2014/11/12(水)「日銀追加金融緩和のインパクト(田口美一)」資産形成力養成講座

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日銀追加金融緩和のインパクト(田口美一)

日銀追加金融緩和のインパクト

 

 今回の追加金融緩和の影響で、日本銀行のバランスシートもさらに膨れ上がることが懸念されます。白川前日銀総裁のときに増やすとしていたペースで考えても、GDP比はメリカFRBと比べて大きなボリュームになっていました。そして、2013年の黒田総裁の金融緩和第一弾によって、グラフの点線のようにバランスシートは急拡大し始めました。今回の追加緩和によって、一段と角度が急になるでしょう。

 日銀のバランスシートは来年末にはGDPの70%程度まで膨らむという見通しになっています。こうした側面を捉えて、厳しい見方をする分析者は「未曾有の実験」という言い方をしています。GDPにくらべてかなり大きなものを一国の中央銀行が抱えることになるのです。

 ただ、これだけ抱えたものがどんどんと世の中に回っていたら大変なことになっていると思いますが、幸か不幸か、日本銀行が国債を銀行から吸い上げても、そのお金は現在時点で日本銀行の中に留まっているのです。銀行の当座預金残高のグラフはかなりの勢いで伸びています。日銀のバランスシートは膨らんでいるものの、そのお金は日銀やインターバンク市場から外に出ているわけではないのです。オープンマーケットや私たちの生活している市場にまで広がっているのではなく、日銀当座預金に留まっているということなのです。

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 今はここにお金が留まっているので、まだそれほど物価にはインパクトはありませんが、おそらく金融機関は徐々にこのお金を取り崩し、もう一度国債を買うか、あるいは貸出に回す、株式を買う、外貨への投資をするなど、いずれにしても少しずつ何らかの動きが出てくるはずで、日銀に言わせればそれが経済に良い影響を与えるということなのです。

 しかし、心配する声もあります。もしこれが一気に出てしまったら貨幣価値が下がり、インフレになるという懸念があるからです。このように、壮大なる実験をしているのかもしれませんが、緩和政策が市場に与えるインパクトはとても大きいと言えます。当座預金を必要準備預金よりも積んでいるので、ニックネームとしてこの状態は「ブタ積み」と言われますが、これが近々200兆円に届くような160兆、170兆円という額になり、今、日本銀行の中に滞留しているという実態なのです。かなり巨額のお金が積み上げられているわけですが、日銀はこれからも一定量積み上げますと言っているのが今回の政策なのです。

 今回の政策が景気にどう波及するのか整理すると、日銀はまず、デフレ脱却が起こると設備投資が増え、企業収益が改善してくるとしています。それにより雇用が改善し、賃金が上昇、さらには消費の改善に繋がるということで、これが実体経済に与えるボジティブなインパクトだと説明しています。しかし、これにはかなりの時間を要すると思われます。確かに今年の春の賃上げは従来に比べると良くなったところが多かったわけですが、ただ賃金上昇が一律におこるかというと難しく、消費の改善に繋がっているとは言いがたい状況で、まだまだ相当な時間が必要だと言えます。

 むしろ、もっと短期間に影響が出て来たのは為替の円安です。円安により企業収益は改善を見せています。自動車や電機メーカーなど輸出企業はかなり収益改善に繋がっています。


景気への波及シナリオとは?

 

 さらにもう一つは株高や不動産価格の上昇です。これにより、富裕層や保有資産の多い企業などには、資産効果が現れてきています。このことが消費の改善にも繋がっていて、実際春先以降には相対的に値嵩であるラグジュアリーな高級品の売上増加が如実に現れてきています。

 ただし、懸念材料もあります。消費税が上がり、ガソリン代も上がってきて、輸入原材料を使った食料品、チーズやハムなどの加工品などが値上がりしました。そうした中、賃金がそれほど上昇しないと、いわゆるコストプッシュ型のインフレーションとなり、生活にとってはあまりよろしくない事態だと言えます。この懸念が引き続き残っているのです。

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 また、円安によって企業収益にはよい影響があるものの、これまでと違う状況も起きています。これまでは円安により輸出数量が伸び、その部品を作っているサプライヤーである中小企業や、他の産業にも幅広く広がり、輸出ドライブがかかるというのが日本の伝統的な回復パターンでした。しかし、今回はそれがあまり見えていません。日本で長らく続いた円高不況により、輸出メーカーは努力して海外に工場を建て、海外で作り始めました。円高でも耐えられるような、生産活動を続けてかつ収益が出るような体制を作り上げて来たのです。

 逆に言えば、多少円安になったといっても日本から輸出することにはならず、海外で作って海外へ売るという生産体制ができているのです。そのことにより、従来は効果的だった、円安になって輸出数量が伸び、景気回復に繋がるという道が現在は消えているのです。円安でも貿易収支があまり改善していないというのはそのためです。

 今回の政策による景気への波及シナリオは、良いところも見えるものの、スタグフレーション懸念や、輸出ドライブがかかりづらいことなど、従来思っていたよりも効果は弱いのではないかと思われます。しかし、アメリカやヨーロッパも同様ですが、株高や不動産上昇はかなり期待されるところです。資産価格の上昇によって、消費改善や企業活動の活発化が期待できます。資産を持っている企業は含み益や売却による実現益が増え、それをベースにした設備投資、さらには雇用改善や賃金上昇に繋がると思われます。道の長いデフレ脱却からの効果よりも、現在は株高、不動産上昇による効果が最も注目されているという認識が必要です。


講師紹介

田口 美一

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師
金融経済アナリスト
前クレディ・スイス証券副会長

田口 美一

11月5日に撮影した日銀追加緩和、緊急コンテンツを一部抜粋してご紹介しております。

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資産形成力養成講座 加藤

 

資産運用はインフレ経済下で特に重要になります。デフレ下では資産運用をしなくてもモノの価値が下がっていきますが、インフレ下ではモノの価格上昇を超える運用をしなければならないからです。資産運用は、株式・債券・為替・コモディティ・不動産など多岐に渡りますので、総合的な理解や考え方が求められます。世界標準の資産運用を学び、第一歩を踏み出してください!

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長期デフレを経験した日本。デフレに慣れ、インフレの想像がつきにくい方も多いかもしれません。しかし確実に、デフレ脱却に向けて動き出しています。インフレとはモノの価値が上昇する世の中。私たちはそうした物価上昇以上に持っている資産を高めていかないと生活力(購買力)を落としてしまうことになります。

金融機関など他人任せにするのではなく自ら設計することで、手数料などを考えると2%程度の利回りの差になることも多々あります。毎年2%の差は、例えば500万円運用している人にとって、10年で100万円以上の差になって現れます。欧米では学校教育で「お金」について学ぶ機会がありますが、日本ではほとんどありません。みなさんも、世界のお金の流れを学び、リターンを実現できる資産形成力を高めませんか?

それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

 

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