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ギリシャとトロイカ軍団との確執(田口美一)2015/03/25(水)

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今回のテーマ

ギリシャとトロイカ軍団との確執(田口美一)

ギリシャは輸出拡大で成長路線を取り戻せるか!?

【今回ゲストにクレディ・スイス証券 チーフ・エコノミストの白川浩道氏をお迎えし、ギリシャ問題に揺れるユーロについて解説していただきました。】

<田口> ドイツ主導の財政緊縮をして、ユーロ危機を立て直すという政策を2009年以降ずっと行ってきました。それに対してギリシャは、国民も含めて年金カットや公務員給与のカットなどといった財政緊縮はやっていられないという思いがあり、それが引き金となって今回の選挙ではかなり左寄りの新首相が選ばれました。チプラス新首相は、国民に対してギリシャのプライドを取り戻すと訴えて緊縮策終了を宣言しました。背景にある国民感情は、もう耐えられないという状況なのでしょうか。

<白川> そうだと思います。年金も削減され、電気が来ないなど、様々な公共サービスが止まってしまったりする地域も出てきています。こうして緊縮政策が国民生活そのものに影響していると、国民は耐えられないと考えざるを得ないと思います。

 今回、社会主義的な政権に変わったわけですが、実は前の政権はアメリカのハーバードビジネススクールで学んだ方が首相をしていました。それに比べ、今度のチプラス新首相はギリシャのドメスティックな政治家で、その意味では欧米的な考え方ではなく、非常に社会主義的な理念の持ち主であり、その党に政権が渡ったということ自体、相当国内には大きな問題が出てきている証拠だと思います。

<田口> 非常に重要なポイントですね。確かに今回のユーロ危機は、ECBの総裁もそうですが、アメリカに代表されるような典型的なMBAなどで経済学を学んだ人が、その考え方を持ち込んで立て直すという政策がIMFなどによって支持され、危機を乗り越えてきているという側面がありました。ところがそれに対し、ギリシャに代表されるように、それはもう限界だということで、違った動きが出てきているということなのでしょう。

<白川> 財政緊縮をして、通貨を安くして立て直すことができるのは、何がしかの競争力を持っている輸出産業に限られるので、ギリシャにそれを要求しても、オリーブなどしか作っていないので、輸出でなんとかしろと言われても限界があるわけなのです。財政は引き締めて、金融緩和で外需を立て直して景気をよくするという、いわゆるIMF型のモデルは幾つかの国々では成功してきましたが、おそらくギリシャはその中でも例外的な扱いをしない限り無理だと言えます。

 プログラムは導入されていませんが、スペインもそれに近い可能性があります。いずれにしても、ギリシャはやはり特別扱いをしてあげないと立て直しは難しいということです。ただ、MBAなどで学んだ人達には、ギリシャを特別扱いすることに対する抵抗感が強く、これは一種のイデオロギー的なものなので、相当根は深い問題であると思います。

トロイカ軍団とのイデオロギー的な確執

<田口> そうしますと、EUとIMF、ECBを中心とした、ユーロをサポートするトロイカ軍団とよく言われますが、結局、そのトロイカ軍団とイデオロギー的な問題で最後のところでそりが合わず、意見の一致が見づらいということであれば、今回2月末ギリギリに4ヶ月の支援延長が決定されましたが、今後もギリギリのところまで行かないと進展しないということでしょうか。

<白川> チプラス新首相は、トロイカとは話をしないと表明していて、EUの首脳とは話をするとしています。これは極端に言うと、IMFは出て行ってくれと言っているのと同じことなのです。つまり、IMFとは交渉しないということなので、今までの枠組みを変えてくれと言っているわけなのです。しかし、枠組みを変えることを誰も認めていない状態で暫定的に合意をしたわけで、私の印象では、永遠に枠組みを変えるかどうかで揉め続けると思います。一方、IMFが交渉に残っている限り永遠に財政緊縮を要求してくるので、ギリシャかIMFのどちらかが出ていかなければならなくなり、おそらくIMFが出ていくことになるのではないかと思っています。

