2013/02/27(水)「金と原油の動向を探る(近藤雅世)」資産形成力養成講座

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金と原油の動向を探る(近藤雅世)

最近の金価格の値下がりをどう考えるか?

 

 NY金価格は、2012年10月5日の1798.1ドルを天井に今年2月21日1554.3ドルと昨年8月以降初めて1600ドルを割り込んでいる。またNY原油価格は、2012年11月7日の84.05ドルを底値に1月30日98.24ドルまで上昇している。こうした金と原油価格の動きをどう考えたら良いのだろうか。また、今後これらの価格はどうなるのであろうか?

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 NY金価格が下落している大きな理由は景気の回復基調である。米国は住宅建設の増加と自動車販売の好調により、サブプライム問題から続いてきた不況を脱しつつあるように見受けられる。日本はアベノミクスによる円安効果で輸出が好調となり、震災復旧等による公共事業も景気を後押ししており、さらに今年は消費税率上げ前の駆け込み需要により住宅建設が久しぶりに100万戸を超える模様だ。こうした景気回復ムードは株価を上昇させている。配当も利回りもない金投資は他に良い資金投資先があれば、金投資に避難していた資金が引き出され、それらのより効率的な資金運用に回される。

 また、欧州では債務危機が一段落し、一時25%を超えていたギリシャ10年物国債の利回りも10%台に下がり、スペインやイタリア10年物国債利回りも4~5%台に落ち着いている。これはECBヨーロッパ中央銀行の資金貸し出しとEMS等の仕組みが効を奏し、欧州金融不安や債務不安は解消しつつあるためのようだ。そうなれば、さらなる各国中央銀行による金融緩和は打ち止めとなり、出口戦略がいつになるかが市場の注目を集めるようになっている。こうした情勢の変化は金投資から資金を引き出させる。

 金の価格は下落しているが、金投資が魅力的でなくなったわけではない。昨年の価格が前年比5%上昇したために、世界の金需要は▲3.9%に減少し、投資需要は▲9.9%と減少した。金需要は価格が上昇すると少なくなる傾向がある。逆に言えば、価格が下がると実需は増える傾向にある。

 金をモノとして考えた場合、金は天然資源であり、地球表面にある金はすでに衛星探査によりあらゆる場所からほとんど採掘されてしまっている。残るは地下のみであるが、南アではすでに4000m掘っており、世界最大の中国でも500mの地底で採掘している。鉱山生産量はここ数年横ばいとなっており、今後減少傾向をたどるだろう。以前は欧州の中央銀行が金を放出していたが、昨今は新興諸国等の中央銀行が逆に金の大手バイヤーとなっており、昨年は前年比16.8%増の534トンを購入した。4406トンの需要量のうち政府機関等の購入の割合が12%を占める。

 残る供給源はリサイクルによるスクラップであるが、価格が上がるとリサイクルは多くなるが価格が下がると少なくなる性質があり、かつリサイクル商品の絶対量は限られている。仮に今後も金の需要が一定以上あれば、長期的に見れば金の物理的な需給は供給不足になる。金の需要は宝飾品向けが4割強を占め、景気が悪いと宝飾品需要は落ち込み、昨年は前年比▲3.2%と減少したが、景気が回復すれば宝飾品は売れるものである。

 結論として、金価格が下がったところは長期投資としての金を買い入れる絶好の好機となるだろう。いずれインフレになれば金はインフレヘッジとして価格が上昇すると思われるからである。

 なお、金価格は直近の短期的には反発すると思う。1月17日の1697.8ドルから下落し始めたNY金価格は、短期的に反転上昇する可能性がある。その根拠は、ファンドが売っているからである。2月19日までの週のファンドのNY金に対するネット買い残を見ると、3万201枚ネット買い残が減少して、9万8380枚となっている。金のネット買い残が10万枚を割れるのは2008年12月9日以来4年3ヶ月ぶりのことである。これだけを見れば、金に対する人気が薄れていると解釈できるが、内容を見るとそうでないようである。なぜなら、買い残は18万9328枚で、12月18日の19万9724枚から約1万枚しか減っていない。

