ただ、実際の感覚としては少し違うように感じるところもあります。私はCoCo壱番屋のシーフードカレーが安くて美味しいので大好きです。特に642円のあさりカレーは無限に入っているように思えるほどたくさんのあさりが入っていて、大いに満足できます。もちろん何万円とする懐石料理にも仕方なく行く時はあります。しかし今現在、642円であのあさりカレーが食べられるならば、それ以上のものを食べる必要はないのです。
つまり、世の中は製造業だけではなく、デフレでも耐えられるように、そうした商品ができてきてしまっているのです。ガストでもよし、バーミヤンの定食も大変美味しいです。お金を使わなくてもよい世の中を作ってくれている有難い会社があちこちにあるということなのです。その上、コンビニも選択肢にあります。どんとお金を使いたくなるような大きな理由がなければだめなのですが、それが日本にはないのです。
アメリカ人は普通の会社の部課長で、寒いところで働いている人は南に第二の家を引退用として買うわけです。だからこそサンベルトに需要があるのです。しかも、それを貸し出してお金を稼ぐので、買っても負担にはならないのです。そして年に二週間ほどそこを使って楽しむのです。これが巨大な消費となっているわけです。そして最後には北の家を売ってすべてキャッシュにして、これが貯金だったということがわかるのです。これにより経済が膨らむのです。アメリカにもとんでもなく高いハンバーガーもありますが、全体的には安い方向にも行っているわけです。こうした特徴が経済の支えとなっています。
一方、ヨーロッパ人も同様にデフレの方向に向かっているのですが、彼らもどんと奮発する時があります。それがバケーションです。イタリア人は収入の三分の一をバケーションに使います。日本人はせいぜい年間二日ですが、イタリア人は三週間以上バケーションを満喫します。ドイツ人はバケーションを取らないことで有名でしたが、結局この30年の間に、夏に二週間、冬はスキーに一週間で、年間三週間バケーションを取ることがドイツ人も平気になりました。これが非常に大きいのです。
ヨーロッパ人はバケーションでどんと消費し、アメリカ人は引退に使うセカンドハウス、それにより経済がどんと膨らむというわけなのです。この膨らみの部分が日本にはないということに気づきました。ちょっと値段の高いカレーやハンバーガーもありますが、そんなものは誤差の内です。CoCo壱番屋のカレーを食べてみたら、富士屋ホテルの2500円のカレーよりもおいしいと思うほどです。その意味でデフレはすでに構造的に進んでいるのです。それ以外のもので膨らませない限り、日本の巨大な1700兆円の個人金融資産は出てきません。
アメリカやヨーロッパはその点非常にはっきりした消費の膨らみがあるので、日本もこれに匹敵するものが必要です。倹約するところはすれば良いのですが、そうではないところを作らないとだめだということです。ようやくそこに私も気づいたので、低欲望に対して何か高欲望になるような手立てを考えなくてはいけないと思い、今そのことに頭を集約して考え始めているところです。皆さんもいいアイディアがあれば知らせてください。
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