2013/06/05(水)「長期金利上昇における影響とは?(田口美一)」資産形成力養成講座

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長期金利上昇における影響とは?(田口美一)

長期金利上昇におけるプラスとマイナスの影響とは?

 

 株式や為替など金融市場が不安定な動きを見せる中、金利もここのところ急激に上昇しました。この金利の上昇がいろいろなところに影響を与えると言われています。

 長期金利上昇の影響を整理すると、まずマイナス面として日本は大量の国債を発行しているので、その利払い費が増加するのは明らかです。利払い費が上がると日本の財政が破綻に向かうという不安まで出てきます。これは国債を発行する側のコスト増ですが、一方で国債を保有する側にもマイナス面があります。金利が上昇する過程は国債価格が下落する過程でもあり、価格が下がると投資家は持っていた国債の含み損が増加する、または含み益が減少することになります。さらに住宅ローン金利にも影響が出ます。固定金利であれば金利の変動はありませんが、変動金利で借りていた場合にはコストの増加に繋がります。またこれから借りようとしていた人にとっては、低い固定金利が上昇してくる可能性もあるので、家計にとっての負担につながります。

 一方、あまり聞かれませんがプラス面も少なからずあります。金利、債券を見る場合、債券だけで価格が動いているわけではありません。必ず他の現象と連動して動いているのです。株式や為替、外国の債券などがある中で日本の国債も動いているので、通常、金利が上がる時は株価が上がり、円安が進んでいます。いくつかのポートフォリオを持っている人にとっては、金利が上昇してもその時には持っていた株が上昇する、米国債や外貨預金が上がる、というメリットが同時に起きているのです。「資産効果」とよく言われますが、持っている資産が上がるという効果が裏側で起こっているのです。

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 さらに企業収益も上がり、これも裏側に起こっている現象からのプラス面であると言えます。また、債券運用をするときに、始めは何故だろうと思うことの一つですが、国債の利回りは確かに上がっていて、持っていたポートフォリオの利益が減るというマイナス面があるものの、逆に新しく投資をしようとした時には、金利が0.5%の時よりも1%の時の方が投資リターンは高くなります。その意味では、新規投資の利回りは上昇しているのです。これから資産運用を始める場合には投資リターンが高くなるのです。そして、景気が回復している中で、株価上昇、円安などの現象があるので、通常、賃金や設備投資などもプラス方向に向かうはずです。つまり、金利が上昇している現象の背景や、同時に起こっている現象から、プラス面をかなり享受することもあるわけです。

 しかし、これは金利が上がることで直接起こることではなく、同時平行的に起こっている現象なのでイメージが湧きづらいかもしれません。金利上昇からまずは利払い費上昇や、含み損増加などの直接影響の方が大きいことは確かです。しかし、逆に言えば2012年までずっと金利は下がっていたので、全て逆のことが起きていました。利払い費は減り、国債価格は上昇して含み益が増加、住宅ローンも下がっていました。ただし、株価は下がり、円高になり、新規国債投資の利回りは減少、賃金や設備投資も下がるというのがこれまでの状況だったのです。債券市場を考えるときには、そのものだけではなくて起こっている背景や合わせて起こる現象をトータルで見ることが非常に重要なのです。


1%未満の長期金利は歴史的に見て極めて稀な局面

 

 国債利回りの変化を具体的に見てみましょう。2013年1月初めと、日本銀行が異次元の金融政策を発表した4月4日、5月半ばの動きを確認してみます。まず、一番なじみのある10年債でみると、今年の頭には0.835%でした。それが異次元緩和で0.455%になりました。終値ベースの数字なので、実際は瞬間的に0.3%まで下がりました。これは相当な変化です。ところが5月半ばには0.85%となり、1月のアベノミクスが始まった時の水準まで戻しています。その後、瞬間では1%まで付けるなど急激に下がった後、戻って上昇しているというのが今年の動きです。5年債や2年債で見ても同様で、一旦下落した後、1月初めの水準よりもさらに上がっています。やはり、中期債を中心に足元急上昇していることは確かです。

 マーケットが大きく変動していることは間違いなく、これはボラティリティーが急激に上がっている状況です。過去の経験から、このような場合には取引所がマーケットの動きを沈静化させるために一時商いを停止するという措置を講じます。これをサーキットブレーカーと言います。あまりにも急激に価格が動くので、投資家心理を押さえ、取引所としても計り知れないことが起こっていないか確認するために、一度マーケットを止めるのです。このサーキットブレーカーが4月以降、先物市場で頻繁に起こっています。ただ、この場合も他の市場と合わせてみることが重要で、株や為替も同様に、市場関係者の想像を上回る急激な変化をしていることはご存知の通りです。株高、円安が起こっているので、金利も上がりやすい環境だったことは間違いないでしょう。

 さらに10年債の利回り推移を長いスパンで見てみると、2003年に一度0.4%を付けています。ちょうど「りそなショック」後、りそな銀行が救済される直前に0.4%を付けました。その後、小泉改革、安倍第1次内閣と株価が回復する中で、金利も少しずつ上昇してきました。2008年リーマンショックまで1.5%から2%を続けます。しかし、リーマンショック、民主党政権を経て去年まで、ほぼ一貫して下がってきます。今年4月には0.3%という低水準を付けた後は、急に0.8%から1%近辺に戻るという動きです。

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 足元、金利は急上昇したと言いますが、このグラフから見ると1%という水準は金利が急上昇してとんでもなく異常事態になっているとは言えません。グラフからは、過去10年の中で、1%よりも下の水準にあった状態の方が極めて短いことがわかります。2003年に少しと2012年だけなのです。1%から1.5%がほとんどを占め、1.5%から2%もそれほど多くありません。

 つまり、1%以下の状況は2012年のように、円高株安、デフレが進行し、日本経済全体、家計も含めて深刻な状況にあるときだと言えます。逆に、1.5%から2%の状況は、株が非常に堅調、経済は自信を回復し、楽観論が広がった時期です。そして1%から1.5%の状況は、両者の移行期であり、超悲観から楽観に向かう間、楽観から悲観に向かう間の時期と捉えることができます。こうして10年間で見ると、長期金利が1%以下であることが実は極めて稀な状況であることを再認識しておくことが重要なのです。


講師紹介

田口 美一

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師
金融経済アナリスト
前クレディ・スイス証券副会長

田口 美一

5月28日に撮影したコンテンツの一部をご紹介します。

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