 ところが売り残は、12月18日の4万216枚から2月19日には9万948枚に5万枚増加している。つまり、ファンドは金の買い持ちを減らしているというよりは、金の空売りをしている状況と認識できる。売りが増えてきたのは2月に入ってからである。おそらく今後、金価格がある程度下がって、一般投資家があわてて売り始めるとファンドは買い戻しを行うだろう。つまり短期的には金価格は反発すると思われる。

 その時期を占うのは、ひとつには、3月1日に控えた米国の政府歳出の自動削減問題である。民主党と共和党の折り合いが万一つかない場合は、政府歳出の一律削減が発動される。そうなると2013年度の残り7ヶ月間(3~9月)で約500億ドルの歳出削減につながり、この金額は同期間の米国GDPの0.54%に相当する。財政の崖問題は5月18日の国債発行上限問題の期限もあるが、こうした米国の財政問題に加えて、イタリアの選挙後の政局や、フランスの経済の落ち込みなどが欧州不安を掻き立てる要因となる可能性も金価格上昇の要因となる。


原油価格の上昇、今後の動きは?

 

 NY原油価格は、景気回復の余波を受けて昨年末から上昇してきた。しかしその背景には供給過剰という実態がある。何よりも米国のシェールガス、タイトオイルと呼ばれるシェールオイルの生産増が挙げられる。非OPEC諸国からの生産量は、こうした米国とカナダのオイルサンドの生産が増加し、2011年は日量1516万バレルだったものが、12年は1666万バレル、13年には1730万バレルと、3年で214万バレルも増加する見込みである。世界の需要は、2011年が8804万バレル、12年が8880万バレル、2013年は8968万バレルで、需要の増加はこの3年間で164万バレルに過ぎない。(2013年の予想はOPEC Oil Market Report2月号による)

 12月と1月にサウジアラビアが減産していることが価格を上昇させる一つの要因となった。しかし実際、サウジアラビアは多くなった原油在庫を放出しているが、UAEやリビア等が増産しているため、結局OPEC諸国全体の生産量は3171万バレルと横ばいになっている。

 2013年の世界の需給は、OPECの推計では日量8968万バレルの需要である。これに対して非OPECからの供給が5392万バレル、OPECの天然ガス等からの原油供給が598万バレル、合計5990万バレルとなり、OPECに必要とされる原油供給量は2978万バレルであるが、1月のOPECの生産量は3171万バレルなので、このままの生産が続けば193万バレルの供給過剰となる見込みである。

 金とは逆にNY原油に対するファンドのネット買い残は、2月12日までの週に、314,345枚のネット買い残となっており、昨年9月以来の多いネット買い残となっていた。2月19日には1万1169枚減少し価格も下落したが、まだ多い水準にある。

 今の原油情勢では100ドルの壁を超える内容は見当たらず、長期的にみるとシェールオイル革命により、世界的に原油は余ってくるものと思われる。シェールガス、オイルを世界で一番多く保有している国は中国で、世界全体の19.3%のシェールガス埋蔵量が確認されている。これは、2位の米国の13%、3位のアルゼンチンの11.7%、4位のメキシコの10.3%を大きく凌いでいる。

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 また中国では炭層ガス(Coal Bedded Methane:CBM)やオイルサンド、ガスハイドレート等、豊富な非在来型エネルギー源があり、CBMは現在の世界の天然ガス確認埋蔵量よりも多いという。米国は2015年に世界一の天然ガス生産国になり、2017年には世界一の原油生産国になるが、中国はその後米国を凌駕するエネルギー大国になると見られている。こうした将来の展望も併せてみると、原油価格はそれほど上がるとは思えない。


講師紹介

近藤 雅世

ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ講師
株式会社コモディティーインテリジェンス 代表取締役社長

近藤 雅世

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