中国ですが、日本経済研究センターの試算によると、今年4-6月の中国のGDP成長率は、中国政府が発表した7%を下回り、5%程度にとどまっていた可能性が高いということです。
いわゆる「李克強指数」、つまり「鉄道貨物輸送量」や「発電量」、「銀行貸し出しの伸び」で試算したもので、GDP成長が5%ではないかということですが、私自身は下手をするとマイナスになっていると思っています。実態はそれほど悪いのです。
ただ中国の場合には、消費経済というよりも政府主導のインフラ構築経済が中心となっているので、一般の人たちへはまだ波及していないのです。今後波及してくると思いますが、今回の国慶節の中国からの訪問客を見ても、フランスでも、香港でも、日本でも、購買力は衰えているようには見えません。銀聯カードで恩典をつけるサービスはシンガポール、パリ、日本など、どこでもやっていて、中国人観光客を呼び込もうとしています。そうしたことからも、今のところ一般コンシューマーのところには影響していないと見られます。中国の経済は、まだそうした消費の部分が非常に少ない一方、パブリックの部分がとても大きいわけですが、その部分は相当なマイナスになっていると見ていいでしょう。
日経のアンケートによると、日本ではすでに中国経済の減速が「経営にマイナス影響」とみている経営者が3分の2近くに上っています。中国の減速はオーストラリア、カナダ、ブラジルなどの経済にすでに明確に打撃を与えています。国内企業でも、中国銘柄と言われている日立建機や、コマツなどは大きなマイナスになっているほか、中国でよく売れているピジョンなどもマイナス影響が大きいと言われています。
中国は今後、もう一度経済成長をしようとしても難しいので、経済政策の根本をあらためて見直して、何を中心に経済を立て直していくのかを見ていく必要があるでしょう。慌てて土地から株へ、株から次へと移しても、立て直しは無理だと思います。一旦落ちるところまで落ちて、そこから再構築していくことが必要で、しかもそれを地方別でやっていく必要があるだろうと思います。
一番良いのは通貨をフロート、つまり自由化してしまうことです。通貨をドルから離すことで、人民元はおそらくかなり安くなるでしょう。そうすれば、輸出競争力がもう一度戻ってきます。急速に中国を逃げ出そうとしている労働集約型の産業も、もう一度戻ってくるか、逃げるのを留まる可能性があります。中国に関してはこの為替の自由化が一つの鍵になると思っています。
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