<田口> 逆に言うと、そういう修羅場がなければ終わらないということなのですね。いいとこ取りをしたり、難しい問題は伏せておいて合意していくということは限界にきているということでしょうか。

<白川> それをしてしまうと、チプラス首相は国内で国民に会わせる顔がなくなるので、IMFの要求を飲むわけにはいかず、逆に飲まなければ永遠に話は決まらず、結局最終的にギリシャとヨーロッパの首脳で話をして、IMFにお引き取り願うというのが私のシナリオですが、それぐらいしか決着のつけようがないと思います。

<田口> これまで数年間にわたってIMF主導の政策をやってきて、それに選挙でNOが出たわけで、NOが出たからには前には戻れないということですね。

<白川> 前には戻れませんし、そこは不連続にならないと話が終わらないわけです。もし連続していれば、選挙をした意味も新政権が出来た意味もなくなるからです。問題はもっと根が深く、国際金融危機にIMFが入るべきかどうかという大きな議論に発展する可能性があるので、アメリカ政府やIMFにとっては非常に嫌な問題ではありますが、単にギリシャがどうなるかという問題ではなく、国際金融のフレームワーク全体に影響する大きな問題だと考えています。

<田口> 韓国の危機の際もIMFが入り、IMF流の、アメリカのスタンダードな経済学に基づいた考え方によって対処しました。それによって一時的には乗り越えられるものの、残された構造問題で韓国も大変な状況にあると言われています。IMFは専務理事もフランスから出ていて、そもそもヨーロッパが中心にサポートしていたはずですが、アメリカが多くの支援をしていることなど問題もあると思います。何れにしても、私は今回の第二次ギリシャ危機も一連の危機の続きで、いろいろなところをうまく調整しながら乗り越えられるという楽観的な見方をしているのですが、今のお話からはそれは難しく、次のフレームワークを作ることを考えていかないと難しいということなのですね。

<白川> そう思います。ギリシャはヨーロッパの中では温かく見守って助けてあげようとならない限りは無理ですし、そこに余所者的なIMFがいるとうまくはいきません。最終的にはギリシャと欧州主要国のドイツ、フランス、イタリアの三カ国でフレームワークを決め、ギリシャを面倒見ていくかどうか、腹を決めるということになると思います。

<田口> そうすると、これからの4ヶ月でそれが決まるのか、もっとかかるのか分かりませんが、これは最重要項目と言えますね。

<白川> 時間的なところは腹を決めるだけなので4ヶ月でも可能だと思います。しかしその過程で、IMFをどう扱うか、さらに、もしECBにギリシャの国債を買ってもらうのであれば、その時には誰かがギリシャ国債の安全性にお墨付きを付けなくてはなりません。

 また、そのECBの中にはドイツが入っていて、彼らもあまりギリシャをサポートしたがっていないということもあり芋づる式になっているので、ある程度時間は要するとは思います。ただ、最後はドイツがギリシャに対し、仕方ない、救うしかないと腹を決めるわけで、その時にフランス、イタリアというGDP規模の大きい国々がそれに同意し、その三カ国の国民の総意としてギリシャを救うというところまでいかないと難しいと思います。

<田口> つい楽観的に捉えがちですが、既にこれまで散々やってうまくいなかったわけで、国民がNOと言っているギリシャが国としてあるわけですから、なあなあとまとめるのはやはり難しいということですね。しかもギリシャはIMFと話をしないということは、トロイカとしては困る事態です。IMFだけ外すのはIMFも怒りますし、ECBもそのつもりで協力してきたわけです。

<白川> 国の審査自体を実はIMFが担当しているのです。したがって、IMFがいなくなると、財政のバランスなどを精査するスタッフがいなくなり、おそらくEUにはあまりそうしたノウハウがないでしょう。ECBも銀行はやっているものの、国の審査はやった経験がないのです。するとIMFはやはり自分たちの専門性を主張するはずなので、間違いなく外すのはしんどいのですが、残していてはうまくいかないということなのです。

<田口> 実務的にも非常に厳しい話と言えるのですね。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師
金融経済アナリスト
前クレディ・スイス証券副会長
田口 美一
3月12日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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