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EPSから予測する今後の日経平均株価(藤本誠之)2016/05/25(水)

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今回のテーマ

EPSから予測する今後の日経平均株価(藤本誠之)

EPSから見る日本の成長性と株価との相関

 日経平均株価と予想EPSについて見ていきます。グラフの赤い線が日経平均の予想EPS、つまり一株あたり利益の推移です。アベノミクスの初期、予想EPSは600円ほどでした。その後期が変わり大きく増えたのですが、そこまでEPSが増えることを見越して、日経平均株価は徐々に上がってきたことが見て取れます。結果を見てから上がったわけではなく、来期は良いだろうという予測で、その水準まで上がっているのです。3月期末の決算発表は、45日ルールがあるので4月末から5月半ばにかけて出てきます。そこで一気にEPSが上がったわけですが、それまで為替が円安に走っていたこともあり、企業業績への期待が高まり、株価はそれを織り込んでいったということです。

 EPSはその後も基本的にはコツコツと右肩上がりに推移し、また期越えで少し増え、ピークは去年11月30日に1275円70銭を付けています。もともと600円だったEPSが2倍になったので、日経平均もその期間で2倍以上になったのです。ですから、アベノミクスはバブルではないと言えます。企業業績がそれだけよくなったから株価は上がり、2万957円を付けたのです。ただし、そこからはEPSは下がってきています。1091円20銭まで右肩下がりに落ちてしまいました。これはやはり企業業績の悪化に加え、様々な企業の特別損失が出たことから下がっていったということです。

 そうして5月6日までは下がったEPSですが、5月13日には1191円90銭まで回復、16日時点では1197円台まできているので、170円落ちたところからほぼ100円上がったわけで、グラフの右端のところで急上昇しています。これは足元、株価のプラスの動きにつながると思います。

 なぜEPSがこのように上がったかというと、実はある特定の銘柄だけで上がったのです。それは去年特別損失を出した会社です。例えばシャープ、東芝などは不祥事を起こし何千億円もの特別損失を出しました。2社合計では1兆円の特別損失になります。

 他に、例えば出光興産やJXホールディングスといった資源関連企業があります。こうした企業は原油を備蓄しています。戦争などの事態でいきなりタンカーが通れなくなるなど不測の事態に備えて、何百日分かを蓄えているのです。この備蓄は国が買い取っているわけではなく、民間に備蓄するように義務付けているので、その分は石油企業の持ち物になるわけです。その備蓄を多く抱えているということは、年間の売上高に匹敵するほどの原油を持ってしまっているわけです。高い時に買った原油や安いときに買った原油、いろいろあるものの、それを期末に評価していくらか定めるのですが、これが前年から比べて今年3月末は原油価格が大きく下落していたために、ここで特別損失が発生していたのです。

 さらに、総合商社です。三菱商事、三井物産、住友商事といった大手総合商社は、三菱商事、三井物産に関しては赤字まで行くような大きな損失を出しました。やはり原油など資源関連の、投資していた様々なものの価格が下がってしまい、投資したものの価値がなくなったことにより減損処理をしなくてはならず、特別損失につながりました。

 こうした特別損失が約3兆円に上り、前期の業績に影響を与えました。この特別損失は、企業がいわゆる事業で儲けたお金である、営業利益、経常利益と違い、もう一つ、投資など様々なことによって特別に利益が出たり、損失が出たりという場合のもので、これを合わせて純利益になります。

 今年は円高が影響し、経常利益ベースではやはり厳しいところがあります。円安に支えられて今まで企業業績が上がってきたわけですが、その状況が変わったことは大きく影響します。日経新聞には全体として経常利益は3%ほどの増益と出ていましたが、実はそこには電力会社が入っていないのです。電力会社は去年原油が下がったことで大変儲かっていて、今年は原油価格が戻ってきているので今期はマイナスになるのですが、その電力が含まれていないのです。それで全体は増益というのは少しおかしいと思います。トヨタが7000億円、営業利益で4割の減益と言っているので、そういう意味では今年の業績自体はよくないのですが、特別損益の差によって、EPSはプラスになっているのです。

