2014/06/25(水)「米金融政策の3大テーマとは?(西岡純子)」資産形成力養成講座

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米金融政策の3大テーマとは?(西岡純子)

アメリカ金融政策の3大テーマとは?

 

 アメリカはどういう形で現在の異常な緩和政策から離脱していくのか、世界中が注目しています。振り返れば去年の半ば、金融政策の出口の議論が出てきたとき、特に新興国が過剰に反応し、緩和政策が終わるならば資金を急いで引き上げなければならないという思惑が、アジア新興国株や通貨の大幅下落につながるという動きがありました。今後どのような展開が予想されるのか、実際のFRBのアクションによって確認しておく必要があります。

 金融政策の3大テーマとして、まず、利上げまでの出口戦略をどのように考えるのかが挙げられます。もちろんアメリカにおいてもインフレ懸念が出てくればすぐに金融環境を引き締める必要があります。ただ、実際はこれまで異常な政策をとってきたことの解消を今後どのようなプロセスでもって進めていくのかが重要なのです。FRBが中央銀行でありながらアメリカの国債やMBSといった金融商品をどんどん購入することによって、事実上、市場に介入していたような状況でした。保有資産の残高を落としていきながら、利上げのタイミングを考えなければならないのです。償還分の再投資を停止する時期を利上げの前にするか後にするかについても議論が広がっていますが、特にアメリカでは住宅市場の疲弊の問題が非常に注目されていたことからすると、金融政策ではMBSの再投資を停止するタイミングが非常に重要になってきます。

 また、今の米金融政策においては超過準備が非常に積み上がっていて、いざ利上げをしようと思っても市場金利をうまく誘導できない可能性があります。超過準備をいかに吸収していくのかということも非常に重要ですが、その帰結として政策金利は0.5%に誘導が可能なのか考える必要があります。

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 2つ目のテーマは、2015年9月の利上げは可能かということです。15年9月が今のところ初回利上げのタイミングとして市場のコンセンサスとなっていますが、FRBとしては、できれば異常な緩和政策からは離脱したいという思惑が潜在的にあるので、果たしてマーケットが現在織り込んでいるような15年9月の利上げが可能かどうか、物価の観点から考えることが重要です。

 3つ目のテーマは、利上げペースの決定要因です。利上げは1度や2度ではなく段階的に継続して行いますが、上がっていった後のピークはどこになるのかということも非常に重要です。もともとアメリカの成長率は4%近くあったので、政策金利は4%近くまで上がってもおかしくないというのがリーマンショック前までのアメリカの状態でした。しかしリーマンショック以降は、企業活動が非常に萎縮してしまい、成長率のトレンドが下がっているので、利上げを続けた後の政策金利の落ち着きどころは、過去に見ていたよりも低いところにあると思われます。それが、中立金利という概念です。中立金利を何%と考えておく必要があるのか、政策金利の足元の水準が見えてくると、それがリスクプレミアムを織り込みながら長期金利がどう動くか分析することにもつながってくるので、中立金利はアメリカで議論されている重要なテーマとなっています。


合意された出口戦略の原則とは?

 

 2011年6月にFRBで合意された出口戦略の原則があり、その中で概ね出口戦略はこのように進めるべきだという順番が既に示されています。それによると、正常化の最初のプロセスは再投資を停止することだとされています。今は償還したお金を元にまた同じ条件の証券を買う再投資が行われていますが、それをまず止めます。再投資を止めると償還がどんどん来るので残高が下がっていきます。それが最初のステップです。

 2番目は、それと同じかその後に政策金利の時間軸を修正、準備預金の吸収を開始するということです。今、超過準備が非常に膨れ上がっています。銀行はある決まった金額を中央銀行に預けるわけですが、それを超えて中央銀行に預金が溜まってしまっているのです。この超過準備がたくさんある限り、いざ政策金利を上げようとしても、市場金利がついてこない可能性があります。実際に政策金利を上げる前の段階で、超過準備を十分に吸収しなくてはいけないというステップが2番目なのです。超過準備に対する金利を上げる、準備預金の水準そのもの調整するというやり方があります。

 そして、3番目は、経済環境が許せば政策金利を引き上げる、金融政策における最優先の調整手段がFF金利に変わっていくということです。伝統的な金融政策に戻っていくわけです。

 4番目は、初回の政策金利の引き上げからやや時間をおいて、政府機関債、MBSの売却を開始するとなっています。MBSは、繰上償還はあるものの年限が長く、償還を待っているといつまでたっても超過準備が吸収できないので、一定の時期にマーケットで売却するというオペレーションが必要になります。この原則ではそれが始まるのが利上げ後とされていますが、最近、地区連銀総裁らが利上げとMBSの売却のどちらを先にどういうタイミングで行うか再び議論をし始めています。したがって、この原則は今後も若干内容が入れ替わる可能性があることには注意が必要です。

