2013/04/10(水)「株式投資初心者の陥りやすいミス(福永博之)」資産形成力養成講座

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株式投資初心者の陥りやすいミス(福永博之)

テクニカル分析では何を学ぶのか?

 

 皆さんは、株式投資などでファンダメンタルズをベースにしていると思いますが、それだけでは売買タイミングを逃して損失が拡大したり、儲け損なったりすることがあります。テクニカル分析の売買タイミングを活用することで、利益を伸ばし、損失を拡大させないようにすることができるのです。そのテクニカル分析にはいろいろな種類がありますが、自分に合ったものを見つけ、それぞれの長所と短所を理解して、適した使い方ができるようになることが大切です。日本のアナリスト協会の中でも改めてテクニカル分析が注目されてきていますし、アメリカでもテクニカル分析は証券アナリストと同等の資格制度があり、ますます重要性が高まってきています。


投資家動向とトレンドを探る

 

 テクニカル分析は、その銘柄のファンダメンタルズ以外のことを教えてくれるものです。その一つは投資家の動向です。投資家が株を買いたいと思っているのか、売りたいと思っているのかを分析で示すことができるのです。株価そのものは基本的に売りたい人と買いたい人の投資行動に左右されるものなので、その行動を探ることは株価予測にも有効と言えます。たとえば、売買高や、投資主体別売買動向がそれに当たります。

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 日本株は2012年11月の党首討論会で野田前首相が衆議院解散発言をしたのをきっかけに底入れしましたが、日経平均株価と売買高の推移を見ると、その時点で売買高が大きく増えているのがわかります。それまでは20億株に届かない水準でしたが、その後20億株を上回り、12月にはさらに一段と売買高が膨らんでいます。1月以降は信用取引の制度変更の影響があるものの、売買高は増え続け株価も上昇基調を保っています。ファンダメンタルズだけを見ていては、こうした流れについていけないのです。株価と売買高の推移を見ることは基本中の基本であり、非常に重要なことなのです。

 次に株価の動く方向=トレンドについて見てみましょう。株価の方向というものは、上昇傾向、下落傾向、横ばいの3つしかありません。ジグザクな動きもあると思われるかもしれませんが、分析すると3つに分けることができるのです。

 バブルの崩壊とともに株を買って、ただ長く持てば良いということでは投資はうまくいきません。トレンドを把握せずに株式売買をすることは、海図を持たずに海に出ることに等しく、自分がどこにいるかさえ分からない状態と言えます。勘に頼るのではなく、売買タイミングを身につける必要があります。

 投資が成功したか失敗したかは、その成果である利益(パフォーマンス)によって決まります。いくら含み益が合っても、実際に利益を確定させなければ「絵に書いた餅」であり、食べることはできません。バブルで株がいくら値上がりしていても、売れなければ結果的にはパフォーマンスには繋がらないままなのです。利益を確定させるためには売買タイミングが重要になってきます。

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 トビックスの推移を見ると、2003年の安値やリーマンショック後の安値で買っていたとしても、長期で持っているだけでは利益に繋がらないことがよく分かります。赤い丸の高値を付けたところで売れていなければ、パフォーマンスはよくならないのです。つまりどこで買ったとしても、タイミングを見て売り買いし、資産を増やし、損失を拡大させないことが重要だと言えるのです。


株式投資初心者の陥りやすいミス

 

 株式投資の初心者が陥りやすいミスとして、株価の推移を見ないというケースがあります。現在の株価は過去と比較してどの位置にあるのか、株価水準はきちんと見ておかなくてはいけません。自分の選んだ株を信じて、いつ買っても長く持てば上昇するという概念に支配され、そのままにしておいてはだめなのです。

 さらに、株価が上向きなのか、下向きなのかを把握せずに買ってしまうこともよくあります。逆張り志向の強い投資家が多く、下げている株を敢えて買ってしまう傾向があります。特徴として、日本の投資家と外国人投資家は正反対の投資をします。外国人投資家は上がり始めるとどんどん買い、日本の投資家は売ります。逆に株が下がり始めると、外国人投資家が売り、日本の個人投資家は買います。安く買いたいという心理が非常に強く、安値を見てしまうと上がってきたところを買えず、逆に高値で売りそびれると、下がってきた過程では売れないという傾向があるのです。

 このように敢えて下がっている株を買うので、パフォーマンスが悪くなってしまうことがよくあります。安く買って高く売りたいのはもちろんですが、底で買うことは難しいので途中で買うことになります。そこから一旦戻ったとしても売らずに持っていてさらに損失が拡大するということがよくあるのです。

 さらに、売買のタイミングを考えずに株を買ってしまうということもよくあるミスです。高度成長期にはタンスに入れていて10倍になっていたということもあったでしょうが、今ではあまり考えにくいです。そうした環境で、新聞や雑誌の記事を鵜呑みにして、タイミングを無視して買ってしまう傾向があります。ところが、その情報は既に株価に織り込み済みで利益に繋がらないということがよくあるのです。

 もちろん、こうしたミスをしても上手くいく場合もありますが、安定的に収益を上げる投資をするためには、このようなミスは避けなくてはいけません。そのために必要なのは、やはり現状分析です。ファンダメンタルズは分析済みでも、株価についての現状分析を忘れてはいけません。その上で、勢いがある時にその勢いに乗って投資をする、つまりトレンドに乗ることが重要なのです。

 評判の良い会社の株を、株価の推移を見ずに高値で買ってしまい、下落したとすると戻るまでに何年も待たなくてはなりません。株式投資で成功するためには売買タイミングを見なくてはいけませんが、実はテクニカル分析をしてみると、このチャートはすでに売りシグナルと下がり続けるトレンドを示してくれているのです。


講師紹介

福永 博之

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師
株式会社インベストラスト 代表取締役
IFTA国際検定テクニカルアナリスト

福永 博之

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