2014/07/02(水)「中国の権力闘争と銀行業績(近藤雅世)」資産形成力養成講座

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中国の権力闘争と銀行業績(近藤雅世)

イラクのイスラム国建設と中国の熾烈な権力闘争

 

 現在注目される銘柄は金と原油とプラチナである。金と原油の共通項はイラクと中国である。またプラチナは南アが関係してくる。

 まずイラク情勢であるが、6月30日「シリア・イラク・イスラム国(ISIS)」はシリアとイラクの両国をまたぐ領域に「イスラム国」の樹立を宣言し、ISISのリーダー、アブバクル・バグダーディ容疑者がカリフになるという。なぜ容疑者なのかというと、数多くのテロに関わったとしてアメリカ政府などから指名手配されているためだ。

 イスラム国と称しているが、イスラム過激派組織であることに変わりはない。中東情勢に詳しい人々のブログを読む限り、このISISというイスラム過激派集団は非常に残忍な性格をもっており、それゆえにイラクのモスルを攻撃した時、イラク正規軍四個師団3万人は戦わずして逃げ出したという。当初は、スンニー派対シーア派の対決かと思われたが、首都バクダッドでは両派は共存しており、シーア派のマリキ首相の統率力は無いが、宗教対立のために互いに殺し合いを始めるような雰囲気はないようだ。

 またクルド人はイラク北部に自治区を持っているが、今回の騒動で独立を模索している。こちらも首都のバクダッドでは議会議長をクルド人が占めており、ISISが石油の町キルクールを襲った時、クルド人自治区の軍隊「ペシュメルガ」がISISの侵攻を阻んだという。つまりクルド人=イスラム過激派ではない。イラクは国家分裂の危機にさらされているが、それが世界大戦のような大事件に展開する兆しは全くない。

 5千人から多くて1万人と言われるイスラム過激派は、国を支配できるような高潔な人々ではないようで、自爆テロリストに毛の生えた集団のようである。歴史的に言ってそうした梁山泊が時代を動かすのは反乱を起こす程度であり、次の国家を建設する資質には欠けるのではないだろうか。とは言っても何が起きるかわからないので、歴史を検証する目で事態を注目したい。

 次に注目されるのは中国であり、習近平国家主席は、胡錦濤政権で中央軍事委員会の副主席を務めた徐才厚の党籍をはく奪した。党内の権力基盤が決して強くない習指導部が軍の実力者に捜査のメスを入れたことで、党や軍から大きな反発を受けることも予想され、政権を一層不安定にする可能性もある。江沢民は石油閥として巨額の蓄財を重ねており、胡錦濤や温家宝も黒い霧には事欠かない。こうした汚職首魁に果たして迫ることができるのか、あるいは大金をばらまく前政権幹部に返り討ちに遭うのか、いずれにせよ中国トップの権力闘争は熾烈を極めているようだ。

 中国と言えば不動産の売れ行きが落ち、投げ売りによる不動産価格の下落が始まっている。これは不動産業界の不良債権問題や、企業の負債増加のみならず、歳入の3割を不動産売却益で賄ってきた地方政府の財政問題まで幅広く影響を及ぼす問題であり、6月末外国為替投資研究院が「経済危機が発生する可能性は非常に高い」と警告し、中国農業銀行のチーフエコノミストも、「金融危機発生の確率は60%以上」と見解を表明している。

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 ただ、世界の銀行資産残高ランキングを見ると、ベスト10に中国の銀行が4行も入っている。中国の銀行は低く抑えられた預金金利と貸出金利の利鞘が大きく、政府からの借り入れ金利は低いため、世界有数の蓄財を行っているようである。これが野村資本市場研究所のレポートで「中国のシャドーバンキングの規模の拡大は米国で起きたサブプライム・ローン問題とは異なり、システミックリスクの顕在化を通じて金融危機を招く可能性は必ずしも大きくない」と述べる理由の一つであろう。


プラチナ鉱山スト終結と今後の展望

 

 南アのプラチナ鉱山は、6月24日、労働組合のAMCUが3年間の労働協約に署名し、25日から労働者が徐々に鉱山に復帰している。ようやくプラチナ鉱山ストライキが終了した。1月23日から122日目である。しかし、鉱山各社が述べているように、生産はすぐには復旧しない。

