2013/03/06(水)「イタリア総選挙の行方(大前研一)」資産形成力養成講座

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イタリア総選挙の行方(大前研一)

イタリア総選挙 財政再建路線継続も"ねじれ"で安定政権困難

 

 先月25日開票のイタリア総選挙は、ベルサーニ民主党書記長率いる中道左派連合が下院で過半数を確保する一方、上院では過半数を大幅に下回るねじれ状態となりました。イタリアでは上下両院がほぼ同じ権限を持つため、上院が少数派では安定政権の樹立は不可能で、26日金融市場では世界的にリスク回避による円高・ユーロ安と株安が進行しました。政治空白が長引けばイタリアの信用不安が高まるのは必至で、市場では欧州債務危機が再燃することの懸念が強まっています。

 ただその直後のイタリア国債の入札がうまくいったので、週明けのマーケットを見ないとわかりませんが、とりあえずの小康状態を保っていると言えます。選挙結果を上院・下院で見てみましょう。下院では中道左派が過半数を取りましたが、モンティさんが中道左派と連立を組もうとしており、足してみると問題のない状況です。中道右派・ベルルスコーニ陣営はあまり議席を取れなかった中、109という議席が5つ星運動に流れました。イタリアの喜劇俳優の人が出てきて、大番狂わせをして第三党になってしまったという状況です。上院では中道右派も大きく、モンティ連合は予想通りというか票も議席も取れませんでした。

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 5つ星運動ですが、喜劇役者のベッペ・グリッロ氏が作った政治団体で、インターネット中心に活動をしています。とにかく既存政党を激しく批判し、「既存政党と協力していくことはしない、連立は組まない」と発言しています。案件ごとに是々非々で行くという姿勢で、若い人たちに人気があります。幾つかの自治体では首長ポストを獲得し、シチリアでも第一党になっています。喜劇役者ではないので日本の橋下さんを例に挙げるのもおかしいですが、考え方として似たところもあります。

 5つ星というのはグリッロさんが言っている、Public water、Sustainable mobility、Development、Connectively、Environmentalismの5点に由来しています。標語に若い人がピンと来ている状況ですが、今回の内容を見ていると、ベルルスコーニはいかがなものか、しかしモンティ氏の緊縮財政も勘弁してほしいというところで、一人で批判していたグリッロ氏に票が集まってしまったということだと思います。こういった傾向は各国で見られますが、イタリアについては一層不安定になってしまいました。一旦組閣は中道左派中心にやることになっているようですが、本当に安定した政権を運営できるかは疑問で、近いうちに再選挙もあると言われています。


EU域内における格差と規制強化

 

 ユーロ圏各国で資金調達コストの格差が広がっています。欧州債務危機が和らぎ、企業向け貸出金利はドイツでは2%台に下がりましたが、ギリシャやポルトガルなど南欧諸国では6%台と高止まり状態にあり、危機対策の効果が南欧企業には及んでおらず、ユーロ圏全体の回復の足取りが鈍る懸念があります。

 金利格差にもつながっているので、一般の個人が銀行に預けるときに、ユーロという共通通貨を使っているため、金利の高い国に預けておいた方が良いということになるでしょう。しかし借りる側から見ると南欧の企業が借りようとすると6%と言われ、ドイツの企業は2%で借りることができます。企業格差が更に開いてしまうことになりかねません。

 緊縮策をやっていって本当に出口があるのかという議論になります。緊縮策を進める中ではこういった格差にも従わなければいけない状況にまで来ていますが、本当に出口があるのかという点にはEU委員会も100%大丈夫とは言えない状況です。マリオ・ドラギECB総裁に、これをやらないと支援しないと言われているのでしょうがない状況なのです。

 また、EUは域内の銀行への規制強化策で合意しました。銀行員の賞与は年間給与と同額を上限とすること、株主の承認を得た場合のみ給与の2倍まで支給できることを定めたもので、銀行のトレーダーなどが自身のボーナスを増やすためにリスクの高い取引にのめり込むことを防ぐ狙いです。

