ダイヤモンドのビジネス情報サイト、ザイ・オンラインは、先月31日、「激震!分配金9割減のJ-REITが出た」と題する記事を掲載しました。これは先月29日のMIDリート投資法人が6月の分配金の予想金額を7,210円から418円に減額すると発表したことを紹介したもので、これはこの法人が所有するパナソニック大阪京橋ビルを売却する際、13億1,800万円の売却損が出ることが分かったため、分配金を大幅に減らさざるを得なかったことが原因とする専門家の分析を紹介しながら、J-REITへの投資では保有物件の精査も必要と指摘しています。
私は常々、キャッシュフローが確実なものでなければJ-REITは危ないと話しています。ただ単に不動産を組み込んだだけでハイパーインフレ対策に良いと思い込むのは間違いです。今回のようなケースでは、キャッシュフローはともかく、売却することになりその売却損が出てきたわけです。
パナソニックは汐留のビルも売却してリースバックしていますし、ソニーも品川の大きな自社ビルを売却してリースバックしています。このように、リースバックするケースでは高い値段で、高いキャッシュフローで計算しているので、さらに売却する際には売却損が大きく出てしまうのです。ソニーもパナソニックも益出しのためにやっているので、このリースバックの物件が組み込まれているものは余程注意が必要で、疑ってみる方が良いでしょう。持っていた人は残念ですが、J-REITも万能ではないということを知らせる意味では、こうした例が出たことはよかったと思います。
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