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英国・ギリシャに見るEUからの離脱論(大前研一)2015/07/08(水)

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今回のテーマ

英国・ギリシャに見るEUからの離脱論(大前研一)

【ヨーロッパ】高まるEUからの離脱論 英国とギリシャ

 イギリスのエリザベス女王は24日、訪問先のドイツでヨーロッパの亀裂は危険だと発言しました。イギリスのキャメロン首相やドイツのメルケル首相、ガウク大統領が出席した夕食会のスピーチで言及したもので、イギリスでくすぶるEUからの離脱論を牽制したとみられます。

 女王がこうした発言をするのは非常に珍しいことだと思います。キャメロン首相は17年に国民投票を約束して前回の選挙をやったので、いずれにしても国民投票が行われるでしょう。キャメロン首相はどちらかと言うと、EUからイギリスに有利な条件を引き出すとしていて、彼自身もEU残存論者です。しかし、この問題を国民の天秤にかけるのは良い事ではないというのがエリザベス女王の意見なのだろうと思います。それならば選挙前に意見を示してくれないと困るのですが、今回は今になってそのような発言をしました。

 イギリスはEUが非常に重要な貿易相手国で、ドイツ、オランダ、フランスを除いたEU諸国がトップの相手国です。それに加えてドイツ、オランダ、フランスもそれぞれ大きな規模になっています。したがって、EUを離脱して貿易が極端に減るようなことになると、イギリスにとって得なことはないのです。

 ただ、なんとなくEUに振り回されているような状況ではあります。EUの中心はドイツとフランスだという感じがしているので、イギリス人にとってはプライドをへし折られている状況なのです。そうしたことがEU離脱論につながっているのです。ただし、通貨の面ではユーロに入っていないので、通貨問題であるギリシャに関して問題は少ないのです。

 そしてギリシャですが、EU19カ国は27日、ギリシャへの金融支援をめぐり緊急の財務相会合を開き、現行の支援を延長せず6月末で終了させることを決定しました。ギリシャが実施を表明した財政改革案をめぐる国民投票を事実上拒否する内容で、ギリシャがデフォルトに陥る可能性が一段と高まりました。

 今回はやはりEUの忍耐の緒が切れ、もうゲームをするのはやめろという段階なのです。ツィプラス首相もバウファキス財務相も選挙で勝って送り込まれているので、EUの言う通りにはできないという考えです。ツィプラス首相は状況の厳しさは理解したようですが、折れれば自分は選挙公約を破ることになります。前に進めば当然デフォルトになり、後ろに下がれば国民からクビを突きつけられるので、どちらにしても崩壊なので、すでに諦めたのではないでしょうか。EU側はミーティングでも非常に強い態度でギリシャの引き延ばし工作には乗らないと決断しました。

 ギリシャの民間部門の預金残高は減少傾向にありますが、今後取り付け騒動になる可能性が非常に高いと思われます。

【日本】徴税の歪みを是正せよ! 実態把握されない耕作放棄地

 耕作放棄地の多い100の市町村のうち、6割近くが税法が定める毎年の土地利用状況の確認調査を行わず、適正に課税できなくなっていることが日経新聞の調査で明らかになりました。実態を把握できないため課税上は固定資産税が軽い農地とみなされ、持ち主が土地を手放さないケースも多いことから、農業の生産性を高める大規模化を阻む一因となっています。

 耕作放棄地は40万ヘクタールほどあるとされ、滋賀県一県分と言われています。全耕作地に占める面積は10%を超えています。私も長野県等を走り回っていますが放棄地が非常に多くもったいないと感じています。他の人に売ったり貸したりすれば良いのに放ったらかしにしているのです。こうした土地を調べてみると、税法通り毎年確認調査をしているところがほとんどなく、3年に1度程度、あるいは全くやっていないというところが大半だというのです。

 一般農地として農地課税されるとすると、10アール当たり1,000円ほどです。一方、農地価税でも生産緑地地区の指定を受ければ数千円に上がります。市街化区域の農地となった場合には宅地並み評価ということになり、10アール当たり数万円となります。また、宅地並み課税となると、10アールで数十万円となります。この調査をしていないという事は農民が10アール当たり1000円で済んでいるということなのです。ここに大きな取りっぱぐれがあり、サラリーマンとの間にさらに不公平な状況を作っているのです。かつそれに加えて相続税もないということなので、やはりこれは農地の実態に合わせてきちんと課税しないといけないでしょう。

 いわゆる都市型サラリーマンとの差がこれ以上拡大すると税務署に対する大きな批判になってくるので、課税当局は命がけで対策をしなくてはならないと思います。一方で、耕作放棄をしていてそこまで課税されるとなると負担が大きいので手放そうという動きにつながります。これが大規模農地化や企業による農業参入につながってくるわけで、有効利用ができるようになると思います。土地を持っていても何もしない、所有者は70歳を過ぎている、などという事は農水省、財務省、自治体、お互いの怠慢で、農地について怠慢の連鎖になっていることが大きな問題だと言えるでしょう。

 日経新聞は「路線価で知る住宅の税金」と題する記事を掲載しました。記事では都市部を中心とした地価の上昇や低金利の長期化を背景に、不動産にかかる税金に関する問い合わせが増えていることを紹介しています。相続税や固定資産税はいずれも国税庁や市町村が公表する路線価が評価の基準となり、そこから課税評価額を求める方法や控除の条件等について解説しています。

 住宅については課税の基準となる路線価をネットで調べることもでき、税理士に依頼して調べてもらうこともできます。農地の方は何年も調べていないのでわかりませんというのとは対照的です。よそのところはどうしているかというと、ヘリコプターで放棄されているところを識別するなどの方法で調査しています。今ではGoogleマップを拡大すれば、簡単にわかるかもしれません。都市型住民ばかりがこのように圧迫されているという状況は徴税の歪みであり大きな不満につながるので、これを今のうちに改善するとともに、より積極的に一般にアピールしていくべきだと思います。

【日本】2014年度一般会計税収 54兆円見通し

 2014年度の国の一般会計税収が、補正予算編成時に見込んだ約51兆7000億円から大幅に上振れし、54兆円規模に達する見通しが明らかになりました。

 そうは言っても、一般会計税収の推移をグラフで見ると、それほど税収が増えているわけでもありません。税目別で見ると、法人税、所得税ではなく、消費税が上がった分が大きく貢献したことがわかります。予想通りの増加で、法人税の増加はせいぜい2兆円ほどです。いろいろと論じられていますが、全体から見ると消費税増税が貢献しているということなのです。

 金融庁はNISAの購入額が3月末時点で4兆4109億円と、2014年末から48%増加したと発表しました。

 大きく見えますが、1600兆円の国民金融資産から見たら、わずかな数字にすぎません。日本は個人金融資産のうち、242兆円が投信と株式です。その中の4兆円で大騒ぎしているNISAは、大山鳴動して鼠一匹どころか、蟻が半分くらいのことなのですが、新聞に大きく出ると、NISA絶好調のような印象を持ってしまいます。新聞を読むときにはよく注意していつも割り算をしながら読んでほしいと思います。

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ビジネス・ブレークスルー大学
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大前 研一
6月14日、28日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

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