2014年はどんな年になるかと言えば、『米国経済が力強く復活し、ドル高になる年』だと予想する。それは、シェール革命の全貌がより具体的になってきたためだ。
米国エネルギー情報局(EIA)のデータによれば、2008年米国の原油生産量は、日量494万バレルであったが、2013年は747万バレルと+253万バレル増、1.5倍になっている。米国は2013年原油と天然ガスを合わせたエネルギー生産量でロシアとサウジアラビアを抜いて世界一となった。2014年はパナマ運河の改修工事が終わり、14万立方メートル級の大型LNG船の通行が可能となる。FPA締結国向けに限られていた天然ガス輸出が自由化。これまで輸出が禁止されていた米国の原油輸出について議論が高まることと思われる。EIAは、2020年頃米国は天然ガスの純輸出国、2035年頃に原油純輸出国に転換すると予測している。国際エネルギー機関(IEA)は2020年までに米国の原油生産量はサウジアラビアを抜いて世界一になると予測している。
一方米国の原油輸入量は、2008年に日量979万バレルだったものが、2013年は779万バレルと、▲200万バレル、2割減となっている。更に、米国の石油製品輸出は2008年の日量139万バレルが306万バレルに+167万バレル増、2.2倍になっている。エネルギーの輸入が減って輸出が増えることにより、米国の貿易収支は改善している。三菱UFJリサーチ&コンサルティングによれば、EIAが発行する『Annual Energy Outlook』の2006年版(シェール革命前)と2013年版(シェール革命後)のデータを比較すると、2030年時点のエネルギー貿易収支の改善効果は7,400億ドル程度と試算されるという。2012年の米国の経常赤字は4,404億ドルであるので、シェール革命により米国の経常収支は近い将来黒字化することが見込める。
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