2013/08/14(水)「QE3テーパリングの影響は?(田中泰輔)」資産形成力養成講座

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QE3テーパリングの影響は?(田中泰輔)

QE3のテーパリングは今後の経済にどのような影響を与えるのか?

 

【質問】

 QE3のテーパリングが、 5月23日以降世界のマーケットが大きく下げた原因となっています。 特にこの影響でエマージングマーケットはボロボロになっています。 日本円も韓国ウォンも台湾ドルも、ドルに対して1%~2%程度上昇しています。それに対し、インドは6%下落、インドネシアも5.3%、ブラジルレアルは12.3%も下落しています。テーパリングは今後の経済にどのような影響を与えるのでしょうか。

【回答】

 QE3のテーパリングは、アメリカが自律回復する過程の通過儀礼です。自律回復が持続できると判断されるからこそ、金融緩和に縮小・解除に向かえるのです。これを進めるバーナンキの手腕を信頼しています。彼は従来の極端な金融政策をやめる出口戦略の勇み足が回復の全てを台無しにしかねないリスクも十分に知っている、この分野の権威です。

 実は1936年、大恐慌後に適切な金融・財政政策で一旦経済が持ち直し、インフレも生産もプラスとなってもう大丈夫だという所まで来て、FRBが預金準備率を僅かに引き上げるという出口戦略に動き出しました。その半年後に、株価が再び反落し、デフレとなり、全てを台無しにしてしまいました。

 バーナンキFRB議長はそうした危機対策や、危機後の出口対策について研究してきた人物です。世界で最も事情に通じた権威であり、彼が自らの研究成果を実行するその方法を基本的に信頼しています。ただ5月に彼が、QE3を向こう1年で縮小・解除に向かわせる道筋について具体的に言及したことは少々驚きました。これまでは、FRB内部の反バーナンキ流のタカ派の人たちがアメリカ経済の回復の兆候を見て早期に金融緩和をやめたほうがいいと言いだし、それでマーケットがぐらつくと、バーナンキFRB議長が登場し、緩和の継続や必要であれば拡充もあると語り、市場の期待を支え続けたものです。そんなバーナンキ氏が自ら先んじてQE縮小・解除の可能性を語ったので、市場も驚き、リスク資産・通貨は下落しました。

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 あのバーナンキ議長のことですから、なぜそんな発言をしたか、逆に後付けでも理由を考える必要があります。彼は来年1月までが任期ですが、市場ではこれまで任期いっぱいバーナンキ流の政策運営が続くと考えていました。しかし現実には、その数ヶ月前に後継者が決まります。今のところバーナンキ流を継承するイエレン副議長が最有力候補の一人です。後継者が決まると、バーナンキ氏の求心力は低下し、一方で、後継者はいきなりテーパリングからスタートすることになります。バーナンキ氏が彼の政策の継承者にバトンタッチするうえで、スムーズな道筋を自ら用意しておくべきとの思いを抱くことはむしろ自然かと、後になって思い至った次第です。

 金融緩和の縮小・解除を景気回復過程の通過儀礼とは言いましたが、いざ実行する時は、それまでの金融相場に沿った既存のポジションがアゲンストになるため、その巻き戻しの程度に応じた相場の調整・反落が起こります。この点で、近年の状況をみると、2011~12年に、新興国の多くは景気減速局面に入り、その時点で多くの資金が一旦流出しています。すでにある程度ポジションが巻き戻された後なので、相対的にショックは小さいはずです。

 ただし去年の秋からアメリカ経済の自律回復観が強まり、新興国通貨・資産の一部で物色買いの動きが出ました。この真新しいロングが予想より早い緩和縮小の動きに驚いて巻き戻され、5~6月の相場の調整が幾らか大きくなりました。ショックを与えた張本人のバーナンキ氏は、神経質な相場地合いを再認識し、それ以降はもう一度ハト派姿勢をとっています。事情に通じた政策当局の運営手腕を信じ、米経済の自律回復軌道は一層しっかりしていくとの基本観に変わりはありません。


ソルベンシーⅡの影響によるユーロの下落リスクをどう見ていますか?

 

【質問】

 ソルベンシーⅡにより、大規模な株の売却が続いていて、その売却益をユーロにもたらしているので、為替もなかなかユーロが下がらない状況になっています。しかし、ソルベンシーⅡによる売却は今年で終了するので、来年からはユーロが下がることが懸念されています。ユーロの下落リスクをどう見ていますか?

【回答】

 ユーロ圏の債務問題の後処理は続いており、ヨーロッパ系の金融機関や機関投資家は国際展開していたビジネス・投資の整理縮小に動いています。その場合、海外のビジネスや投資の資金をいったんユーロに戻す動きとなり、ユーロが下がらない背景事情の一つになっています。

 米欧ともに金融緩和を続ける状況下では、ユーロ/ドルも金利相場の様相になりがちです。実際に金利とユーロ相場を並べて見ると、為替が金利相場であることはわかります。ただし一方で、金利から大きくかけ離れてユーロ安へ振れている場面も何度か発生しました。ギリシャなど南欧諸国の債務問題が発生し、これら問題諸国の債券が投げ売りされ、買い戻さないまま、ユーロ資産の保有ウエイトを減らしました。このため、債務問題の不安が落ち着いた後、ユーロ相場は元の金利相場が示唆する水準から下方に乖離したまま、金利と為替の連動性を復活させています。

 これから先、アメリカは回復してQE3の縮小・解除に向かうでしょうが、一方、欧州は債務問題の埒が何年もあかず、経済を圧迫し、それをECBが支え続けるでしょう。景気格差、金融政策格差の大きな流れは、ドルに対するユーロの劣勢をもたらすと考えられます。そしてユーロ/ドルが下落する過程で、ユーロ圏の政策当局は危機に対して先手を打てないという欠陥が今後も度々露呈されると思われます。ドイツ当局は、国民と議会の納得が得る前に、先手を打つと表明できません。金融問題への対処で後手に回り、取り付け騒ぎめいた事態になると、阻止することは容易でなく、ユーロの加速的な投げ売りを度々招くことになります。

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 また現在、国際投資家は既にユーロ資産をアンダーウエイトにしています。つまり既にユーロ・ショートであり、ユーロ圏の情勢が少々不穏になっても、売り急ぐ敏感さを弱めています。ユーロ相場が落ち着いていると、欧州当局は必要な政策をあえて打ちません。この政策運営の慢心が次の危機を招く下地となり、危機が生じても対応が後手に回ると相場の底割れ懸念が募ります。それに備えた投機やヘッジのユーロ・ショートが積み上がるまでになって、政策が発動されると、今度はその膨大なユーロ・ショートが巻き戻されて、ユーロ相場は持ち直し、市場が落ち着くと、政策がまた滞る、ユーロ相場はこうした上下動を1年に1度か2度は繰り返しつつ、対ドルの中心軌道を来年にかけて1.2、再来年に1.15へと下げていくと予想します。


講師紹介

田中 泰輔

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師

ドイツ証券
グローバル マクロ リサーチ オフィサー

田中 泰輔

7月27日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。

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