2012/10/31(水)「IMF・世銀総会から見る世界経済(大前研一)」資産形成力養成講座

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IMF・世銀総会から見る世界経済(大前研一)

IMF 日本国債リスクに警鐘「政府の債務問題が最大懸念」

 

 IMFは世界金融安定報告で、日本の金融システムについて政府の債務問題が最大の懸念だと指摘しました。日本国債の多くを国内の金融機関が保有していることについて、実質的に政府と銀行とが運命共同体になっていると警鐘をならしました。

 これはIMFからの素晴らしいお土産と言えます。国債価格の下落に備えて、政府や銀行が打てる対策は残念ながらありません。国内銀行が16%、在日外銀が12%、農林水産関連の機関が15%、地銀など中小金融機関では42%の割合で国債を保有しています。国債デフォルトという状況になると、このすべてが救いようのない状況になるわけです。

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 外国の保有比率はすでに9%を超えてきているので、気が短い外国勢は売り浴びせることも十分考えられます。日本の金融機関は売り浴びせることはしないと思いますが、価格下落が深刻になった時にこれだけの国債を保有していると持ちこたえられません。

 IMFの指摘するように、国の運命と銀行の運命が一緒なので、全部がバンザイしてしまうということです。ドイツもそうした面がありますが、日本よりは保有比率が少ないです。やはりもともと外国人が多く持っている米国債などとは異なり、日本の場合には国内で多くは持っているものの、外国人の保有比率が10%を超えてくると、リスクが非常に高まったと見るべきで注意が必要です。


米財政 2012会計年度 財政赤字約85兆円

 

 アメリカでは、2012年度財政赤字が1兆893億ドル(約85兆円)と、前年度から16%減少しました。ただ、減少はしたものの、オバマ大統領は2期で赤字をなくすと言っているので目標の半減にはほど遠い状況です。

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 財政赤字はオバマ大統領になってから大きく膨らみました。これは前任者であるブッシュ前大統領の時にリーマンショックが起こり、その後遺症でこれだけ使い込まなくてはならなかったわけですが、やはりオバマ大統領は社会主義的なところがあり、大きな政府を志向しているのです。とりあえず次期もオバマ大統領が続くとすれば4年で半減できずに、8年でゼロにできるのかというとかなり疑わしいでしょう。よって財界などには、一度ロムニー氏にやらせてみようかという気持ちがあるのは当たり前だと思います。

 クリントン政権の時に黒字になり「夢のような8年」と言われていますが、少なくともその当時は黒字にすることは可能だったわけです。しかしその後はずっと赤字が続き、ブッシュ政権が最後にリーマンショックというお土産を置いていき、次いでオバマ大統領は何もできなかったということです。この後の4年、オバマ大統領では期待が持てないと同時に、来年早々には「財政の崖」に見舞われるので、やはりアメリカ経済が世界金融大不況のトリガーになる可能性も高まってきていると思います。


欧州各国で富裕層課税を強化 フランス所得税最高税率を75%に引き上げ

 

 ユーロ圏17ヵ国は、ESM=欧州安定メカニズムを正式に発足させました。このESMは、欧州の安定化に向けて絶対必要条件の一つです。IMFなど全世界的な機構の前に、ヨーロッパの中で17ヵ国が協力してやっていこうというものです。とりあえずスペインなどの救済には、このESMを使っていくと思われます。

 さらに欧州中央銀行が各国の銀行を直接監査する方向に進んでいるので、いわゆる「銀行統合」への道を開くことにもなります。よく17ヵ国が合意したと思いますが、大きな一歩となるものです。ただしタイミングについては数年かけて実施するもので、来年中に制度を整備し、数年かけて拡充していくとしています。

 また、ヨーロッパでは高所得者への課税を強化する動きが広がっています。フランスでは、来年度予算案に所得税の最高税率を75%に引き上げる方針が示されました。債務危機で所得格差が広がったという不満が強まったのが背景で、来年選挙を控えるドイツやオーストリアでも増税論議が活発化しています。

 アメリカでもオバマプランは富裕層に対して税金を増やすと言っています。ただその場合の富裕層はロムニー候補を指し、ロムニー氏から税金を取ってやるといったリベンジ的な要素があります。一方欧州の場合は所得税を高くすると富裕層が国外に出てしまうので、今までは所得税率にあまり手を入れて来ませんでした。

 フランスについては、私はオランド氏が当選した時に上手くいかないだろうと言いましたが、今回の増税案は致命傷になる可能性があると思います。少なくとも、これまで活躍し富を得たルイヴィトン・モエヘネシーのベルナール・アルノーCEOのように、一生懸命働いて大帝国を築いた人が、すでにベルギー国籍を取得しフランスを出ています。本人は否定していますが、75%の税金となると普通は国外へ逃げるでしょう。

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 世の中には10%のフラットタックスの国もありますし、ロシアへ逃げれば13%で済むのです。プーチン氏に少し贈り物をして便宜を図ってもらえば良いので、その方が安く済むのです。プライベートエクイティなどで所得が大きく上がった人も、この制度ではかなり税金として取られてしまいます。

 ヨーロッパの所得税の最高税率を比較すると、ロシアはフラットタックスで低く、香港、チェコが続き、シンガポールは19%などとなっています。フランスは累進制なので高所得者の税率ですが、これを75%まで上げるというのです。日本も現在50%を超えています。アルノー氏が逃げたというベルギーも50%なので、75%というのは余程ショックな水準なのでしょう。ある意味そこまで払える高額所得者はうらやましいとも言えます。

 日本もかつては78%という時期がありましたが、やはりそれでは勤労意欲がなくなるという難点があります。不労所得や相続した資産に資産税をかける場合は自分の働いた所得ではないので意味がありますが、勤労所得である個人所得に対して50%以上を取るというのはどうかと思います。北欧のように完全福祉ができている場合は対価がありますが、フランスはそうではないので今後相当悪影響があると思います。


中国 7-9月期のGDP成長率7.4%

 

 中国のGDP成長率は前年同期比7.4%の増加となりました。中国経済は少しずつ見ていると分からないのですが、長い目で見るとグラフのように徐々に成長率が鈍化してきています。今回の7.4%も来るべくして来ているという印象です。

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 このまま4%、3%へと軟着陸できれば良いのですが、その場合の最大の問題は格差の問題です。先に豊かになる人は豊かになり、今後豊かになるのを待っている人がたくさんいて、7億人に上ると言われています。彼らが豊かになる前に経済成長が終わってしまい、パイが伸びなくなったら困るのです。次こそはと思っている人たちが結局見過ごされてしまうという可能性があるのです。

 中国政府も8%は死守したいと言っていたのが、現実に7%台に落ちて来ています。しかも相当な刺激剤を打っての7%ですから、中国も成長マジックなどはなく、あれだけの高い成長率の続く時代はすでに終わったのだと思います。鉄鋼、セメントなどの素材消費の数字を見ると激減しているので、GDPで見るよりも実態はひどい状況ではないかと思います。


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