2013/07/10(水)「マーケットの過熱感をどのように判断するのか?(宮島秀直)」資産形成力養成講座

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マーケットの過熱感をどのように判断するのか?(宮島秀直)

マーケットの過熱感をどのように判断するのか?

 

 世界の資金状況を知るために、Excess Liquidityの伸び率を見てみます。これは、M3という一番広義のマネーフローの伸び率から、世界のGDP成長率を引いたものです。実体経済の成長に必要のないお金がどのくらいのスピードで伸びているかを示します。これが、6月末現在6.4%となり、3月末の5%台を超えて、6%台に乗ってきました。同時に、ただでさえQE3の影響があり1四半期で0.5ずつ伸びてきている上に、今後9月末や12月末の時点では黒田日銀総裁の資金供給によってさらに伸びが大きくなってくると思われます。この数字は4%未満ならば貧血状態と言えますが、7%を超えて8%に近づくとバブルが発生する目安となります。現在はちょうど良い水準を保っていますが、12月末には最低でも7.4%に伸びると試算されます。さらに黒田総裁が増やし方を拡大すれば8%に達してくる可能性もあります。ここからすると、年末には一度売って逃げる必要があるということがわかります。

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 しかし、今回バーナンキFRB議長が会見で話したことはQE3の縮小でした。アメリカのQE3と日本の金融緩和が重なれば、Excess Liquidityも8%になる可能性がありますが、アメリカが資金供給を月に5000億円から7500億円程度減らしてくれば、日本の増やす分とアメリカが減らす分により安定した状態が保たれるでしょう。このまま放っておけば大変な事態になるところだったので、アメリカが少しずつ緩和の量を縮小するということは世界の安定化に繋がるよいことなのです。ただし、アメリカは緩和を縮小、日本は拡大となると、当然日本が強くなります。バーナンキ議長の会見を受けてアメリカは株価が下がり、翌日の日本株が持ち直したのもそこに理由があるのです。

 ただ、黒田総裁が137兆円の資金供給をした資金が、全て株に来るという確証はまるでありません。その資金が株に来ると考えて株価上昇を見込むのには難があります。世界中の株式市場の出来高を3つの時点で比較したグラフを見ると、そのことがよくわかります。2003年から2007年までの平常時、最も減った去年と、回復した今年、それぞれの出来高を比較したものです。平常時から去年への落ち込みと比べて、去年から今年にどの程度回復したかをみると、去年から今年への戻りは、アメリカの場合は22%しかありません。ヨーロッパも19%と少ない伸びです。実はアメリカやヨーロッパは4−6月の出来高が1−3月より減っているのです。一方、エマージングは40%伸びていますが、これは売りが増えたからなので良い状況とは言えません。そして、日本はなんと445%の出来高回復を見せています。このことが、日本は行き過ぎていると世界中が感じ、下がっても買いを躊躇する大きな理由となっているのです。日本だけ史上最高の出来高を更新した時期がありましたが、それはやり過ぎだったと言えるのです。

 しかし、5月、6月は日本も出来高が減ってきています。過熱感のある状態からややクールダウンしてきたと見られ、これは良い現象と言えます。一部の報道では出来高が減少したことを心配している内容を見かけますが、今は出来高が減った方が良いのです。何でも適正なピッチというものがあるので、今まで大きく増えすぎていたものが落ち着いた時はどうしようと思うのではなく、血圧が正常に近づいたと思えば良いのです。過熱した相場でその主人公が日本になれば、今後は7月8月に暴騰し、その後暴落するということにもなりかねません。ここは、アメリカが資金供給を減らし続けてくれて、日本は増やすことができる状況なので、そこを冷静に、落ち着いて買いにいくことをしなくてはいけません。これまでは落ち着いていない投資家が一部にいたわけですが、それがようやく動きを止めてきたので、これからマーケットはもう少し賢い動きになってくると思われます。


ユーロ問題の現状をキャッチアップせよ!

 

 【受講生からの質問】

 ユーロ危機について、現在後退しているような印象を受けますが、まだまだ指標は改善していません。今後の動向を教えてください。

 【宮島講師からの回答】

 ユーロの状況で注意が必要なのは、今年のフランス国債やドイツ国債が明らかに買われ過ぎということです。ソルベンシーⅡで金融機関は今年中にかなりの株を売る必要がありますが、EUからは、その売った分を自国の国債か社債を買うように言われています。それによりドイツが売った日本株の4000億円はそのままドイツの国債に流れ、フランスが売った株の資金はフランス国債に流れました。今年中、12月31日までは、そのようにしてヨーロッパの国々が売った株式はレパトリエーションで自国の国債に入ってくるので、当然国債は強くなります。しかしそれは完全に下駄を履いた状態なのです。

 それに対し、今年1月からジョージ・ソロスが喚起し続けていることは、来年からはこうした援護射撃はなくなるということです。ソルベンシーⅡがまだ十分終わっていないので来年いっぱい延長するとなれば話は別ですが、そうでなく、予定通り終了となった場合には、その途端にドイツやフランス、スペインなどの国債に大きな売りがでることになるでしょう。それが「ユーロ危機が起こる」と言われている理由です。

 しかしそうは言っても、ECBは十分な資金を持っているとも言われています。確かに足元、ECBに資金が戻ってきています。ECBは危機回避のためにヨーロッパの金融機関や政府に対しての貸し出しが大きく膨らんでいましたが、グラフのように、そのお金がかなり返ってきており、資金供給する前の2012年初めの水準にまで戻っています。各国はECBからの資金を返しているということになりますが、一つは強がりでもあり、財政赤字圧縮の理由にされたくないということもあるでしょう。しかしながら、現実にECBに資金がたっぷり残っているということは確かなのです。ECBは今、何かあれば、5兆円、10兆円という規模で、イタリア国債やスペイン国債を買うための資金が手元にあるということなので、非常に安定していると言えます。

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 懸念材料としては、もともとの議論としてメルケル独首相などが言い出していることですが、ジャブジャブと無制限に資金供給するという体制は中央銀行としておかしいのではということです。ドラギ総裁に言えば何でも買ってもらえるというような状況はおかしいというのです。資金を70%提供しているのはドイツなので、ECBのあり方に対して、ドイツとの間で亀裂が入り始めているのも確かです。ドイツでは憲法裁判所がECBの無制限の債券買い入れについて合法性を審理していますが、毎回政治的な要因やマーケットへの配慮などで結論は出ていません。しかし、今年はメルケル首相の選挙の年です。国民の支持を得るためにECBに対してこの問題を取り上げる可能性は高いでしょう。さらに来年には国債が不安定になることで、10月頃からは世界の投資家がヨーロッパに対するスタンスを厳しくしてくることも考えられます。

 ただし、結局は、ECBに資金が戻り、手元資金が余っているので、ヨーロッパは当分の間は大丈夫だと思われます。5年国債CDSスプレッドを見ると、日本、イタリア、スペインなどの国債が5月23日から大きく売られ、スプレッドが上昇しましたが、100には達していません。スプレッドは200を超えると危険国ですが、今のところ破綻のリスクは半分以下という評価なのです。


講師紹介

宮島 秀直

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師

パルナッソス・インベストメント・ストラテジーズ株式会社
代表取締役 兼 チーフストラテジスト

宮島 秀直

6月21日に撮影したコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。

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それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

 

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