日経新聞は1日、「資源安、マネー大移動」と題する記事を掲載しました。原油や金属などの資源安で、産出国から消費国への所得移転が加速しています。価格低迷が2016年も続けば、日米欧、中国などの貿易収支の改善額は1兆1581億ドル、約136兆円に上る計算です。資源安は金融市場の動揺を招く一方、輸入国では企業や家計の所得を増やす側面も併せ持つとしています。
今は、中国、資源安、そして日本の日銀の当座預金におけるマイナス金利ということで市場は騒いでいますが、実態から見るとやはり、資源安で株式市場が下落するということはおかしなことです。日本は原油安によって家計が随分と助かり、少し大きな車も買おうかという動きにもなります。
特に日本のようにエネルギーを輸入している国では大きなプラスになるわけですが、そうした評価はなされていないようです。アベノミクスはGDPを増やしたいと思っており、資源安で増えないという部分があるので悔しがっているのです。しかしそれでは間違いで、やはり生活が楽になることが政治の目的であり、GDPを増やしてインフレにするということが目的であるわけはないのです。
もう一つの問題、中国に関しては実際深刻で、日経ビジネスの今週号でも「チャイルショック、リーマンより怖い現実」と特集されています。この問題については確かにこの通りで、この番組でも何度もお話ししています。中国は非現実的な政策、つまり、賃金政策と為替政策を併せてコントロールしようとしていて、そのオーバーコントロールの矛盾が出てきているのです。
そして今、中国の現場では、習近平主席のやっている虎刈り、虎も蠅も叩くという政策ですが、その影響で叩かれるのを怖がって誰も何もしなくなってしまいました。今は目立つことをしないということが優先され、許認可も全く下りない状況で宙に浮いてしまっているのです。むしろ今の方が怖い状況ではないでしょうか。悪いことをやり、裏で賄賂をもらってどんどん認可していたのも問題ですが、そう疑われるのではないかと思って何もしないというのも困るのです。
たまたまですが、ニューズウィーク誌の今週号は、”THE INCREDIBLE SHRINKING” と題して原油価格の下落を取り上げています。それに中国のシュリンクも合わせて、「チャイル」と表現するのだそうです。どちらもシュリンクしてきているので、世の中ではせっかくアメリカが利上げをして景気も良くなると思ったら、驚くほどに躓いてきている状況になっているのです。
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