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世界同時株安の真相を探る(田口美一)2015/09/09(水)

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今回のテーマ

世界同時株安の真相を探る(田口美一)

世界同時株安の真相を探る

【ゲストにクレディ・スイス証券 チーフ・エコノミストの白川浩道氏をお迎えし、乱高下が続く世界の金融マーケットについて解説していただきました。】

<田口> 中国の主要経済指標を見ると、実質GDPは1-3月、4-6月、共に前年比7%程度の成長で、それほど経済が傾いているようには見えませんが、輸入と生産者物価にはマイナスが目立っています。中国にとっての輸入は日本など他国にとっては輸出で、中国向けの輸出が良くないということです。実感からすると、相当景気が悪いので輸入が減っているということなのでしょう。しかも二桁のマイナスとなると、表面的な実質GDPよりも、こちらの数字に本質が現れているように思います。

 そうしたことが、経済の鏡と言われる金融市場にはっきり出てきたのがここ最近の動きです。振り返ると、中国株式市場は6月中旬から下落を始め、8月上旬には人民元の切り下げがありました。8月には天津の爆発事故があり大きな被害が出ました。そして、株式市場の下落に歯止めをかけようと、中央銀行の政策金利や預金準備率の引き下げが行われ、一時的には効果があったように見えたものの、やはりなかなか下げ止まらず、ピークから約4割下落した水準で動いています。

 この動きが世界のマーケットに飛び火し、ドイツの株式市場は8月24日終値でピークから20%以上下落、アメリカ、日本も10%以上の下落となっています。

 中国を震源地として、全体の株価が急落しているわけですが、第一印象としてどのようにご覧になっていますか。

<白川> 中国のGDPはそれほど悪くはないのですが、物価が下がっていたり、生産活動も弱くなったりしています。それに加えて、最近は比較的正確に示される電力の動きに注目しています。電力消費量などを見ると前年比の伸び率がゼロに近くなっており、製造業の活動がかなり弱くなっていることがうかがえます。さらに不動産もまだ非常に弱いので、ここへ来て中国の不安感は非常に高まってきていると思います。震源は中国にあり、この状況の中でFRBが利上げをしようという話になってきているので、マーケットは相当不安だろうと思います。

<田口> やはりファンダメンタルズを考えた場合、中国はかなり不安だという見方が出てきているということですか。

<白川> そうですね。元を切り下げるという政策を出したということは、中国に相当手詰まり感があるのだろうという心理的な影響を与えています。始まりは中国の株価下落ですが、二番目に来たショックは元の切り下げであったと思います。

<田口> 中国の元の問題については、まず大きな流れを理解しておく必要があると思います。おそらく元はこの数年間、経済がどんどん良くなる中、基本的には強くなり、元高になってきていたわけです。アナロジーとしては日本が1985年からずっと円高を保ってきたのとちょうど同じようなイメージです。基本的には経済が強いので元高が進むだろうと市場も思っていたわけです。それに対し、中国政府としては日本の円高のようにあまり強い元高にはしたくないという意向がボトムラインにあったというわけですね。

<白川> 元については二つポイントがあり、元はドルにペッグしているので、ドルに対しては安定していますが、この一年でユーロ安、円安が進み、対ユーロ、対円で中国元も非常に高くなってしまったのです。ドルにペッグしていたために実効為替レートで見た中国元はこの一年で30%以上上昇してしまったのです。これは、中国という国がドイツや日本の企業にとって魅力がないことを意味します。中国で生産して物を輸出しようとか、中国に投資しようとかというインセンティブが非常に落ちてしまったわけです。中国としては非常にまずい状況だったので、切り下げは、ドルにくっついていくのを止めましょうという一つのメッセージだったのです。

 しかし、それは裏を返せばそれほど中国にはお金が入らなくなっているということの証なので、市場は悪く捉えても当然です。ここまでの元高は、日銀の金融緩和、それに続くECBの緩和によってもたらされ、中国から見ると、元は不当に高くなっていたということです。そのことが日本への旅行客増加や、ヨーロッパでの不動産購入に繋がってきたわけですが、逆に言うとそれは国内の需要が外へ逃げているということなのです。それで中国政府は為替をある程度コントロールする必要があったのです。

<田口> 日本の場合も長い円高で、海外旅行する人たちにとっては良かった一方で、企業にとっては不当に円高だったわけです。それが今中国で起こっているということなのですね。株価下落がなかったとしてもその調整をする必要があったわけですね。

