2012/12/20(木)「日本の競争力を蝕んだものは(武者陵司)」資産形成力養成講座

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日本の競争力を蝕んだものは(武者陵司)

世界の物価推移における日本の特殊性

 

 日本とアメリカの物価の推移を比較すると、全体ではアメリカは物価が上がり続けている一方、日本は緩やかに下がり続けています。

 ユニクロ現象と言われ、中国で安く作った衣料品を輸入するので物価が下がるという意見がありましたが、項目別の比較をみるとその点ではアメリカも同様です。自動車や通信も日米ともに物価は下がっていて、グローバリゼーションや技術革新で値段が下がるのは日米共通であり、日本固有の理由ではありません。

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 日米の違いはどこから来ているかというと、グラフでは食料品、輸送、住宅、教育、医療、教養娯楽、サービス、全て内需型のサービス産業でアメリカは物価が上がり続ける一方、日本は下がっていて、価格に差が開いていることが分かります。内需型のサービス産業では物価が下がり続けているので儲からず、人を雇うことができません。人を雇えないのでサービスが悪くなり、需要が増えないのです。しかしアメリカでは、生産性が上がらなくても値段が上がり続けているので、十分に儲かり雇用が生まれます。その違いが日米の経済活力の差につながったのです。

 日本とアメリカだけでなく、二国にイギリス・ドイツを加えた比較を見ても全体の物価では日本だけが低迷しています。項目別に見ると、衣料品、通信費、自動車などで各国一様に価格が下落しており、技術革新や新興国での低賃金労働による価格低下は世界共通の現象であることがわかります。しかし日本と他の国が違うのが、教育、運輸、住宅、ヘルスケア、娯楽など内需型サービス分野で、アメリカ、イギリス、ドイツでは大幅に価格が上昇しているのに日本だけが下落をしているという日本の特異性が際立ちます。その結果、日本だけが賃金が下がり、アメリカ、イギリス、ドイツでは、賃金が上昇するということになったのです。

 各国の産業別の雇用の推移においても日本の特異性が顕著です。製造業の雇用が落ちているのは共通ですが、製造業で落ちた分を非製造業の大幅な雇用増加でカバーしているアメリカ、イギリス、ドイツに対して、日本は非製造業の雇用は全く増えていません。何故日本は非製造業で雇用が増えないのかというと、値段が上がらず儲からないからです。日本の内需産業には、デフレによって所得配分が行われていないのです。

 このように日本が固有のデフレに陥った流れを止めないといけないことは明らかです。アメリカはこのまま行けば、サービス産業を中心に雇用が改善していきます。さらにアメリカは住宅バブルの崩壊によって雇用が減った建設セクターでも雇用が底入れする見通しなので、全体的に改善に向かうと言えるでしょう。

 アメリカは来年、財政の崖を乗り越えた後、住宅、雇用、消費などが回復していくという姿を描くことができます。アメリカの株価がボトムから2倍になるのは根拠のあることだと言えます。一方、日本は政策を転換し、円高デフレから脱却してサービス産業でインフレが起こり、雇用を回復させることができるかどうかがポイントになります。


日本の経済を停滞させた原因は円高デフレ

 

   日本の経済を停滞させた原因は円高デフレです。一体何故日本だけが長年にわたって給料が下がり続けるようなデフレに陥ったのでしょうか。

 今世界ではモノの値段は一物一価で、日本で買ってもアメリカで買っても、中国で買っても同じです。労働賃金についても同様で、1という労働生産性の値段は、世界中どこでも同じというのが現在の経済メカニズムです。その前提で1年間に円が2倍になったとすると、同一労働同一賃金であるはずなのに、日本だけは生産性が変わらなくても、円が2倍になれば労働者の賃金が2倍になります。これはあり得ないので、生産性が同じで給料が2倍になるのではなく、半分になる力が働きます。生産性が変わらない前提では、円が2倍になれば日本人の円ベースの給料は半分になってしまうということが経済の論理です。従って円高がずっと続き、長期にわたって給料が下がり、日本経済を長期停滞に陥れたのです。

 実際の円レートと実力である購買力平価を比べると、1985年以前は購買力平価が実際の為替レートよりも安く、日本企業は今の韓国のように安く作っても高く輸出できた状態でした。80年代以前には日本は実力以上に成功して強くなり過ぎたので、アメリカが日本たたきを始め、90年代にはものすごい円高となりました。その結果日本企業が購買力平価(=200円)のコストで作った物も、為替時価(=100円)でしか売れないと言うことが起こったのです。

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 このような状況で企業が生き延びるためにはコストを半分にする以外ありません。給料を半分にするしかないのです。それによって長期的に日本がデフレになり、購買力平価が低下して時価為替レートに近づいて来たというのがこれまでの推移です。この結果、国際競争をしている企業はどんどん負ける展開となったわけです。

 ことにリーマンショック以降の日本円はすべての通貨に対して大幅高、独歩高となりましたが、いきなり給料を半分にはできず、日本企業は競争力を大きく喪失したわけです。半導体や薄型テレビなど、シェアを大きく落とした背景はこの超円高でした。

 主要先進国の労働生産性を比べると日本が一番高いにも関わらず、一人当たり賃金は日本だけが過去十数年ずっと下がり続けています。日本の労働者は頑張って成果を上げたのに、極めて不当な処遇を受け続けたと言えます。その結果企業のコストは日本だけが大幅に下がりました。つまり、日本企業は世界で一番スリムになったわけです。しかしいくらスリムになっても、円高によって売値(輸出価格)がそれ以上に下がるので競争に勝つことはできません。

 結局デフレにより内需産業も蝕まれましたが、その根本にあったのは長期にわたる円高だったのです。円高が変わればこの状況は変わります。円高が変わる条件はアメリカ経済の復活です。

 長期の循環をみると、ドルは大きく底入れして回復する循環を繰り返しています。2002年のピークからドルは下がり続け、回復のタイミングを探る水準にあります。

 これまで円が非常に強かった理由の一つは日本の強い競争力でした。各国の経常収支の対世界GDP比をみると、1985年から2000年頃までプラスは日本だけでした。約10年前には日本が一人勝ちだったのです。ところが今は日本のウエイトはものすごく小さく、中国やドイツ、産油国のウエイトが遥かに大きくなっています。既に世界の中で日本は円高で抑えなくてはいけないような相手ではなくなったのです。円高をもたらした大きな背景は既に変わりつつあるのです。

 しかしまだ円高が残っている一つの大きな原因は中央銀行の姿勢です。為替を決める一つの要素は、通貨の量が多い方が安くなるというものです。リーマンショック後アメリカやヨーロッパは、デフレに対応するため、成長を追求するため、猛烈に通貨の供給量を増やしました。しかし日本はそうした積極的な手段をとらず、日本は通貨の量が増えず、結果として日本だけが円高となりました。この状況を変えるためにも、他の国以上に日本が通貨を供給する必要があるのです。円が安くなればデフレが終わり、給料が上がり、さらには株が上がります。そこから好循環が起こるのが来年の市場だと考えます。


講師紹介

武者 陵司

ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ
資産形成力養成講座 講師

武者リサーチ代表
ドイツ銀行グループアドバイザー

武者 陵司

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今週のグローバルマネー・ジャーナル、いかがでしたでしょうか。

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それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

 

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