日経新聞は、「経済統計なぜブレる」と題する記事を掲載しました。これは7-9月期のGDP伸び率が速報値のマイナスから改定値でプラスに転じたことを受け、閣僚の間でも経済統計の精度が再び論点になっていると紹介。サンプル調査である出荷統計、法人企業統計は、精度を高めるにも予算などで限界があるほか、個人消費もネット通販や外国人消費の拡大といった経済構造の変化で見えにくくなっているとし、改善と変化のいたちごっこの中、より良い物差しを探す作業は続くとしています。
これだけ速報値と確定値が違ってくると、どれが本当かわからず、経済判断ができなくなってしまいます。2000年以降、6回もプラス、マイナスが逆転してしまっている状況です。最近の動向を見ると、なんとなく政権の意向が反映されているのではないかという気がします。今までの統計のズレは皆が素直に受け入れていましたが、今回はやはりアベノミクスで2%インフレだとして、無理に上の方の数字を使っているのではないかという疑念が晴れないわけです。
もう少しずれない数字で経済を見ていく必要があり、最終的にはGDP全体ではなく、電気使用量など経済活動にリンクするような、ブレない数字を使うべきでしょう。中国はそうしたことで水や電気の使用量を参考にしていますが、日本でもそうしたことが必要になると思えるほど、大きくブレることが増えてきているのです。
その政府は企業に賃上げを望んでいますが、日経新聞社の調査結果によると、過去最大規模に膨らんだ内部留保の活用先について、「M&A」と「株主還元」という回答が、いずれも44.8%に達しました。一方、「賃上げ」など従業員への還元は14.5%に留まり、官民対話などを通じて企業に賃上げを求める政府の意向と一致していない現状が示されました。
麻生氏が守銭奴と呼んだ354兆円もの内部留保は、株主に対する配当と、M&Aをやっていくときのためのものです。もともと、政府の要望がずれているので、こうした回答になるのは当たり前と言えます。「賃上げ」や「設備投資」は経費の中に入ってくるものなので、政府の要請に「違和感を感じる」という回答が多いのも当たり前だと思います。
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