2014/12/10(水)「円安の影響は14兆5000億円!?(西岡純子)」資産形成力養成講座

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円安の影響は14兆5000億円!?(西岡純子)

物価上昇の重要な前提条件「需給ギャップ」

 

   消費増税の影響を除いたコアCPI、つまりインフレ率の推移を見ると、直近10月の全国消費者物価指数によると0.9%と、1%を下回ってしまっています。ここから先、数ヶ月の間に0.8%程度までさらに低下する可能性が高いですが、そこがボトムではないかと思われ、その後少しずつ回復が見込まれています。

 このところのインフレ率の落ち込みの理由としては、「前年の裏」であることがあげられます。日本の消費者物価は前年比で測る慣習があるため、前年に力強く上がった分、どうしても反動が出てしまうのです。それに加え原油価格の下落もあり、インフレ率は低下しているのです。今後は順調に回復すると思っていますが、当初の予想よりもはるかに回復ペースが遅くなってしまいました。現時点では16年度末に2%に限りなく接近するだろうと見ています。

 ある条件を組み合わせたときに考えられるインフレ率の理論値を表で示しましたが、これは過去のデータを使って、経済の需給バランスと為替の組み合わせで、もっともらしいインフレ率はどこかを計算したものです。現在の需給ギャップは、振れをならすと-2%程度です。それに対し、足元で為替が直近1ドル=120円まで上がってきています。この実態から考えると、インフレ率の理論値は0.8%で、今はほぼ理論値に近いところにあると言えます。

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 今後需給ギャップが順調に回復し、2016年には±0まで戻るとします。その時に為替が120円の水準であれば、理論値ではインフレ率は1.6%まで上がるということになります。ただ、それでもまだ2%には少し足りず、2%にするためには、需給キャップが+1は必要になってくることがわかります。

 今回、GDPがマイナスとなってしまったことで、需給ギャップ+1はかなり先と予想され、展望するのは難しい状況です。ただ、赤字国債の発行がしにくいので補正予算の規模はどうしても小さくなってしまいますが、リフレ政策を取る政府が、来年以降例えば10兆円規模の経済対策を講じたとすれば、もしかしたら需給ギャップは+1に近づくかもしれません。その場合にはインフレ率2%の達成は目の前にあると言えます。2%の目標達成は無理なことではなく、政府がその気になれば達成し得るものだと考えています。世の中ではまだ2%は絶対に無理だと主張する人が多いわけですが、状況によって達成はあり得ると思っています。

 物価の上昇について考える際、必ず需給ギャップが重要な前提条件となります。日銀も内閣府も、物価を考える際にはこの需給ギャップをまず決定要素の一つとして重視します。ただ、需給ギャップと一口に言っても、日銀が考える需給ギャップと内閣府が考える需給ギャップは集計方法が全く違います。

 潜在成長率とは、経済に存在する労働や生産設備といった経済資本が平均的に稼働したときに、経済がどれだけ成長するのかを供給面で捕らえたものですが、その潜在GDPと実際のGDPの乖離がどうなっているのかを評価するのが内閣府の計測方法です。一方、日本銀行はより単純に、失業率や設備稼働率、実際の資本がどれだけ平均的に稼働しているのかから直接推計しています。概念は同じでも微妙に推計の方法が違っているのです。

 2つの数値をグラフで比べてみると、往々にして日本銀行の数字の方が強気です。直近でも日本銀行の推計によると今年前半の需給バランスはもはや±0まで行っていますが、一方、内閣府のやり方で見ると-2.9%と、まだ低い水準です。先ほどのインフレ率の理論値の表でも、需給ギャップがマイナスの世界と±0%の世界ではインフレ率が大きく異なっています。もともとの前提条件である需給ギャップが全然違う値なので、日銀はやはり物価に対して強気で、内閣府の数字は弱気となるのです。

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 内閣府のやり方は万国共通でオーソドックス、国際基準に近い計算方法なので、民間エコノミストも内閣府の計測方法に準じて各自で推計、評価します。それに対し日本銀行は強く出やすい推計方法を使っており、あたかも強気の物価見通しを維持するために、意図的にそうした推計方法を用いているかにも見えます。

 このように推計方法が違うとなると、両者の議論は一向に交わりません。前提条件が違う以上、エコノミストの物価見通しはどうしても低めで、日本銀行の見通しはどうしても強くなってしまうのです。


円安の影響は14兆5000億円!?

 

 そして、もう一つポイントとなるのが円安です。円安が経済にとってプラスかマイナスか考えると、2%の物価目標を達成するという非常に表面的な目標達成のためには、円安は相当効果的です。

 また、円安は企業収益にとっても好影響をもたらすと言えるのです。為替の水準によるシナリオ別に、企業収益に及ぼす影響を見てみると、昨年度のドル円平均値(100円程度)に対し、来年度末に為替が110円になった場合、国内事業の収益は悪化します。輸出は増えるもののコストの増加で国内販売が減り、国内事業の収益は13年度と比較して1兆8000億円悪化するという計算結果が得られました。しかしその一方で、海外販売はそもそも海外の成長率が高い上に、円に置き直すときの収益効果があるので、9兆8000億円のプラスとなり、全体の収益では8兆円増えるという計算になります。

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 さらに来年度末に120円と想定した場合、国内事業の収益悪化幅はさらに広がってしまいます。円安になればなるほどコストが増加するので、国内事業の収益は落ちてしまうのです。しかし一方で海外販売は逆行して増えるので、全体では14兆5000億円の収益拡大となるのです。いろいろな要素があるものの、全体としてみると、円安は経済にとってはプラスと考えられるのです。

 円安が企業所得に及ぼす影響として、いろいろな格差が出てくることも確かです。海外事業に特化できるような企業は恩恵を受けやすい一方、非製造業に多くある、国内事業を主にしている産業では、やはり企業の収益が落ちてしまうことになります。業種別、企業規模別に、円安によって差が広がってしまうのが実態だと言えるでしょう。


講師紹介

西岡 純子

ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ講師
アール・ビー・エス証券会社 東京支店 リサーチ・ジャパン チーフエコノミスト

西岡 純子

12月3日に撮影した映像より一部ご紹介いたします。

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資産形成力養成講座 加藤

 

資産運用はインフレ経済下で特に重要になります。デフレ下では資産運用をしなくてもモノの価値が下がっていきますが、インフレ下ではモノの価格上昇を超える運用をしなければならないからです。資産運用は、株式・債券・為替・コモディティ・不動産など多岐に渡りますので、総合的な理解や考え方が求められます。世界標準の資産運用を学び、第一歩を踏み出してください!

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長期デフレを経験した日本。デフレに慣れ、インフレの想像がつきにくい方も多いかもしれません。しかし確実に、デフレ脱却に向けて動き出しています。インフレとはモノの価値が上昇する世の中。私たちはそうした物価上昇以上に持っている資産を高めていかないと生活力(購買力)を落としてしまうことになります。

金融機関など他人任せにするのではなく自ら設計することで、手数料などを考えると2%程度の利回りの差になることも多々あります。毎年2%の差は、例えば500万円運用している人にとって、10年で100万円以上の差になって現れます。欧米では学校教育で「お金」について学ぶ機会がありますが、日本ではほとんどありません。みなさんも、世界のお金の流れを学び、リターンを実現できる資産形成力を高めませんか?

それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

 

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