2014/01/09(木)「2014年 シェールガス革命の進化(近藤雅世)」資産形成力養成講座

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2014年 シェールガス革命の進化(近藤雅世)

2014年、アメリカは更なるシェール革命の恩恵をもたらす

 

 2013年は『株価上昇の年』であった。年初を100とする指数では、年末に日経平均株価は52.4%、S&Pは25.5%、ドイツDAXは22.8%、ベトナムVNIは17.4%上昇した。上昇上位25銘柄中10銘柄が株式であった。

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 2014年はどんな年になるかと言えば、『米国経済が力強く復活し、ドル高になる年』だと予想する。それは、シェール革命の全貌がより具体的になってきたためだ。

 米国エネルギー情報局(EIA)のデータによれば、2008年米国の原油生産量は、日量494万バレルであったが、2013年は747万バレルと+253万バレル増、1.5倍になっている。米国は2013年原油と天然ガスを合わせたエネルギー生産量でロシアとサウジアラビアを抜いて世界一となった。2014年はパナマ運河の改修工事が終わり、14万立方メートル級の大型LNG船の通行が可能となる。FPA締結国向けに限られていた天然ガス輸出が自由化。これまで輸出が禁止されていた米国の原油輸出について議論が高まることと思われる。EIAは、2020年頃米国は天然ガスの純輸出国、2035年頃に原油純輸出国に転換すると予測している。国際エネルギー機関(IEA)は2020年までに米国の原油生産量はサウジアラビアを抜いて世界一になると予測している。

 一方米国の原油輸入量は、2008年に日量979万バレルだったものが、2013年は779万バレルと、▲200万バレル、2割減となっている。更に、米国の石油製品輸出は2008年の日量139万バレルが306万バレルに+167万バレル増、2.2倍になっている。エネルギーの輸入が減って輸出が増えることにより、米国の貿易収支は改善している。三菱UFJリサーチ&コンサルティングによれば、EIAが発行する『Annual Energy Outlook』の2006年版(シェール革命前)と2013年版(シェール革命後)のデータを比較すると、2030年時点のエネルギー貿易収支の改善効果は7,400億ドル程度と試算されるという。2012年の米国の経常赤字は4,404億ドルであるので、シェール革命により米国の経常収支は近い将来黒字化することが見込める。

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 シェール革命は、米国の経常収支を改善するだけではない。米国の産業構造を一変させ、ひいては世界経済の構造変化をもたらす。一例は石油化学工業である。原油からナフサを精製してプラスチック等石油化学製品を生産するよりは、天然ガスから生成されるエタンを原料とすれば、製造コストが安くなる。既にエクソンモービル、クラレ、信越化学、ダウケミカル等が米国に新たなエチレンや樹脂工場を建設している。天然ガスを原料とする化学プラントの新設計画は2013年11月時点で97件発表されており、総額720億ドルという。

 また米国の発電用エネルギーは石炭が主力であったが、天然ガス価格が従来の5分の1程度に下がり、13年9月20日米環境保護庁が発表した環境政策により、酸素炭素補足貯留装置(CCS)なしの石炭発電所の新設が不可能となっている。こうしたコストや環境の問題から、米国の発電エネルギー源は石炭や原子力から天然ガスに変換され、発電コストが低下して、電力代は日本や欧州の半分以下になると思われる。そのため、電力を多消費するアルミ産業などエネルギー多消費型産業は安い電力と広大な地産地消の背景需要を持つ米国で効率的に生産されることになるだろう。また電力価格の低下はすべての米国の製造業の生産コストを引き下げる。

 石炭火力から天然ガス火力発電への転換の副作用として、生産量の90%以上が発電所で利用されていた石炭が、米国内の売り先を失って欧州や東アジアに輸出されている。英国はロシアからの天然ガス輸入を米国からの石炭輸入に切り替え、ロシアの天然ガスの販売量が激減し、ロシアの極東進出を後押ししている。また米国の石炭と共に、北米での販路を失った南米の原油が東アジアに向かい、エネルギー貿易構造を変えている。

 米国の鉄鋼業界では、石炭をコークスに加工して炉頂から投入する従来の方式を、天然ガスを直接投入する直接還元法が主流になると考えられる。コストが安くかつ技術的に単純なものであるからである。すでに電気炉による鉄鋼生産を行っているニューコア社は、天然ガスを利用する鉄鋼生産を開始すると発表している。


シェールガス「革命」による自動車業界で織りなす二つの変革

 

 自動車業界では、二つの側面での変革が進行している。

 一つは天然ガス自動車の発達であり、もう一つはガソリン価格の低下による、エコカーとしての低燃費車や電気自動車等への流れが変わり、ガソリン車とディーゼル車が再び復活すると傾向である。

