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減少する実質消費支出(大前研一)2016/03/02(水)

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今回のテーマ

減少する実質消費支出(大前研一)

【日本】2015年実質消費支出 前年比2.3%減 ~総務省~

 総務省が16日発表した2015年の家計調査によると、二人以上の世帯の実質消費支出は、前年比2.3%減少したことがわかりました。2年連続で前の年を下回ったもので、2014年4月の消費増税以降、消費の手控えムードが長引いている現状が改めて示されました。

 結局、200円カレーやローエンドのガストなどが非常に好調ということで、再びデフレであり、もつ鍋に焼酎というスタイルに戻ったと言えます。安倍首相は賃金が上がったと言っていますが、実態はそれが消費に結びついていないことが明らかになっているのです。

 消費支出の対前年増減率の推移を名目と実質で見ると、実質は相当冷え込んでいることがわかります。支出ではどういうものを削っているかというと、水道などの公共料金は上がっているものの、その他のものは不要不急のもの、例えば衣服や教養娯楽などが落ち込んでいます。つまり皆が身構えているということが非常にはっきり表れているのです。

 ただ、実際の感覚としては少し違うように感じるところもあります。私はCoCo壱番屋のシーフードカレーが安くて美味しいので大好きです。特に642円のあさりカレーは無限に入っているように思えるほどたくさんのあさりが入っていて、大いに満足できます。もちろん何万円とする懐石料理にも仕方なく行く時はあります。しかし今現在、642円であのあさりカレーが食べられるならば、それ以上のものを食べる必要はないのです。

 つまり、世の中は製造業だけではなく、デフレでも耐えられるように、そうした商品ができてきてしまっているのです。ガストでもよし、バーミヤンの定食も大変美味しいです。お金を使わなくてもよい世の中を作ってくれている有難い会社があちこちにあるということなのです。その上、コンビニも選択肢にあります。どんとお金を使いたくなるような大きな理由がなければだめなのですが、それが日本にはないのです。

 アメリカ人は普通の会社の部課長で、寒いところで働いている人は南に第二の家を引退用として買うわけです。だからこそサンベルトに需要があるのです。しかも、それを貸し出してお金を稼ぐので、買っても負担にはならないのです。そして年に二週間ほどそこを使って楽しむのです。これが巨大な消費となっているわけです。そして最後には北の家を売ってすべてキャッシュにして、これが貯金だったということがわかるのです。これにより経済が膨らむのです。アメリカにもとんでもなく高いハンバーガーもありますが、全体的には安い方向にも行っているわけです。こうした特徴が経済の支えとなっています。

 一方、ヨーロッパ人も同様にデフレの方向に向かっているのですが、彼らもどんと奮発する時があります。それがバケーションです。イタリア人は収入の三分の一をバケーションに使います。日本人はせいぜい年間二日ですが、イタリア人は三週間以上バケーションを満喫します。ドイツ人はバケーションを取らないことで有名でしたが、結局この30年の間に、夏に二週間、冬はスキーに一週間で、年間三週間バケーションを取ることがドイツ人も平気になりました。これが非常に大きいのです。

 ヨーロッパ人はバケーションでどんと消費し、アメリカ人は引退に使うセカンドハウス、それにより経済がどんと膨らむというわけなのです。この膨らみの部分が日本にはないということに気づきました。ちょっと値段の高いカレーやハンバーガーもありますが、そんなものは誤差の内です。CoCo壱番屋のカレーを食べてみたら、富士屋ホテルの2500円のカレーよりもおいしいと思うほどです。その意味でデフレはすでに構造的に進んでいるのです。それ以外のもので膨らませない限り、日本の巨大な1700兆円の個人金融資産は出てきません。

 アメリカやヨーロッパはその点非常にはっきりした消費の膨らみがあるので、日本もこれに匹敵するものが必要です。倹約するところはすれば良いのですが、そうではないところを作らないとだめだということです。ようやくそこに私も気づいたので、低欲望に対して何か高欲望になるような手立てを考えなくてはいけないと思い、今そのことに頭を集約して考え始めているところです。皆さんもいいアイディアがあれば知らせてください。

【日本】2015年度配当総額 約10兆8000億円で過去最高更新

 日経新聞は21日、「不動産融資、26年ぶり最高」と題する記事を掲載しました。これは、2015年の不動産業向け新規貸し出しが10兆6730億円と、前の年に比べ6.1%増加したと紹介。低金利で住宅やオフィスビルの需要が底堅いうえ、日銀の異次元緩和でマネーが不動産市場に流れ込んでいることが要因としています。

