FRBのイエレン議長は6日、現在のアメリカ株式市場について「かなり高い水準」と指摘しました。巨額の緩和マネーが一部企業の株価を実態以上に押し上げていると見ているもので、アメリカ景気の減速で9月以降への利上げ先送り観測が強まるなか、金融緩和長期化による負の側面に警鐘を鳴らしました。
かつてFRB議長は、「いわれなき熱狂」という表現で市場の熱を覚ましたこともありましたが、彼らはそのように言いたいものなのです。今の株価はやはりいわれなき熱狂であり、同じ表現は使いたくないと言うことで、かなり高い水準と言ったのでしょう。そしてこの発言がアメリカの市場の足を引っ張る要因になっています。
また、ピムコの創業者で債券王と言われるビル・グロス氏が、ドイツ国債について、「一生に一度の売りチャンス」と発言したことも注目です。今ドイツの経済状況は非常に良いものの、ユーロがこのあと崩れた場合はドイツも完全な安全圏にはいられないと言うことで、ドイツ国債の金利は今後高くなると見ているのです。ビル・グロス氏は債券でかなり長期に渡り8%のリターンを稼いできたファンドマネージャーです。今は追放されてしまいましたが彼のコメントには今も大きなウェイトがあります。
これまでは債券ではほとんど利回りがないので面白くなく、株のほうに流れていたわけですが、今度は株が高すぎると言われ、株も債券もどちらも良くないという事態になっています。世界的に超金余りで、どこへ持っていってもあまり高い利幅が得られないので、金の持って行き場がないわけです。
そうなってくると、日本の7頭のクジラががんばっている間は一緒に乗っかってしまえという提灯持ちのメンタリティーもわからなくはありません。アメリカは株価の頭が抑えられてきていますが、クジラの存在により日本はまだ抑えられない可能性があるということです。ただしこれはファンダメンタルなどによるものではなく、余剰のお金の持って行き場の問題だと言えます。
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