 天然ガス自動車(NGV)には二種類ある。圧縮天然ガス(CNG)と、LNG燃料自動車(LNGV)である。前者は燃料タンクに気体を充填し、後者は液体を充填するという違いである。同じ量の天然ガスを充填する場合、CNGはLNGの1.5倍の容積が必要である。CNGは1回の燃料供給での走行距離が短くてもよい公営バス、ゴミ収集車、地域配送車等がターゲットとなる。一方LNGVは、幹線道路沿いにLNG供給所の整備が今後必要となる。

 米国では、車の燃料の天然ガスシフトが急速に進んでいる。その理由は二つあり、一つは燃料代が安いこと、一つは環境に優しいためである。2011年に天然ガス価格は2006年時点の5分の1に下がった。こうなると小型車で約7割、トラックだと約5割の燃料代節約となる。またCO2排出量はNGVが、ガソリン車に比べて1~2割、ディーゼルトラックについては、NOx(窒素酸化物)やSOx (硫黄酸化物)等の排出量が大幅に削減され、黒煙やPM(粒子状物質)もほとんど排出しない。また騒音・振動もガソリン車並みでディーゼル車よりは低い。

 更に、ガソリンエンジンを天然ガス仕様に変更するのは天然ガス吹き込み口を追加するだけで済み、簡単な改良で良い。ホンダは天然ガス仕様の「シビックGX」を全米で販売、いすゞ自動車やFORDも天然ガス自動車販売を強化している。日本でもディーゼル車から天然ガス自動車への転換が進み、2011年度末には4万台を超えている。国際エネルギー機関は、2013年11月発行のWorld Energy Outlookにおいて、天然ガスの輸送用エネルギー分野に占める割合は2035年まで毎年年率5.6%の伸びを見せ(現状では3.8%)、陸上輸送では年率4.8%(同1.8%)で伸び、中国と米国で拡がるとしている。

 もう一つの自動車産業に対するシェール革命の影響は、ガソリン価格の低下である。原油価格は景気の回復につれて上昇するという側面を持つ反面、米国における良質(軽質)なタイトオイルの大量生産は原油価格上昇にキャップを嵌めると思われ、中長期的には、軽質油から精製しやすいガソリン価格の低下という作用を及ぼすと予測される。

 米国におけるベストセラー車は、V8エンジンを積んだ大型のピックアップトラックであり、米国3大自動車メーカーのピックアップトラック3車種の販売台数はホンダの全米販売台数を超える。これまで低燃費をキャッチフレーズに好調だった日本車の売れ行きは、ガソリンや軽油価格の低下によりその魅力を失う可能性がある。

 将来的には、天然ガスから水素や液体燃料(GTL)を作り、燃料電池車や天然ガス自動車が主流となるという動きも見逃せない。GTLとは、Gas to Liquidsの略で、天然ガスから液体の炭化水素を造る技術やその技術で造った合成油(GTL,軽油等)を指す。GTL軽油は硫黄分の少ない良質な自動車燃料となる。当面は大型バスやトラック等の燃料としてGTL利用が促進されるだろう。

 こうした天然ガスやシェールオイルを中心にした産業には、新たなインフラ投資が欠かせない。最も緊急を要するのは石油パイプラインの建設、あるいは、港湾施設やLNG船など、増産される天然ガスの保管・輸送に関わる施設であり、大きな投資需要がある。

 また、化学産業での天然ガス利用拡大による効果について、全米化学協会は720億ドルの設備投資につながり、66万人の雇用増加をもたらすと試算している。また、米エネルギー情報局は、シェール革命により天然ガス産業全体で、320万人の雇用を産むと述べている。

 ボストンコンサルティンググループは、シェール革命による米国消費者の家計支出への影響はエネルギーへの直接的な削減効果が2012年で425~725ドル、2020年には713~1,217ドルに及ぶとし、米国の1家庭当たり年間の家計支出は約5万ドルであり、その内自由に使える支出は13,000ドルであることを考えるとシェール革命による家計支出においては、2020年には自由に使える支出が約10%多くなる計算になるという。

 シェール革命を背景に、2014年以降米国経済の活況は徐々に高まるものと思われる。ドル高はさらに進み、円安により日本の諸物価は上昇するだろう。2014年以降、資産を守るためには、ドル預金やドル債・米国株投資並びに、円建ての商品投資がおすすめとなるだろう。


講師紹介

近藤 雅世

ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ講師
株式会社コモディティーインテリジェンス 代表取締役社長

近藤 雅世

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資産形成力養成講座 加藤

 

新年あけましておめでとうございます。2014年がスタートしました。今年はNISAがスタート。強い米国経済を背景に、世界経済は好転するのか? 株価、為替などを考える上で、非常に楽しみな情勢になっています。インフレが期待される中では、インフレを想定した資産形成にシフトしなければなりません。「自ら考え、自ら行動を起こし、資産を形成すること」 私たちは今年も教育という観点からサポートしてまいります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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