2013/06/12(水)「荒い株式値動きと日本の成長戦略(大前研一)」資産形成力養成講座

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荒い株式値動きと日本の成長戦略(大前研一)

日経平均の荒い値動きを考察

 

 先月30日の東京株式市場では日経平均株価が大幅に反落し、終値は737円安と、今年2番目の下げ幅となりました。アメリカで金融緩和が出口に向かうとの観測から長期金利が上昇し、世界の株式市場でリスク回避の動きが拡大したことを受けたもので、荒れた相場はしばらく続くとの見方が有力です。

 安値から7割8割と上昇し、そこから1割下げているので、去年の11月と比べるといい水準にあることは変わりありません。しかし、このような状態になると、一本調子で上げるという展開ではなくなってきています。ヘッジファンドなどはもう既にいろいろな調整に入っています。これからは一方的に買い進んでいくというような、1ヶ月ほど前のような状況ではないでしょう。私は元々、アベノミクスは量的な緩和によるドレスアップだけなので、企業業績、実需などの内容が伴わず、本質的に企業収益が改善するという見通しはなく、効果は限定的だと話しています。株価も、急に果てしなく落ちるという状況ではありませんが、買い進んでいる状況ではなくなってきたといえます。

 また、国債の金利が0.9%、さらに1%をつけましたが、このような状況は銀行経営にとっても非常につらいものがあります。アベクロと言われる、安倍首相と黒田総裁の脳天気な楽観論は一度ここで冷や水を浴びせられたことになります。マーケットというものは、そんなに脳天気に回復するものではないので、冷静に見るいい機会だったともいえます。

 実際に円安メリットのある自動車など一部の産業が若干良くなっていることは事実です。ただし、デパートで高級品が売れているということに関しては、株で儲けた人たちが買い物に行ったに過ぎないので、一般の人の貯金が消費に大きく動いているという証拠は全くないのです。アベノミクスを礼賛する日経などの記事には注意する必要があります。実態はもちろん民主党政権の頃と比べれば遥かに良くなりました。この政権は何かやりそうだという期待値はあるものの、結果が出るのは非常に遅い上に、そこまで持続した政策ができるのかという問題もあります。

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 海外投資家を見ると、日本株の保有高は83兆5,560億円と、前年末比27%も買い増しているので、やばくなるとさっと売り抜ける可能性があります。日本に来ている金はテンポラリなものが多いので危ないと常々話していますが、外国人投資家の買い越しは年初から急激に増えたものの、最近では売り越しが勝つ日も出てきているので、かなり焦ってポジションをクリアしていると見られます。これからはしばらく一進一退の荒い動きが出てくるのではないかと思います。


J-REIT投資での注意点とは?

 

 ダイヤモンドのビジネス情報サイト、ザイ・オンラインは、先月31日、「激震!分配金9割減のJ-REITが出た」と題する記事を掲載しました。これは先月29日のMIDリート投資法人が6月の分配金の予想金額を7,210円から418円に減額すると発表したことを紹介したもので、これはこの法人が所有するパナソニック大阪京橋ビルを売却する際、13億1,800万円の売却損が出ることが分かったため、分配金を大幅に減らさざるを得なかったことが原因とする専門家の分析を紹介しながら、J-REITへの投資では保有物件の精査も必要と指摘しています。

 私は常々、キャッシュフローが確実なものでなければJ-REITは危ないと話しています。ただ単に不動産を組み込んだだけでハイパーインフレ対策に良いと思い込むのは間違いです。今回のようなケースでは、キャッシュフローはともかく、売却することになりその売却損が出てきたわけです。

 パナソニックは汐留のビルも売却してリースバックしていますし、ソニーも品川の大きな自社ビルを売却してリースバックしています。このように、リースバックするケースでは高い値段で、高いキャッシュフローで計算しているので、さらに売却する際には売却損が大きく出てしまうのです。ソニーもパナソニックも益出しのためにやっているので、このリースバックの物件が組み込まれているものは余程注意が必要で、疑ってみる方が良いでしょう。持っていた人は残念ですが、J-REITも万能ではないということを知らせる意味では、こうした例が出たことはよかったと思います。


対外純資産 2012年末時点で296兆3150億円

 

 財務省が先月28日、日本の企業や政府、個人が海外に持つ資産から外国人が日本国内に持つ資産を差し引いた対外純資産は、2012年末時点で前年比11.6%増加の296兆3,150億円で、3年ぶりに過去最大になったことを明らかしました。

