グラフからも分かるように、日本の場合には外国人の就労者は非常に少ないのです。アメリカは例外としても、ドイツなどでもかなり高い割合で労働人口を外から輸入しています。シンガポールなどでは、完全に能力を基準として永住権を渡す制度があります。日本では、工事現場など人がやりたくない仕事を任せることがあっても、今回のように頭脳労働者を受け入れるということを今まであまりやってこなかったわけです。さらにそうした高い技術を持った人たちは世界中から引く手あまたなのです。この程度の条件では日本には来ないだろうと思います。
また、ロイターの情報サイトは6日、「移民受け入れで人口拡大、オーストラリア経済にもたらす成長の果実」と題する記事を掲載しました。経済成長が続くオーストラリアについて、毎年およそ25万人にのぼる移民の受け入れが成長要因の1つであることが見過ごされがちと指摘し、移民の受け入れにより、住宅や自動車、教育、医療などあらゆる分野での需要が支えられていると紹介しています。
白豪主義のオーストラリアの人口はかつて、1,600万人から増えなかったわけですが、その後移民受け入れにより、 約600万人が外から入ってきました。この人たちが若く、金持ちで能力があり、働きものであったために、オーストラリアは今、新興国のような特徴を持ち始めています。これはまさに毎年25万人の移民によるものです。移民は出て行く人も多いものの、教育レベルも高く、新しい勢力となっています。GDPの成長率を見ても政府債務がほとんどないという特徴もありますが、オーストラリア経済は非常に堅調だといえます。資源価格によって乱高下するという時代とは変わり、資源価格が下がり中国が減速を見せてもそこそこ保っているというのはこうした背景があるのです。やはり、若い人口が増えることが重要なのです。
オーストラリアが2,200万人の人口で、年間20万人以上を入れているという割合で考えると、日本の場合100万人規模で入れないといけません。そのくらいでなければ日本の就業人口の低減はカバーできず、GDPも維持できないと思います。オーストラリアの例は、良い参考になるでしょう。
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