2012/11/28(水)「2013年の為替展望を探る(田中泰輔)」資産形成力養成講座

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2013年の為替展望を探る(田中泰輔)

G20がたたみ掛けるように発動した財政金融政策

 

 2008年、リーマンショックで世界経済は大きく落ち込みました。100年に一度の危機的状況でしたが、これに対してG20(主要20ヵ国)がたたみ掛けるように財政金融政策を発動して景気を押し返しました。その上下動が非常に大きく、この戻りだけでもリスクラリーと呼ばれる一大相場となりました。政策によって強引に押し返した金融相場だったわけですが、一旦回復したように見えても、大規模な金融危機の後には債務処理、バランスシート調整が何年も延々と続きます。

 バランスシート調整は、日本も90年代以降ずっと苦しんできたように、一朝一夕では片付きません。その間、経済の自律回復メカニズムは働かず、どんな政策を打っても「ぬかに釘」のようにだれてしまう展開が続きます。

 米国では景況感や相場が再び下がったところで、QE2やブッシュ減税の継続などで下支えしました。そうして再び持ち直させたものの、まただれてきて、今度はQE3で支えました。こうしたことを繰り返す中、政策は徐々にメリハリが利かなくなってきます。しかし一方で、時間の経過とともに少しずつバランスシート調整も進んでいます。経済も市場も下がったり持ち直したりを繰り返し、相場に例えると段々と上値と下値を狭めていく「三角保合い」のような状況です。そして昨年から今年にかけて、この三角保合いの頂点に近づき、どん詰まり状態の閉塞感が世界に蔓延しました。

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 三角保合いの頂点ならば、上放れ、下放れの可能性があり得ます。しかし現在の経済に上放れの可能性はほとんどないでしょう。バランスシート調整が進んだと言っても、斑模様の白い部分が増えた程度で、経済の足枷として重く残っているからです。現時点で想定される最も可能性の高いシナリオは、頂点からの上放れではなく、じわりと良くなっていくまでです。

 逆に下放れるストーリーはいくらでも描けます。例えばユーロ圏が危機対策に失敗する、中国の不均衡やバブルの調整が連鎖的に広がる、アメリカが自律回復に頓挫して財政の壁で落ち込む、といった具合です。ただし、三角保合いがどん詰まってきたことは政策当局にも同様であり、逆に下振れを容認する余地がほとんどないのが現状です。つまり下抜けのリスクは政策的に抑止せざるをえないのです。

 債務問題に苦しむユーロ圏は、利害の異なる国家間の合議で政策対応を決めるため、先手を打てないという欠陥があります。しかしそんなユーロ圏も、下放れのシステミック・リスクが見えてきたことで、金融機関・国家を破綻させないための3年物融資、南欧国債の無制限買い入れと、従来のタブーを超える政策をECBが打ち出しました。

 米国では、バーナンキFRB議長が必要であれば次の手を打つと表明し続けています。米国はこの年末年始に、これまで景気を支えて来た財政政策の減税や支出が期限を迎え、それを放置すれば来年前半に景気後退に陥ります。しかし、この「財政の崖」のように、誰の目にも明らかなリスクを放置してリセッションになりました、という選択をすることは、通常メイン・シナリオにはなり得ません。2010年末のブッシュ減税の継続を決めた時のように、「財政の崖」はおそらく期限ぎりぎりで解決の目処が立ち、それを境に米景気見通しは一段上方修正される可能性があります。米国のバランスシート調整は少しずつ進んで、経済指標もじわり改善しつつあるというのが現在たどっている道筋です。


米国経済が自律回復力、新興国の外需が復活するか?

 

 新興国経済も12年後半になって下げ止まり、緩慢ながらも回復方向にあります。この軌道を補完する上で、米国経済が自律回復力を取り戻し、新興国にとっての外需が伸びることが重要です。米国はここ数年、バランスシート調整の足かせで「ぬかに釘」状態だったと言いましたが、いくらかそのぬかが固くなって来ています。

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 米国の雇用、住宅投資、設備投資、個人消費のグラフを見ると、金融緩和政策に最初に反応するはずの住宅部門が、09年以降も債務調整の圧迫でマイナスのままでした。しかし政策による手厚い下支えの甲斐あって、住宅の不良在庫が徐々に減り、住宅投資は最近プラスの領域に出てきています。

 個人消費も、だれてはいますが底堅く、やや持ち直しつつあります。雇用が増えて所得が増えれば消費もしっかりしてきます。企業は今年夏まで、米景気の低迷、欧州危機への不安、中国景気見通しの下方修正という状況で、活動を慎重化させてきました。設備投資や発注も落ちています。しかし秋口から米国と新興国の経済指標に持ち直しの兆候が出てきています。「財政の崖」という不確実要因がクリアされて先行きの視界が広がれば、企業部門も再始動するところが出てきて、雇用、賃金、消費の改善へじわりつながると見ています。


内外経済が良い時には円安気味

 

 為替は、内外経済が良い時には円安気味になります。牽引役になるべき米国経済の自律回復力が今一つの状態では、なかなか円安見通しも強調できませんでした。しかし米国と新興国がじわり好転しつつある今、来年、再来年と円安方向に振れるとの期待を強めています。外貨建て資産投資をそろそろ考えても良い場面に入りつつあると注視しています。

 ドルは基本的に経常赤字を積み上げてきた債務国たる米国の通貨です。貿易など経常取引で赤字分を借金しなければならないのです。一方日本は長年経常黒字を積み上げて来た世界最大の対外債権国ですから、ドル円は貸す側と借りる側の通貨ペアということになります。半年、1年、2年程度の為替変動のダイナミズムは、国境を越えた金融マネーによってもたらされる部分が大きく、日米の貸す側と借りる側の対称的関係から、ドル円相場も金融現象としての変動が典型的に現れます。

 米国景気の加速~成熟局面は、好景気、株高に加え、借金国である米国の金利が日本より早く上がるため、ドル高になります。米国が円滑に借金できるからです。お金を貸す側の日本では、好景気や株高でリスクを取って投資しようという動きになり、海外の高金利商品にお金が出て行くことで、円安になりやすくなります。景気が内外ともに良いときは、通常好景気の債務国通貨が上がり、債権国通貨が下がる基本パターンがあります。

 米景気回復局面でまだFRBの金融緩和が続いている間は、2年など中期金利の動向にそってドル円は動く傾向があります。米経済指標が改善し、金融緩和が終わるとの見方が浮上するに連れて、向こう2年をカバーする2年物金利はじわり上昇し、ドル高・円安に動くのです。来年の米国経済が想定通りに堅調さを増すなら、ドル円は80台を上っていくでしょう。


講師紹介

田中 泰輔

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師

ドイツ証券
グローバル マクロ リサーチ オフィサー

田中 泰輔

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