 そして5番目のステップは、政府機関債、MBSの売却には3年から5年かけるというもので、いきなり全部売却するのではなく、市場への影響を配慮しながらバランスシート小さくしていくというのがFRBの出口戦略です。

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 超過準備のラインを大幅に超え、足元では約2.6兆ドルと莫大な規模に膨れ上がっています。この超過準備がある限り、いざ政策金利を上げていこうとしても、市場金利がうまくついてこない可能性があるので、グラフのように超過準備の水準を下げていくことが必要なのです。今後、FRBは量的緩和政策を今年11月に終了し、その後速やかに償還分の再投資を停止、所有資産の売却は行わないと想定され、そのような条件でシミュレーションすると、超過準備の規模が所要準備の水準まで収束するのは2023年頃となります。

 売却は行わないという条件でシュミレーションしたのでこのように時間がかかりますが、市場金利の動向によっては、FRBはもっと超過準備の吸収を急がなければならないことがありえます。市場から資金を吸収しながら代わりに国債などを貸与するというオペレーションなどを行うわけですが、そうしたものが増えていくと、同時に、足元金利は上がりやすくなってくると想定されています。

 次に、アメリカの物価環境について見ておきます。FRBも非常に注目しているPCEデフレーターの推移を見ると、直近の水準は前年比で1.4%です。事実上のターゲットが2%なので、アメリカはまだディスインフレに近い状況と思われます。日本のようにマイナス圏には陥っていないので大丈夫だと思いますが、手放しで安心できる水準とは言えません。

 人々やマーケットが将来の物価を予想したものが期待インフレですが、中央銀行のロジックの中で最近この期待インフレの重要性が上がってきています。現実の名目金利を下げるだけでは金融政策の効果を最大化するのに限界があるという、世界的に中央銀行が直面している問題を何とか解消しようとして注目を浴びています。将来、物価が上がるということが予想される場合には、期待インフレを控除した実質金利は下方バイアスを持ちます。実質金利が下がると言うことは、企業や消費者にとっては金利にかかるコストが下がることを意味するので、期待インフレをいかにコントロールするかが注目の政策となっています。

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 期待インフレが何によって影響を受けるのか、アメリカと日本の場合を見てみると、アメリカのインフレ率と最も相関が高いのはエネルギー価格です。一方賃金についてはインフレ率との相関があまり高くありません。これはそもそもアメリカには賃金が上がって当たり前だと言う発想が企業経営者や雇用者の間であるためだと思われます。しかし日本では86年から99年の間、賃金と期待インフレ率が非常に強い相関を持っていました。それが90年代以降デフレに陥ったことにより賃金の影響度が下がったことも確認できます。やはりアメリカの期待インフレは、エネルギーのような市場性のあるものによって左右されやすいと言えます。ガソリンを多く消費する経済なので、エネルギー価格に人々の期待インフレが影響されやすいと解釈できます。

 また、5年後から5年間にわたる期待インフレ率と為替の影響を見ると、非常に連動性があることがわかります。為替がドル安に進むと輸入物価が上がり、市場性の高いものに影響されやすいというアメリカの物価の特性から言うと、それを受けてインフレ期待が上がりやすいということが示されています。このような経緯を踏まえ、日本も異次元緩和以降円安が進み、物価がプラス圏に急速に浮上した事実から考えると、先進国の中で通貨安をいかに誘導するかということが最も強力な期待インフレのコントロール政策なのだろうと思います。


講師紹介

西岡 純子

ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ講師
アール・ビー・エス証券会社 東京支店 リサーチ・ジャパン チーフエコノミスト

西岡 純子

6月19日に撮影した映像より一部ご紹介いたします。

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長期デフレを経験した日本。デフレに慣れ、インフレの想像がつきにくい方も多いかもしれません。しかし確実に、デフレ脱却に向けて動き出しています。インフレとはモノの価値が上昇する世の中。私たちはそうした物価上昇以上に持っている資産を高めていかないと生活力(購買力)を落としてしまうことになります。

金融機関など他人任せにするのではなく自ら設計することで、手数料などを考えると2%程度の利回りの差になることも多々あります。毎年2%の差は、例えば500万円運用している人にとって、10年で100万円以上の差になって現れます。自ら学ぶことが重要なのが資産運用ですし、欧米では学校教育にも組み込まれているところも多いです。みなさんも、世界のお金の流れを学び、リターンを実現できる資産形成力を高めておく時期ではないでしょうか?

それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

 

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