<白川> 問題は、調整をしたことでドルに対して一旦は安くなった元がそのままステイしているという状況です。本来ならもっと切り下げていくことで中国の見方は明るくなるはずだったのですが、あまり切り下げ過ぎてしまうと、すでに入っている資本が逃げてしまうというリスクがあります。それによって中途半端な施策になっていて、このことが先を見えにくくしているのです。

<田口> 中国はGDPでも2位と大きな国になっていて、その動向を皆が注目しています。今回はやりたくて仕方なかった為替の調整をこのタイミングでやったと政府はコメントしています。しかし、このタイミングでやったことで、マーケット的には中国経済が不安なので元安なのだと映りましたね。

<白川> 中国側にも、元を安くしすぎることで中国経済の印象がより悪くなってしまうという感覚が出てきてしまったわけです。これではデフレ的な状況から脱するのは難しいでしょう。中国元は1割、2割と切り下がらないと状況は変わらないと思います。5%程度では焼け石に水なのです。まだ調整があるかもしれない、株価がもっと下がるかもしれない、世界的にもっと印象が悪くなるかもしれないという不安はありますが、中国がそれに配慮してしまうと自らの国を立ち上げられなくなってしまうということなのです。

<田口> 中国経済がそれだけインパクトのある大きさになっているというわけですね。不透明感も強いですね。

<白川> 今後も中国の経済データはなかなかよくならないと思いますし、今は銀行の不良債権などそれ以外の不安感も強まっています。実は最近、IMFも中国に対してあまり改革しろと言わなくなっています。むしろ気にしているのは企業の負債や地方政府のプロジェクトの問題などで、リスクマネジメントの方に視点が変わってきているのです。IMFも中国のリスクマネジメントをかなり不安視しているということは周りにも伝わるので、またなにか出てくるのではないかと警戒されているのです。しかもその規模が非常に大きいのです。GDP比150%が企業の借金で、IMFによるとその四分の一がすでに不良化していると言われています。不良債権はGDPの40%に当たるわけですが、日本円にすると約500兆円に上ります。すでにギリシャなどの比ではないレベルです。

<田口> ギリシャはそうしてみるとGDP、財政の規模は非常に小さく、援助に必要な金額も12兆円と中国と比べると少ないと言えますね。

<白川> はい。どうやって中国を救うのか、ということは世界的に見ても大問題と言えるのです。

中国人による爆買いへの元安の影響とは?

<田口> 中国から日本へたくさんの観光客がやってきて、爆買いと言われるようにたくさん物を買っていく、インバウンド効果については、マイナスの影響が出るのでしょうか。

<白川> まず、人民元相場がここからさらに安くなり、対円でも下落することになると、当然日本の商品価格の魅力が落ちます。5%程度なら問題ないのですが、円が125円から120円になり、対人民元ですでに7%から8%円高になっています。さらに進んで、日本に来て買い物をするコストが2割程度上がってくると、来る人の数が減るかどうかはわかりませんが、来た人が使う金額は減ると思われます。目安として人民元が円に対して2割安くなると影響が出てくると思っています。

<田口> 元円レートが1元=20円ほどでしたから、4円ほど元安に動いたら注意が必要ということですね。

<白川> ドル円ではドル=115円になってくると不安です。中国は元の切り下げをやりきっておらず、1元=6.7ドル辺りまでドルが下がると見ているので、その両方で元は対円で2割は下落することになるからです。その時はもう一段日本株が下落することになるでしょう。

<田口> 元もある程度安くなってくればプラス効果も出るのでしょうが、その途中で先が見えない状態が難しいところになるのでしょう。お話にあったように、ファンダメンタルズの不安や経済システムの不安、しかもその金額が大きく、実際に株価は下落しています。当局は元安に誘導しようとしているもののまだ調整が続くと見られます。まだ問題の収束には時間がかかりそうですが、一方で中国は国家統制の効いている国なので、なんらかの対策が出されると期待されていますね。

<白川> 政府の対策については、特に株式市場では金融緩和だけではうまくいかないだろうから、中国は財政出動するだろうとよく言われています。しかし、実際何をするのかまでは踏み込んでおらず、なんとなくファジーに何かやってくれるだろうという期待をして、その期待は常に裏切られています。中国はやはり日本の状況を勉強しているので、バブル崩壊後どれだけ財政出動をしてきたかわからない日本で成果が上がらなかったことを踏まえると、中国が財政出動という策にそれほど魅力を感じるとは思えません。財政出動をしたとしてもあまり大きな規模にはならないと思います。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師
金融経済アナリスト
前クレディ・スイス証券副会長
田口 美一
9月3日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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