2013/06/19(水)「中国はいずれ深刻な経済困難に陥る!?(武者陵司)」資産形成力養成講座

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中国はいずれ深刻な経済困難に陥る!?(武者陵司)

中国はいずれ深刻な経済困難に陥る!?

 

 中国はいずれ、かなり深刻な経済困難に陥る可能性が高いと見ています。リーマンショック以降、中国は無理をして伸びきった経済でした。さらに危機対応として4兆元という空前の財政出動をし、経済の規模をさらに拡大させました。非常に無理がたたっているのです。

 経済には大きく2つの重要項目があります。それは投資と消費です。消費はその時に必要なものに対して行いますが、投資は将来必要なものを作るので、今必要ではないものを増やすことができます。経済成長のために、消費は簡単には増やせませんが、投資はその場しのぎでいくらでも増やせるのです。中国が行ってきた経済対策は投資をどんどん増やす政策であり、その結果、経済の構造は著しくいびつになっています。

 足元の経済指標を見ると、鉄道貨物輸送量はマイナスで、電力消費は低水準となり、根源的なものの動きが止まっています。粗鋼生産は昨年末からやや回復しているものの、これは在庫積み増しによる一時的なものです。輸出、輸入ともに改定後の伸び率はほぼ0で、事実上中国経済は成長を止めつつあり、既に失速症状と見えます。

 そうした中、中国の実質GDPは、このところ減速して8%を切っていますが、まだ高い状況です。この高い成長に寄与した項目をグラフで見ると、5年ほど前までは輸出が成長を支えていました。しかし中国は既にかなり賃金が高くなり、輸出は経済の牽引役ではなくなりました。今の牽引役は投資の項目です。ただし、これが続くかというと難しい状況になってきています。おそらく急激に投資は落ちることになるでしょう。

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 今後は過剰投資が鮮明化し、副作用が出てくると考えます。設備稼働率が落ち、無理して操業すれば在庫が溜まります。住宅に過剰投資をすれば買い手が付かず値が下がります。買った住宅を有効活用できず放置され、鉄道も採算が合わなくなります。これまで作った資産が不良資産化する局面がやってくる可能性が高いのです。

 中国の投資は大変極端なもので、GDPに対する投資の比率を主要国と比較しても、45%という他国にはない水準の投資を続けているのです。日本の高度成長期でも36%でした。常識では考えられないほどの投資をしたことで、中国は経済成長を遂げたのです。投資の大きな柱となった設備を例に見ると、粗鋼生産のシェアが10年ほど前の1割程度から現在5割まで伸びました。たった10年で世界の設備の5割を自国に作るという驚くべきことをやったのです。この間、大変な設備増強投資が行われたわけです。

 これだけの投資をすればそのための設備の需要も高まり、投資が投資を呼び、自己実現的に投資が増えたとも言えます。こうして過剰設備を抱えた中国の鉄鋼設備投資は、今後、良くても横ばいとなるでしょう。それは他の分野にも当てはまります。中国の設備投資は減る場面に入ってくるのです。他にも鉄道などの公共投資、住宅建設などを見ても、いずれもこれ以上増やせないピークに達しています。今後の投資は増えず、成長率に寄与するのは消費だけとなっていくのです。

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 問題なのは消費を増やせるかということになりますが、投資は政治家や企業が決めるものですが、消費は個人が決めるものです。個人に消費するのに十分な分け前が必要になるわけですが、中国は労働分配率が4割と異常な低水準に留まっています。作り出された付加価値の儲6割はエスタブリッシメント(共産党、政府、地方政府、企業とそれに関連する幹部)の手にあり、それらは投資にしか使えません。つまり、作り出された付加価値の配分の過半が家計に行かず、よって消費に回らないのです。投資は伸びず、消費は増えないとなれば、経済は急激に失速することになります。

 所得分配にゆがみがあることが最大の問題です。経済成長の初期段階では、まず企業や政府に所得が集まり、投資が呼び水となって経済が活性化するので、労働分配率が低くても合理性があります。しかし、中国にはここまで経済発展をしてもなお労働分配率が上がらないという構造的な問題があります。これにより、消費主導の経済への転換が起きないことが大きな問題なのです。

 賃金を比較すると、中国はアジア主要国の中で最も高く、工場が他国へ逃げていく状況です。沿岸部の賃金が上昇し、それにより競争力が落ち、貿易黒字が減り始めています。沿岸部では、賃金は上昇しているものの物価も大きく上昇していて、豊かな生活ができる人は限られています。さらに、内陸部の賃金上昇は低く抑えられています。企業経営は困難になり、競争力は落ち、さらに、消費を牽引する労働者への配分が高まらないという構造的な問題を抱えているのです。


「ルイスの転換点」から見る中国経済の問題点

 

 新興国が先進国に成長していく過程での分岐点として、「ルイスの転換点」と言われるものがあります。日本では、1960年にその転換点を迎えました。それ以前、物価は上がっていませんが、1960年以降は20年近くに渡って4%から8%の上昇を続けました。このように物価上昇が本格化する点を「ルイスの転換点」と言います。これはつまり、発展初期段階では、農村に余剰な労働力があり、生産性が上がったとしても労働賃金が上がりませんが、一方、転換点を越えると労働者余剰がなくなり、金の卵と言われる労働者を集めるために賃金上昇が定着するのです。この結果賃金インフレ、つまり労働生産性の伸びを上回る賃金上昇が起き、そして労働分配率が高まり、家計所得の増加と消費の拡大が起きました。

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 中国ではこの転換点がまだ起きていません。生産性を上げても労働者は相応に賃金を上げてもらえない状況が続いているのです。所得再配分と消費を軸とした内需拡大が可能かというと難しいのです。日本は当時、所得倍増計画が打ち出され、転換点後に急速に国民の生活が豊かになったことで、内需の拡大に繋がりました。日本は今、GDPに対して輸出依存度がわずか14%で、86%が内需なのです。一方の中国は3割近くが輸出依存です。賃金上昇ができず、内需に繋がらないことが中国の本質的な問題なのです。共産主義なので労働者への分配を率先してやるべきなのに、それができていないのです。中国に最も必要なのは、富を分け与えるような体制改革だと言えます。一部の人々に富が集中する構造を変えない限り、成長できないのです。

 こうした状況の中でも、中国は中央銀行がお金を供給したり、政府が公共投資をしたりと、経済を押し上げる努力をしてきたわけですが、こうした奥の手も難しくなって来ています。名目GDPに対する外貨準備高の比率を見ると、10年ほど前から急速に増え、2010年には49%まで上昇しました。ところがここ数年急激に外貨準備は減少しています。銀行が外貨預金を受け入れて人民元を発行するので、外貨の積み上がりはすなわち中国における通貨供給といえます。GDPに対して5割近い通貨供給をする裏付けがあったわけですが、それが減って来ているのです。通貨を供給しようとしてもなかなか供給できなくなりつつあるのです。

 そもそも企業設備そのものが過剰であり、不動産も乱開発で問題を抱え潜在的な不良債権を抱えていると言う一方で、資金面でのやりくりも徐々に苦しくなっているというのが、今の中国経済なのです。早ければ半年か一年で失速が表面化してくることになるでしょう。


講師紹介

武者 陵司

ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ
資産形成力養成講座 講師

武者リサーチ代表
ドイツ銀行グループアドバイザー

武者 陵司

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