあげますよと言って政権を取ったわけですから、期待は薄いと思います。 ただ、サルコジ氏も少々エキセントリックなところがあったので、あのままさらに5年続くとなると、脂ののったステーキを10年食べるような、つらい感じがするのは確かですから、オランド氏は結構淡白な感じのようなので、そこはいいとも思います。 ユーロ全体のことを考えると、メルケル氏をはじめEUは、サルコジ氏と約束したことをオランド氏になっても守らせようとしています。オランド氏は交渉し直すと言っていますが、EU側は一切再交渉は受け付けないとしています。鉄の女メルケル氏を変えることは難しいでしょう。EUも、サルコジ氏の約束は国家としてのフランスの約束なので、守れと言っています。当然だと思います。 それなのに、安易にフランス国民に対して、手綱を緩めたような形でほっとさせて、票を取るというのが民主主義のおかしなところで、それに負けてしまう国民、いかさまを暴けないジャーナリズムに非常に大きな問題があると思います。日本はその極限に達していて、甘味料と鎮痛剤だけで成り立っているような国になっています。
ギリシャの今回の選挙は、圧倒的に大きかった連立与党が、緊縮にはもう飽きたということで、EUの突きつけている急激な財政削減をはねのけるとした急進左派連合などが伸び、第2党になってしまったということです。全ギリシャ社会主義運動というのも与党にいたのですが、圧倒的に票を減らしてしまいました。新民主主義党は58議席ですが、1位になったところは50議席追加されるので、108議席となりましたが、それでも足りないわけです。
この場合、日本だったら首相を出したいということで、3、4人の政党が与党側に付いて連立を組むと思うのですが、あまりにも欧州に対して反発していて、EUを脱退してでも財政削減を拒否したいという人たちが多く、3、4人移れば終わったところが、そうできなかったわけです。 せっかく第1党に50議席を与えるという安定化に向けた上手い仕掛けを作っていながら、上手く行きませんでした。再選挙になるともっと大変になるかも知れません。そうなると、ギリシャがユーロ離脱ということも現実にはやらざるを得なくなってくるということです。 ギリシャやフランスを見ていて、日本にとってはよかったと思っています。野田首相が一体改革を通せる見通しが全く立っていません。半分以上の確率で、法案が通せず、野田政権が崩壊するとした場合、日本が売り浴びせられる可能性が非常に高いと見ていました。ところが、フランスもギリシャもこうなってしまったので、緩衝剤になります。 3人目なので、やはり、日本も増税などに反対し、これは民主主義の欠陥だということで、幸いにもone of themになる可能性が出てきたと言えます。野田政権が崩壊した時には決定的な売り浴びせになると思っていましたが、ギリシャとフランスには感謝すべきです。ギリシャに起こった衆愚政治と同じで、日本も同様だと言うことです。最大の皮肉ですが、良かったと思っています。
ビジネス・ブレークスルー大学 資産形成力養成講座 学長
大前 研一
5月13日に撮影したコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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