 対外純資産は、日本が世界一というのは22年連続です。これには悲しい現実があります。1つは、国内に投資機会がないので日本の企業や個人が外へ出て行くという現象です。一方、外から誰も来てくれないので対内投資がほとんどないということです。つまり寂しい国家日本は、人は逃げ出さないけれど金が逃げ出しているのです。

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 主要国の対外純資産を見ると、日本、中国、ドイツと続きます。アメリカは大きく対外純資産がマイナスです。これはみんなが喜んでアメリカに行くからです。アメリカの企業も活発に対外投資を進めていますが、それを遥かに上回る外からの投資があるのです。対外純資産が多くても、そのうちの多くは為替の状況によっては腐ってしまい、投資先によっては不良債権になってしまうので、必ずしも喜ぶべきことではないといえます。

 さらに今特に問題なのは、この巨大な対外資産からの所得収支、つまりリターンがあるわけですが、これだけが日本の経済収支黒字の理由となっている現状です。貿易収支は赤字となり、もともとサービス収支は赤字が多いので、国際収支が赤字となる可能性もないとは言えないのです。


日本の成長戦略を分析する

 

 政府は先月28日、2017年度末までの向こう5年間を、緊急構造改革期間とする成長戦略の工程表をまとめました。国が運営するハローワークの求人情報を2014年度からオンライン上で民間企業に開放することや、高度な技能を持つ外国人は3年で永住資格を取れるようにすることなどが盛り込まれており、金融緩和と財政出動に続く第3の矢で、日本経済を息の長い回復軌道に乗せる考えです。

 アベノミクス最初の矢は金融緩和で、既に量的緩和を実施しました。2番目の財政については財政出動ではなく、実は消費税の増税による財政健全化が含まれています。しかしこれは安倍首相はやりきらない可能性があります。そして3番目が成長戦略ですが、今は選挙対策としてどんどん表に出して来ていますが、大抵のものは締め切りが再来年になっていたり、2017年になっていたりしているのが問題です。

 具体的に見てもインパクトのあるものはなく、国家の成長を目指す戦略とは言えません。今まで規制が非常にきつかったところを、特区などを作り、目こぼし的にやるなど、役人が妥協してくれそうなところをちまちまと上げているように見えます。

 たとえばリースを使った投資支援では、自分の金で投資せずにリースを使って、投資が失敗すれば国が一部を負担するというのです。企業が無謀なことをするのに国民の税金を使って良いわけがありません。また、供給過剰分野の是正と言っていますが、造船危機や繊維危機の時には業界が全部設備を調整したわけですが、そのような厳しさは現在ありません。また、社外取締役の導入を原則化するとしていますが、成長戦略に何の関係もありません。ソニーなどは社外取締役が多くいて物言う取締役と言われましたが、結局何も言いませんでした。ハローワークの情報を民間に開放しても、成長戦略にはなりません。

 子どもが3歳までの育児休業も社会政策としては良いですが、成長戦略になるでしょうか。特区については、そもそも役人がやりたがらない政策を政治家がやりたい場合に、小さいところでだけやってもいいとされる戦略です。ですから、特区での取り組みは広がったことがありません。小泉改革の時に株式会社立の大学を特区で認めましたが、結局広がりませんでした。医薬品のネット販売に付いても、医薬品が3倍売れるという話ではなく、どこで買うかの問題に過ぎないので成長戦略とは言えません。対内直接投資を35兆円にするとも言っていますが、日本は世界から誰も投資に来ない状況で、どのように実現するのか聞きたいものです。実際に去年の対内投資はマイナスで、来ていた企業も撤退している状況です。どのようにして多くの対内投資を呼び込んでくるのか、絵空事としか思えません。

 結局、これらの戦略を考えた人は、どうかしていると思います。成長とはGDPです。今回の成長戦略には、それとは全く関係ない戦略ばかり並んでいるのです。


講師紹介

大前 研一

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 学長

大前 研一

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資産形成力養成講座 加藤

 

日本株式は現在調整中。世界情勢、世界の投資家の情報を的確につかみ、乗り越えていきたいですね。世界は日本をどのように見ているのか?世界のお金の流れをつかみ、結果の出る資産運用を実現していきましょう! また、物価連動国債も現在準備が進んでいるようです。個人が買えるようになるまでには時間がかかるようですが、要注目です。

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今週のグローバルマネー・ジャーナル、いかがでしたでしょうか。

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日本株式を筆頭に上昇する先進国。一方伸び悩む新興国。世界経済は新しいフェーズに向かおうとしています。世界のお金の流れを学び、リターンを実現できる資産形成力を高めておく時期ではないでしょうか?

それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

 

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