 銀行のトップだけではなく、銀行員は自分の給与と同じ額までしか賞与をもらえないことになります。危ない取引をしてその年は非常に成績が良く、賞与をたくさんもらうがすぐに辞めてしまうという人が後を絶ちません。ハイリスクな取引をしないよう、今回の規制強化を実行しました。株主総会で認められる限りと言いますが、今の情勢で株主に認められることは少ないと考えられます。

 イギリスの場合はシティを抱えているので、キャメロン首相は猛烈に反対しました。こういった規制をするとシンガポールやニューヨークなどと競争できず、いい人材がニューヨークやシンガポール、あるいはルクセンブルクに行ってしまうことを懸念するからです。しかしキャメロン首相の反対は無視されてしまいました。EUの金融規制にイギリスが抵抗したがダメだったのです。

 リスボン条約以降の状況を見ると、EUは統合の方向に向かっているので、イギリスだけ例外というわけにはいかなくなってきています。キャメロン首相は自身の選挙の際には、EUに残るべきかどうかを国民に問うと言わざるを得なくなりました。ファイナンシャルタイムズの記事では、イギリスの凋落、イギリスがEUから見放される、ということの一例だと書かれています。イギリスだけが特例と認められる環境は今のEUにはないのです。優秀な人が本当にシンガポールやアメリカに抜け出すかと言うと私は疑問に思いますが、そのように言われていることは確認しておきましょう。


米政府歳出の強制削減が発効 2021会計年度までに約110兆円削減

 

 アメリカのオバマ大統領は1日、アメリカ政府の支出を2021会計年度までに合わせて1兆2000億ドル、およそ110兆円削減する大統領令に署名しました。これによりアメリカの予算が内容を問わず一律に削られる前代未聞の事態になりましたが、大統領は議会に対し影響の軽減を検討するよう呼びかけています。

 以前天井について揉めたときに、「これが合意されなかった時には強制的に削減する」と両党の合意の元決めていました。今回の強制削減は、その日が来たというだけです。これに対して大統領はYesもNoもなくサインせざるを得なかったのです。オバマ大統領はサインする時に、「こんな勝手で馬鹿げていることはあるのか」と言っていますが、彼の交渉力では共和党の合意が得られなかったということです。

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 強制削減によって何が起こるのかと言うと、基本的には以下のような予測が挙げられています。経済成長率を押し下げ。雇用は75万人失われる。公務員は休職し、減給になる。国防職員に至っては80万人が休職になる可能性がある。空母派遣を見送る、戦闘機開発が遅れる。交通については管制官の不足から停止する、一部路線が欠航する。その他食品安全や教育などへの影響など、多岐にわたり懸念されています。

 しかし10年間でこれだけ削減すると決めているだけで、やり方はいろいろあります。私は強制削減実施について、いいことだと考えています。アメリカも日本も政治的には削減できない状況が続いています。ここを越えたら強制的に110兆円の削減ですよ、年間11兆円ですよ、と決めて実施でもしない限り削らないのが政治家ですから、良いプロセスだと思います。

 強制削減が起こったら何が起こるかと予測されていますが、実際はどうでしょう。ここ20年間の日本を考えてみましょう。日本人はここ十数年、100万円給与を削っていますが、雇用され続けています。だから失業率が4%で推移しているのです。アメリカの場合も数でカットしないで、給与が10%削られますが残りますか、と聞かれたら残る人が大半だと思います。空港の荷物検査などはパートの人が多いので削られるでしょう。荷物検査が20分だったのが40分になるという空港も出てくるとは思いますが、その程度で収まるのではないでしょうか。

 結局は給与が10%下がるけれども雇用され続け、忙しくてしょうがない人は出ると思いますが、10%下がる分上司の目を盗んでサボります、そんな方向に向かうのではないでしょうか。ある日突然崖だ、という話ですが、ゆるやかに進むのではないかと思っています。


講師紹介

大前 研一

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 学長

大前 研一

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それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

 

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