2013/09/25(水)「QE3が必要だった根本的な理由とは?(武者陵司)」資産形成力養成講座

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QE3が必要だった根本的な理由とは?(武者陵司)

量的金融緩和を捉える二つの見方

 

 QE3の縮小は、決してマーケットにネガティブな影響を与えるものではないと思います。むしろ現在、QE3の縮小が起こる前にいろいろな形で、それを口実にマーケットは売られていますが、実際に起こってしまえば織り込み済みとなり、マーケットは安定するでしょう。むしろ、アメリカの長期金利もこれから低下していく局面に入っていくと考えます。おそらく秋から年末、来年前半に掛けて再び株式のラリーが復元されるだろうと思います。

 リーマンショック以来の世界の株価は、6割大暴落し、V字型に回復しています。日本だけが昨年秋まで低迷していましたが、アベノミクスの導入でようやく大幅な上昇がはじまりました。この欧米の株価上昇と日本のキャッチアップラリーを実現した重要な要素が、量的金融緩和です。主要国中央銀行の極端なまでの金融緩和が株価を大きく押し上げたのです。

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 この株価上昇に貢献した量的金融緩和をどう見るかについては、二つの見方があります。一つは、禁じ手であり、一時的なカンフル剤に過ぎないという見方で、いずれ経済は息切れするので期待してはいけないというものです。それに対しもう一つは、量的金融緩和はそれ自身がファンダメンタルズを良くしていくものなので、その先は経済拡大、株価上昇に繋がるとする見方です。今後を考えるためには、QE3が更なる経済発展をもたらすのか、それとも一時的に経済を支えていただけで、再び困難に陥るのかを見極めないといけません。

 悲観的な人々は、QE3はバランスシートを膨張させ、バブルを作り、リスクを取りすぎた金融機関にさらにお金を印刷して与え、やってはいけない株価上昇をまたやっていると捉えます。これは、借金の循環によって経済が動いていくという見方に基づいています。債券を主体として考えるPIMCOのビル・グロスなどはこうした見方をとっています。しかし、私はこうした見方が正しいとは思いません。この株価上昇が金融緩和による株価の押し上げに過ぎないとは言えないからです。

 米国税引き後企業利益の推移を見ると、近年の増加は目覚ましいものがあります。これは単に中央銀行の過剰な金融緩和によって可能になったわけではなく、企業収益の著しい増加によって企業価値が高まったからだと考えられるのです。量的金融緩和がこれに1つの大きな役割を果たしたにせよ、その結果、企業収益が大きく増加しているということは、ファンダメンタルズが良くなっているということです。信用が増えようと増えまいと、ファンダメンタルズの改善により経済も良くなり、株価はさらに上昇すると言えるのです。

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 量的金融緩和というのは、放っておけばどんどん成長していく経済が、スムーズに屈託なく成長できる条件を整えるものだといえます。本来なら屈託なく成長するはずの経済が途中で成長を止めてしまうことがあり、その障害となっているものを取り除くのが量的金融緩和なのです。そう考えると量的金融緩和は当然必要なものであり、それが必要なくなったと言うことは、発展のための阻害要因が消えたので、経済の成長は続くと考えてよいのです。


QE3が必要だった根本的な理由とは?

 

 そもそもQE3がなぜ必要となったのでしょうか。それは劇的な生産性の向上が背景にあるといえます。アメリカに限らず世界中で、ITの技術革新により組織の有り様が劇的に変化してきました。生産性は劇的に向上し、100人雇っていた企業も50人で仕事ができるようになり、企業は従来通りの商売をしていながら、巷では失業者が増える事態となっているのです。技術革新の結果、大変な人余りが起こりました。

 そして、余っているのは人だけではありません。実は大変に金も余っているのです。米国企業のキャッシュフローは増え続け、設備投資額は増えず、資金余剰が膨らんでいます。これは設備投資をやらないからではなく、設備の値段が下がっているからなのです。つまり資本生産性の上昇です。この金余りが、市場空前の低金利を世界的にもたらしているわけです。この余った人と金を有効に活用し、新たな需要を作ることこそ大切なのです。

 アメリカでは人と金が余っているものの、満たされていない需要を見いだすことができない状態となっています。そして余った人と金が、次の落ち着きどころを探すための環境整備が必要となるわけです。QEは、余った人と金が、次の需要に落ち着くための環境を作る時間を準備するものなのです。

 こう考えると、QE3が終わるということは、余った人と金が、徐々に次の働き場を探し、そちらにシフトし、そこで次の需要を生み出し始めていると考えられます。QE3が終わる環境は、経済がより成長し、企業の利益がさらに増加する環境なのです。QE3の終了で株価が下がり、リスクテイクが阻害されることにはならないと言えるのです。

 実際に、アメリカのセクター別の雇用の推移を見ると、情報産業、製造業などは雇用が落ち込んでいますが、教育・医療、サービス、娯楽・観光などで雇用が増加を続けていて、二極化していることがわかります。生産性が高まっている情報産業や製造業では企業が儲かっているにもかかわらず雇用が減り、一方、教育、医療、サービスなど生産性はあまり上がらないものの需要があるので雇用を作る力があるのです。したがって情報産業や製造業などの所得を教育、医療、サービスなどに再配分する必要があり、それらの値段が上がることが必要となります。そして、それを作る条件となるのが量的金融緩和であると言えるのです。

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 さらに、セクター間の所得の再配分、つまり需要がある所に資本を投入し、リスクテイクを進めるために必要な事は、金融市場の機能の復元です。実は、まだアメリカでもリスク回避にとらわれて本当は需要があるのにその分野にお金が配分されていないのが現状です。そのおかげで資本が遊んでしまい、雇用の創出も十分ではありません。それを手っ取り早く解決するには、金融市場に十分なリスクリターン、金利裁定をもたらし、資本が移動する環境を整備すればよいのです。これがQE3のもう一つの目的です。

 債権に比べて割安とみられる株価を押し上げることで、人々のアニマルスピリットを鼓舞し、余っている人を適切な所へと誘導する作業です。まだまだアメリカの債券と比べ株価のフェアバリューは低いことから、金融市場はまだ十分に機能していないと見られます。この状態をみると、QE3が縮小されるとはいえ、完全に終わることはありえないでしょう。アメリカの超金融緩和はまだまだ続くとみてよいのです。出口がいよいよ近いと言われますが、これまでの緩和ペースをやや緩めると言うだけで、まだ緩和は継続するのです。次期FRB議長となる人物もこの問題を非常に強く認識しているので、マーケットの梯子を外すような金融政策は決して取らないと言えるでしょう。


講師紹介

武者 陵司

ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ
資産形成力養成講座 講師

武者リサーチ代表
ドイツ銀行グループアドバイザー

武者 陵司

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