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日銀短観に見る日本経済の現状(福永博之)2015/04/29(水)

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今回のテーマ

日銀短観に見る日本経済の現状(福永博之)

日銀短観に見る日本経済の現状

 前回12月の短観では、大企業製造業のDIは、足元が+12、先行きが+9でしたが、今回3月の数字は足元が同じ+12で、先行きは+10と、前回同様に先行きに対して厳しい見方をしていることが示されました。また、非製造業では、足元が前回の+17から+19へと2ポイントの改善となりましたが、先行きは+17と、製造業と同じく足元より低下傾向になっています。次回7月に発表される6月の短観で、今回の先行き見通しの数字を上回ってくるか、また、足元の数字が水準を保てるかがポイントとなってきます。現在のところ、足元よりも先行きが悪くなっていることには注意が必要と言えます。

 もう一つの懸念材料は設備投資です。前年度比-1.2%と見込んでいて、景況感の先行き低下傾向と合わせて警戒しておいたほうが良いでしょう。

 さらに、想定為替レートを見ると、1年前は99円台でしたが、今回の調査では111円台ということで、12円ほど円安方向に見直しています。実際の現在のレートが119円から120円なので、実勢レートよりも非常に低く、業績の上方修正の余地があるのではないかという見方が出てくると思います。しかし業績を見ていると、想定為替レートを円安方向に見直す会社は少ないのが現状です。また、内需が振るわない中、一昨年、去年は新興国に買収などで進出し業績をカバーしようという動きが盛んでしたが、こうしたところが特損や減損処理を行っているケースが多く見られています。

 これらのことから見ると、想定為替レートを敢えて実際ほど円安にせず、業績にとって悪い事実を円安の効果で補おうとしているとも考えられます。つまり、実際とのレートの差をへそくりとして、業績のマイナスをカバーしようとしているケースもあるのです。円安により業績上方修正が期待されますが、必ずしも想定より円安となった効果が業績の数字に現れるとは限らないことも想定しておいたほうが良いでしょう。例えば、新日鐵はブラジルで買収した企業の減損処理をしています。また、豊田紡織はブラジルやアフリカで特別損失を計上し赤字に転落しています。ほかに商社など、資源価格の下落で業績が悪化しているところもあります。

 企業が想定レートを今も実際ほど円安に設定しないことも見ると、今期もそうした損失が計上されるように思えます。このレートは四半期ごとに変化するので、これがさらに切り下がり、業績の上方修正も出てくるようになるかどうか、注目してみておいて欲しいと思います。

 一方、中小企業の短観を見ると、製造業は前回の+4から+1に悪化、先行きも予想に反して±0となりました。そして、大企業と同様に、非製造業は前回から改善となっています。円安で業績に期待できるとして輸出関連株の押し目を拾う人もいるでしょうが、実際には非製造業、つまりサービスなどの内需関連の景況感の方がよいのです。

 個別株を見る場合も内需関連を選ぶほうが良いのかもしれません。その背景にあるのはインバウンド消費です。日本への外国人旅行者による消費が増えているのです。去年訪日した外国客が国内に落としたお金の総額は約2兆円で、日本企業の配当金の5分の1強に相当します。こうした動きによって内需関連の景況感がよくなってきていると言えるのです。

 実際に短観の数値の変化をグラフで見ると、大企業は次回このまま上向けば、リーマンショック前の水準を超えてくるところまで来ています。さらに中小企業ではすでにリーマンショック前を上回ってきています。短観は数千社に広く浅くアンケートを採っていて、その数字がここまで改善してきているのに、なぜか日本の景気については悪い報道ばかりが目立ちます。短観の数字からは中小企業はかなり回復していることがわかるのです。

 また株価も先を読んで動くと言われますが、こうした動きを反映して上昇してきていますので、次回の短観がもしさらに改善となれば、株価も一層の上昇が期待でき、2万円は通過点という見方が大勢を占めてくるでしょう。ただ、株価の方が先に動き、行き過ぎれば調整ということにもなるので、注意は必要です。

加熱する日経平均をテクニカルで分析!

 図は日経平均株価の月足のロウソク足に加えて、1年、2年、5年の移動平均線を示しています。下段はその移動平均線との乖離率です。この乖離率を見ると、過去にはリーマンショック前、小泉内閣で高値をつけた時には、60%に近づいたところで高値をつけて下落しています。その後もリーマンショックの影響があり大幅な下落となりました。次に、2013年の高値では乖離率は60%近くになり、月末にかけて下落、その後にもまた高値から下落を繰り返しました。

 そして、現状はなんと乖離率は62%を超えていて、かなりの過熱感が示されています。過去にも、1985年以降、日経平均がバブル相場に向かって上昇を続けていた時、当時の乖離率は60%近くでずっと推移していました。そうした例がなかったわけではないのですが、乖離率の拡大が続く行き過ぎには注意が必要と思われます。

 さらに、下げた場合にはボリンジャーバンド9ヵ月の+σがサポートになるかどうかもポイントです。下げたときにはどこまでいくのかということですが、1年移動平均線とは大きな乖離があり、そこまで落ちる場合には一気に1万7000円台まで行くことになり、それは考えにくいでしょう。そうすると、その手前にボリンジャーバンドの+σがあるのでそこを目処として見ていくと良いでしょう。

 また、サイコロジカルラインというチャートがあり、それは過熱感を表すもので12ヵ月間のなかの前月比で上昇した割合を見るものですが、75%以上に過熱感があり、買われ過ぎとされます。これが現在、83.3%ということで、つまりは12ヵ月間の中で10ヵ月が上昇、下落は2ヵ月のみという状況です。買っている人は儲かっているはずだと言えますが、やはり過熱気味なので、高値掴み、急落には気をつける必要があるでしょう。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師
株式会社インベストラスト 代表取締役
IFTA国際検定テクニカルアナリスト
福永 博之
4月22日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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資産形成力養成講座 加藤

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