 今の想定為替レートが自動車関連は105円、電機機械関連が110円と見ているので、やはり110円が分水嶺かと思います。110円以上に円安が進めば、かなり上方修正される可能性があります。もともとの予想が、今はかなりコンサバティブに見積もっているので、上方修正含みということになります。

 トヨタに関しては4割の減益、為替要因が1兆円と書かれていますが、よく見ると様々な引当金などを充てて、かなり保守的に見積もっているように思います。想定為替レートも105円としているので、109円ぐらいであれば上振れ余地があるので、為替が110円を越えていけば、日経平均のEPSは11月の高値である1275円を抜ける可能性もあると思います。しかし、110円を越えなければそれほど増益はできないと思われるので、その場合は1200円ほどで、結局今と大して変わらない水準でいくのだろうと思います。

今後の日経平均ターゲット株価をずばり予測!

 株価としてどうなるのかを見ると、PERの水準ごとに13倍から17倍までその時のEPSと掛け算した5本のラインを重ねてみると、15倍がほぼ真ん中で、プラスマイナス10%、ざっくり言うと14倍から16倍ほどに納まっています。日経平均が2月12日に安値をつけた時には13倍を割り込んで12.96まで行っていますが、それは瞬間だけのことで、14倍を割るということはそれほどないことなのです。そこから、足元の1191円90銭というEPSで計算すると、14倍なら1万6686円なので、今は14倍割れで、これはかなり割安に見えてくるわけです。そうすると、足元では15倍の1万7878円もあると思います。

 ここから業績がよくなると思えてくればさらに16倍、17倍に近づいていくわけですが、現状為替が109円という水準なので、上振れというほどでもありません。ただ、伊勢志摩サミットや参議院選挙を前にした政策期待、消費増税の延期や財政出動を含めた景気対策、さらに成長戦略も幾つか出てくると考えれば、株価もポジティブに動いていくと思われるので、15倍の水準の1万7000円台、あって1万8000円というのが6月、7月の高値だろうと思います。そこまではまだ1000円程度あるので、今はまだ買えると思われます。

 しかし、そこから先はまた暗い相場というか、動きにくい相場となりそうです。EPS1200円では、13倍でも1万5600円なので、下方向も考えづらくなってきているのです。EPSが上がった以上、1万5000円を割るようなことはちょっと考えにくいと言えます。4月8日の安値を割っていくとはとても思えないので、下は1万6000円から上は1万8000円、夏までは一旦上がるものの、下がってきたところでのグダグダした相場がしばらく続くのではないでしょうか。やはり三年間の上げ相場があった後、去年から下落し、一旦1万5000円割れまで叩き込まれてしまったわけですから、この下げ相場があって、すぐに大きく上がっていくというのは考えにくいだろうと思います。ざっくり1年から2年の間、もうしばらくもみ合い相場が続くと考えたほうが良いと思います。

 EPSは日経平均株価を予想PERで割れば求められるので、日頃から動きに注意しておくと良いでしょう。このEPSが下がっている間は、株価は上がりにくいのです。一方、EPSがじわじわとでも上がっている間は、株価も同じように上がるのです。EPSの動きによって、日経平均は影響されるのです。これは当たり前のことを言っているに過ぎません。会社が儲かれば株が上がり、儲からなかったり、損をしたりすれば株は下がるのです。当たり前のことかもしれませんが、方向性をつかむことが大切なのです。

 EPSの水準は毎回変わりますし、PERも振れがありますが、EPSが減って行く方向にあるのか、底をつけて増えてきているのかを見ることで先読みができるのです。その見方からすると、この先はやや明るいと見て良いと思います。8月までに1万8000円をワンタッチするか、先月の高値1万7600円あたりを付けると予想しています。

講師紹介

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資産形成力養成講座 講師
SBI証券 投資調査部
シニアマーケットアナリスト
藤本 誠之
5月17日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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