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大きく下がり始めた長期金利と影響(田口美一)2016/03/16(水)

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今回のテーマ

大きく下がり始めた長期金利と影響(田口美一)

日銀当座預金とマイナス金利

 マイナス金利が課される日銀の「当座預金」について詳しく見てみます。日銀当座預金とは、都市銀行、地方銀行、信用金庫など、市中の銀行が日銀に預けている預金です。市中銀行は国民や企業から預金を預かるわけですが、かつて取り付け騒ぎと言って、経営が不安視された時に預けていた人が預金を引き上げてしまう騒動もあったことから、制度として準備預金制度というものが先進国中心に設けられています。日本でもそうした法律があり、金融機関に対して、預かった預金の一定割合を中央銀行すなわち日銀に預けることが義務付けられています。

 どのぐらい預けるかというと、0.05%から1.3%と極わずかですが、日銀に強制的に預金として置かなくてはいけないことになっています。ただ、割合としては小さいようでも、我々国民が市中銀行に預けている預金とは違い銀行の預金なので、兆円単位の額になります。0.05%から1.3%程度といってもトータルの額としては大きいのです。そしてこれがそもそもの日銀当座預金であり、現在9兆円程度が所要の準備預金残高ということになります。

 また、銀行同士がお金を出し入れする際、コール市場で動かしたり運用したりするのですが、その最終的な資金決済の場としてもこの当座預金が使われています。我々が銀行を通してお金を送金したりやりとりするように、銀行同士も、そのようなやりとりをインターバンク市場でするわけですが、最終的には日銀当座預金で決済すると非常に便利なのです。そもそもの日銀当座預金は、このような形で預けたお金をうまく使っていたわけです。

 しかし現在、この当座預金にはもともとの9兆円をはるかに凌ぐ、200兆円以上もの莫大な金額が預けられています。その理由は金融緩和です。緩和が長く続くうちに、銀行から日銀が国債をオペレーションで購入し、銀行に対してお金を振り込み続けました。つまり、銀行が持っている国債を日銀が買い上げることにより、銀行に国債を買った分のお金を渡してきたのです。そのお金が当座預金に積み上げられてきたのです。そもそも投資するものがないので国債を買っていたわけなので、日銀がそれを吸い上げてお金が振り込まれたところで使いようがないので、それを日銀当座預金に置いておいたということなのです。

 しかし法律として必要な準備預金残高より余分に置いたお金は、「ブタ積み」と言われ金利が全く付かなかったので、必要以上に積むと全く利益を生まない預金になってしまっていました。銀行も金利が全く付かないと意味がないので何とか引き出そうとしますが、使いようがないため、また国債を買うか金庫に置くかしかないわけです。銀行がお金を入れたり引き上げたりを繰り返すという状態はとても不安定なので、日銀は2008年、ここに0.1%の金利を付け、安定的に銀行が当座預金にお金を置けるようにしました。

 こうして作られた「補完当座預金制度」により、日銀当座預金には金利が付くようになり、市中の金融機関は安心してお金を置いておくという事態が発生したのです。これについて口の悪い人は、何もしないで日銀に置いておくだけで0.1%も金利が付いていると批判していて、実際それが現状では2000億円に上っていたのです。そういう批判的な見方もできますが、日銀が当時やったように金利を付けておいたおかげで、銀行が自行の金庫にお金を移したり戻したりというやりとりがなく、安定的に市場を保つことができたとも言えます。

 さらに深読みをするならば、将来的に少し金利を上げたい時には、市中の金利は上げられなくても、この付利を上げることによって、金利のコントロールが可能になるという見方をする人もいました。何れにしてもゼロだったものに金利を付けるようになってかれこれ7、8年経過していました。2000億円を日銀が市中の銀行に金利として支払うわけなので、日銀の儲けは減ります。日銀の儲けは国庫金、つまり税金として国に納めるものなので、その分が銀行に利子として回されていたということになります。

大きく下がり始めた長期金利と影響

 この金利について、3段階の階層に分けて変更したのが今回のマイナス金利導入です。今まで通り0.1%のもの、さらに0のもの、-0.1%のもの、と三種類にしたのです。210兆円の基礎残高については変わらずに0.1%の金利を付けるとし、現在10兆円から30兆円程度の政策金利残高と言われる部分についてはマイナス金利が課されるとします。マクロ加算残高と言われる部分については金利は付けないということで、法定準備預金の部分もやはり変わらず金利は0としています。黒田総裁は国会答弁などでは、このように3つに分けられていて、大きな部分を占める基礎残高には今まで通り金利が付くので、あまり大きくは変わりませんと言っています。

 ただし、現在10兆から30兆円ほどの政策金利残高ですが、年間80兆円を日銀がオペで吸い上げるので、その部分は1年後には90兆円に増えてきます。仮にこの部分にマイナス金利が課されていくと銀行の利ざやはかなり小さくなり、私の試算ではほぼ半減すると予想されます。マイナス金利が付く部分の額が変わらなければ確かに大きな影響はないと言えますが、その額が増えてくると、今後どうなるかわからないということなのです。先々どうなるかわからないことをやると皆、疑心暗鬼になります。日銀は大丈夫と言っているものの、今後が心配されているのです。

 このように、マイナス金利は銀行の収益にとって、直接的なプラスにはならない制度だと思えます。しかし逆に言えば、こうした影響を出すためにやっているとも言えます。何もしなくていい状況なら、マイナス金利などやる意味などないのです。何もしないとマイナス金利を課せられるから貸し出しや他のものへ投資をしてくださいという動きこそが、ポートフォリオリバランス効果なのです。

 本当の狙いは、銀行の収益に影響するような事態になるのだから当座預金に置いておくなということであり、ここに置いておけばマイナス効果が大きくなって当然なのです。金融機関は何もしなければ利ざやが減り、収益が悪くなるということです。普通はそのままではマイナスになるので、何かしようとするはずです。国債をさらに買うことが考えられます。すでに買う動きが出てきているので金利がマイナスになり、もっと下がってきているのでしょう。海外の、アメリカなどの国債を買ったり、住宅ローンも顧客に逃げられないように金利をさらに下げたり、狙った効果が出てきているのは当然のことと言えます。

 具体的に金利の動きを見ると、日銀が「金利に強い下押しを加える」と言っているように、実際イールドカーブは発表直後に大きく下がり、今も低下傾向です。10年後の金利すらマイナスということは、10年間利息払いが0%ということになります。1月の時点では、このカーブがどんどん下がるようなことが本当に起こるのかと思いましたが、その後の国債金利の推移は実際に見事に下がる方向に動いています。

 発表前から直近までのデータを見ると、実施後には5年ものがマイナスになり、10日後には10年までマイナスになり、その後もマイナス幅が広がっています。さらに長期の、20年債、30年債、40年債への影響を見ても、激しく金利が落ち込んできています。10年債までは20ベーシスから30ベーシス程度の低下で、それでもよく下がったと思う下げ幅ですが、実は長くなればなるほど大きく下がっていて、40年債では75ベーシスも下がっているのです。0.5%で40年間借りられるということになっているのです。

 まさに水没現象と言える状況で、相当な効果が現れているのです。金利の付くものがなくなってしまうわけで、運用者はとても焦っていると思います。今のところは、日銀がこれからも80兆円買うと言っているので少しはキャピタルゲインが取れ、勝ちやすいということで勢いづいていて、驚くほどのペースで金利が低下しているということなのです。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師
金融経済アナリスト
前クレディ・スイス証券副会長
田口 美一
3月9日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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