 これについて、私の肌感覚では、去年11月あたりがピークであり、今はまた冷え込んできていると思います。銀行の不動産向けの新規貸し出しの推移では、確かに80年代のピークの水準に達しています。ここまで不動産に資金が流れてきたわけですが、私の感覚では、かなり急速に値上がりが止まりつつあります。売りたい人がいたら、去年の11月頃に売っておけばよかったという状況で、買い案件が実に少なくなってきています。

 値上がりの多くの部分は中国からの影響でしたが、中国経済の問題もあり、それがピタリと止まってしまったのです。中国の方も金持ちがお金を持ち出す方法がないので、そこで滞留してしまっているのです。そうしてみると、この記事は私の瞬間的な肌感覚から見ると二ヶ月ほど遅れているように思います。

 また、日経新聞の統計によると、上場企業約3600社の2015年度配当総額は約10兆8000億円と、初めて10兆円を超え、3年連続で過去最高を更新する見通しとなりました。業績の見通しを下方修正した企業でも約9割が従来の計画通りの配当を維持する見込みで、稼いだ利益を溜め込まず、配当に回すことにより、足踏みする個人消費を下支えしそうです。

 日経のこういう記事は誤りだらけです。ほとんどの株は金融機関が持っていて、機関投資家は配当がある限りは株価がどうであっても持ち続けるのです。たとえ将来性が暗くても、配当をしている限りは持ち続けるわけです。その理由は、銀行などに預けてもわずかな金利しか付かないので、配当さえあれば株で持っておこうということなのです。

 このことの持つ意味を検算するため東証一部の時価総額を見てみると、直近では約479兆円です。それに対して配当総額が10.8兆円ということは2.25%にあたり、銀行に預けておくよりはるかに良いのです。2%も入ってくるのなら売ることはないということなのです。株価は企業の将来得べかりし利益を反映しないといけないわけですが、今はそれとは無関係に機関投資家が持ち続けてしまうという現象が起こっているのです。

 また、配当が増えたことで個人がお金を使うようになると言いますが、個人の持ち分は1割以下です。また、私もBBTの株を持っていますが、課税金額を考えると配当が入るので使おうという気にはなりません。配当には課税をしないということになれば、使うと思うでしょう。ただ、高額な配当をもらっている個人はそれほど多くなく、そうした人たちは逆に総合課税になってしまうので、総合的に税制が変わらない限り消費への効果は出にくいと言えます。

 配当性向の状況をみると、日本企業もアメリカ企業も3割程度です。昔は日本の配当性向はかなり低かったのですが、今は配当によって株価維持をする、配当によって機関投資家を引きつけておくので、日本もアメリカと変わらない水準になってきたというわけなのです。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 学長
大前 研一
2月21日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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資産形成力養成講座 加藤

新年あけましておめでとうございます。2016年の株式市場は波乱の幕開けですが、今年も有益な情報をお届けできればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

資産運用はインフレ経済下で特に重要になります。デフレ下では資産運用をしなくてもモノの価値が下がっていきますが、インフレ下ではモノの価格上昇を超える運用をしなければならないからです。資産運用は、株式・債券・為替・コモディティ・不動産など多岐に渡りますので、総合的な理解や考え方が求められます。世界標準の資産運用を学び、第一歩を踏み出してください!


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「資産運用を日本の国技に!」「世界最適運用で世界標準の5%~10%の利回りを目指せ!」大前研一学長の掛け声のもと、2006年にスタートした資産形成力養成講座。5000名を超える受講生が学んできました。

これまで長期デフレを経験した日本。デフレに慣れ、インフレの想像がつきにくい方も多いかもしれません。しかし確実に、デフレ脱却に向けて動き出しています。インフレとはモノの価値が上昇する世の中。私たちはそうした物価上昇以上に持っている資産を高めていかないと生活力(購買力)を落としてしまうことになります。

金融機関など他人任せにするのではなく自ら設計することで、手数料などを考えると2%程度の利回りの差になることも多々あります。毎年2%の差は、例えば500万円運用している人にとって、10年で100万円以上の差になって現れます。欧米では学校教育で「お金」について学ぶ機会がありますが、日本ではほとんどありません。みなさんも、世界のお金の流れを学び、リターンを実現できる資産形成力を高めませんか?

それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

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資産形成力養成講座とは。大前研一学長総監修。世界経済の混乱の中、資産運用・形成の方法を学ぶ。FX為替・株式・投資信託・不動産・REIT・商品先物・債券・年金・保険・分散投資・海外投資など体系的に資産運用が学べる講座。ビジネス・ブレークスルー大学の公開講座。

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