一方、設備投資の数字を見ると、+10.9となっていて、前回よりもさらに良くなっています。設備投資というと一般的には製造業が行うものです。非製造業の中には通信セクターも含まれるので、通信網を作るなどの設備投資はありますが、一過性のものなので別にして考えることにします。そうしてみると、本来製造業が良くなる方向で設備投資がプラスとなれば本業の積極的な投資だと判断できるのですが、今回は製造業の景況感が低下しているにもかかわらず、設備投資が増えるという結果なのです。
一部の新聞では、設備投資が増えているので先行きに対して明るい見通しから株価も上がっているなどと報じていますが、そうとは言えないと思います。エコノミストのレポートなどによると、今回はマイナンバーなどの一時的な制度変更によって発生した設備投資が影響していると考えられます。設備投資の内訳を見ると、実際には後ろ向きな設備投資と言わざるを得ないのです。やらなくて良いのならやりたくない設備投資であり、業績に反映してこない可能性が高いのです。もしこれを続けて業績に跳ね返るようにするには、さらにルールを変えるなどして制度的な設備投資を増やす必要があるのです。
今回の設備投資の増加が本業に跳ね返ってくるものなのかどうかを注意深く見ていっていただきたいと思います。そのために、機械受注統計のデータが参考になります。半年先など、先を見て動くのが機械受注なので、そこに数字として設備投資の改善が現れてくるのかどうかがとても重要になります。設備投資が増えているといっても、間違った見方かもしれないので注意が必要で、単純には喜べないということなのです。
つづいて中小企業の短観ですが、製造業は今回が0で、先行きはマイナスに転じています。非製造業は一応プラスですが、先行きは低下が見込まれています。にもかかわらず、大企業と同様に設備投資は前回と比べてマイナス幅が少なくなり、増加傾向となっています。やはり中小企業でもマイナンバーなど、制度の変更がここに影響しているとしか考えられません。9月末になってにわかにニュースやワイドショーなどで取り上げられるようにもなり、期末になって間に合わせるように駆け込みで対策をし始めたということなのでしょう。
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