流出は、タイ、マレーシア、ロシア、韓国、サウジアラビアと続きます。サウジアラビアは原油価格が下がったためサウジの人がお金を外へ持って行っているのです。そして、流出額が大きいのが中国です。50兆円近い金が流出しています。企業と富裕層が資金を海外に持って行ってしまっています。外から入る分も減っていますが、それ以上に内部の人たちが持ち出しているのです。
なかんずく、富豪の李嘉誠氏は中国への投資で中国政府のめでたきを得ていたのですが、今は脱中国をあからさまにやっているということで、ことごとく中国政府にコテンパンにやられています。あれだけ貢献をしたのに、中国政府は手のひらを返したように彼を叩いているということがビジネスウィーク誌にも取り上げられています。
アメリカ財務省が19日に発表した報告書によると、中国が景気減速による人民元安を食い止めるため、7月から9月に2290億ドル、約27兆5000億円の為替介入を行ったことがわかりました。
外貨準備が豊富なのでこうした時に使っても良いわけで、アメリカは依然として人民元が安すぎるので高くしろと言っていますが、私は以前から、為替を自由化したら人民元は暴落すると言ってきました。そのことがようやく中国政府やアメリカもわかってきたようです。
人件費を上げてきた国は同時に為替も上げていくことは不可能で、人件費を上げて競争力を持とうと思ったら為替は安くならないといけないのです。それをせずになんとかなったのは、日本とドイツだけなのです。スイスは少し例外と言えるでしょう。そうしてみると中国は決して競争力は強くないので、あれだけ人件費を上げて、アメリカが言うように人民元もさらに強化するということは不可能と言えるのです。
おそらく自由化をすれば、1ドルが13元から15元まで落ち込んで、そして再び弱くなった製造業の競争力が回復に向かうのです。こうすることによってのみ、中国の巨大なメーカーの脱出劇に歯止めをかけることができるのだと思います。介入で元安を止めると言っても限度があるので、中国にとっても貴重な外貨は、イギリスに行って大バレードをやるのではなく、きちんととっておくべきだと思います。
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