 南アフリカ共和国のプラチナ鉱山は地底1000mにある。鉱脈は僅か2センチメートルの幅でお椀状に存在する。それを、カンテラを付けた工夫が削岩機で上下1mの土を掘りだして地上に上げる。地上では製錬所で浮遊選鉱や化学処理を行い、溶鉱炉でニッケル分を飛ばしてバケツ一杯の鉱石となる。その鉱石を精製設備に運び、塩酸と硝酸等の溶液に溶かしてプラチナを析出して机の上に乗る豆腐大の5kg塊を作る。触媒用はこれを丸い塊にしたスポンジと呼ばれる粒状にする。

 地下1000mはとても暑い。ベンチレーターというクーラーのお化けが無いと暑くて死んでしまう。また地下水が湧き出ているので、これも排水ポンプで処理する必要がある。発電機が止まれば真っ暗になってしまうので、これも労働者の死につながる。1000mを20分ほどかけて上下する井戸のつるべ状の滑車と箱が無いと、地上には歩いては帰れない。地中の空気も地上から新鮮なものを送風する必要がある。毎年数人鉱山では死者が出ているが、これは主に落盤事故によるものだ。しかし、電気が止まれば数千人の死者が出る大惨事になる。ストライキの前に労働者は銅電線をはがして持ち出しているようであり、配線を十分修復しないと危なくて作業はできない。

 だから鉱山会社は正常稼働までに3ヶ月を要すると述べている。仮に2ヶ月で点検が終わり稼動できるとすると8月末であるから、ストライキ開始から約219日の操業停止となる。

 2013年世界のプラチナ生産量は178トンで、その72%に当たる128トンが南アで生産された。今年も同じペースで生産できたと仮定して、128トンの219日/365日=77トンである。つまり、今年の生産量は、77トン減産となる。厳密には、上位3社以外にAquarious社とNortham Platinum社等があるため、▲70トン程度の減産となる。

 一方需要は、昨年は197トンであった。厳密には261トンの需要からスクラップによる供給の64トンを差し引いた数量である。中国が世界最大の需要国で24%を占めるが、その78%は宝飾品向け、つまりブライダル用のリング向けである。自動車触媒需要は5%しかなく、欧州の66%、日本の51%、米国の35%よりかなり少ない。そうした自動車触媒需要抜きで、中国は2013年前年比18トンの需要増となっている。結婚需要は堅調であり、自動車触媒は大気汚染の関係から今後増加傾向にあるとすれば、少なくとも今年も18トンの需要増にはなるだろう。

 欧州の自動車触媒需要は昨年40トンであったが、自動車需要はかなり悪かった。ところが、昨年9月以降欧州の新車登録台数は9か月連続で前年比増となっている。おそらく自動車触媒需要は50トン以上になるだろう。すると中国と欧州の両地域だけで需要増は、28トンである。

 生産が▲70トン減少し、需要が+28トン増加すれば、需給ギャップは今年より、98トン拡大する。昨年は▲18トンの供給不足であったが、今年は▲98トン、生産量の55%不足するということになる。

 計算上はとてつもない供給不足であり、プラチナで物を作るということは諦めねばならないほどである。需要が減少すれば、当然価格は下がるが、もしどうしてもプラチナでなければ作れないものがあるとすれば、需要は減らない。

 自動車触媒の仕組みである酸化還元反応を促進する物質はプラチナグループメタル以外にない。これは戦後一貫して触媒メーカーが探し求めた結果である。そうなれば車は電気自動車か燃料電池車に移行せざるを得ない。最近のこうした脱炭化水素燃料の動きに拍車がかかっているのは、何も環境汚染のせいではない。ガソリンや軽油を燃やせば必ず毒ガスが発生し、それを無害化するにはプラチナ族金属が必要不可欠なのだ。

 こうした需給ギャップだけでなく、更に問題なのは、これだけ長く生産が止まるとプラチナ鉱山は軒並み赤字となる。赤字だとリストラや生産性の悪い鉱山は閉鎖せざるを得ない。そこで再び労働問題が発生するであろう。こうした事態に嫌気して、世界最大のプラチナ鉱山Anglo Platinum社は親会社のAnglo American社から売りに出されている。

 こうしたことを加味すると、プラチナ鉱山の生産量は上記シミュレーション以上に足りなくなる可能性が大きいのである。どう考えても、プラチナ価格は今後上昇するしかないと思われる。


講師紹介

近藤 雅世

ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ講師
株式会社コモディティーインテリジェンス 代表取締役社長

近藤 雅世

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