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中国のなんでも可能にしてしまう「のりしろ」(田口美一)2016/07/06(水)

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今回のテーマ

中国のなんでも可能にしてしまう「のりしろ」(田口美一)

中国のなんでも可能にしてしまう「のりしろ」

 中国のこの一年を振り返ると、夏にはチャイナショックがあり、中国株も4割下がりました。中国経済がスローダウンしたことが、世界の資源価格の暴落につながったのではないかと言われています。こうしたことを受けて中国では、例えば自動車について、昨年秋に中小型車の減税をしたので急激に自動車が売れ始めました。また、長く続いていた一人っ子政策も、今年年初から転換をしています。共産党支配ということで、まさになんでも可能にする「のりしろ」があるというわけです。

 一方で厳しい話も多く、リーマンショックの後には世界経済を引っ張るという非常に強い意識のもと、かなり大きな内需拡大策をやりました。13.7億人の人口に対し、住宅は35億戸ほどもあると言われていて、有り余った状態をどうするのか、地方財政負担など不良債権問題をどうするのか、恐ろしい状況も併せ持っているのが実態です。

 株価は昨年夏に4割下落した後、底割れはしていないものの、足元再び緩んできています。やはり通貨の元が下がっていることに対する不安感が現れていると思います。中国元は対ドルで見ても、これまでずっと元高が進んできましたが、2014年から徐々に元が下がり始め、これまでに1割ほど切り下がっています。そうした動きは対円ではもっと如実で、2割も元安になってきています。言われてみればドルに対しても円高が進んでいるので、掛け算で見ると対円で見た元の下げが大きくなるのです。それがさらに進むと大方の人たちに思われているので、より不安が広がる展開となっているのです。

 ただ一方で原油価格の推移を見ると、これまでの下落にはいろいろな理由があったと言われていますが、根本には中国の経済が急激に落ち込んだことが反映されていると思われます。しかし、原油価格自体は年初からの数ヶ月でぐっと値が戻ってきています。このことについては、中国が急激にスピード調整をした段階からやや踊り場に来た、変化率では大きなマイナスから横ばいに近づいたと見る向きも多いようです。

 実際に、IMFの経済成長率見通しで統計を確認してみると、中国はリーマンショック後には二桁に近い成長率を4年間も続けています。アメリカや日本がマイナス成長となり、世界全体が厳しい状態に陥った時期に、中国は本当に強さを示していたわけです。それが徐々に7%台、6%台へと下がってきているのです。ただ、他の国々も決して強くなってはいません。アメリカも、日本やヨーロッパと比べて頑張ってはいますが、力強い成長とは言えません。

 グラフで見ても世界経済全体を示すラインを上回り、全体を支えているのは誰かといえば中国ということになるのです。落ちてきているとは言え、全体を上回っているのは中国なのです。確かに、0に近い一番下でさみしい成長を示している日本より、アメリカは頑張っていると言えるでしょう。しかし、世界経済が3%台を保っているのは中国の成長のおかげだということなのです。日米欧、この中ではアメリカは強いものの、やはり中国が頑張っているおかげで世界の強さがあるのだと言えます。イエレンFRB議長も、ことあるごとに中国のことを気にした発言をしていますが、それも当然だと言えるでしょう。

急上昇する中国新築住宅販売価格

 世界全体に占める各国名目GDPの割合を見ると、やはり中国とアメリカだけで4割にもなっています。もちろんそれ以下の日本やヨーロッパの大国などを合計しても少なくない数字になりますが、やはりこの二国が大きいということを改めて認識しておく必要があると思います。

 中国国内の経済統計を見ると、PMIで示される景況感は50が判断の分かれ目ですが、この何ヶ月かで戻ってきていることがわかります。昨年後半から年初まで厳しかったものが少しずつ戻ってきている状況です。住宅価格は、中国全土70の都市の数字なのでモデレートに見えますが、綺麗に階段を上るかのような回復が見て取れます。全国の数字でこの状況であり、上海や深セン、北京はもっと価格上昇が起きています。また、自動車登録台数については、去年後半から減税をした効果で大きく増えています。もちろんこれだけ増えているので振れ幅も大きいですが、強い動きになってきています。このように、全体的に底打ち感、プラス、強さもあるというのが現在の中国経済の印象です。

 主要経済指標の伸びを見ても、実質GDPの統計は出遅れていますが、これまで心配されていたのが輸入の数字です。中国で物を作ったり物を買ったりすれば輸入が増えるわけですが、前年比二桁の大きな落ち込みが続いてきました。しかし足元は-0.4%と、ほぼゼロまで下げ止まったような数字が出てきました。これがもし、今後数ヶ月にわたって前年比0程度におさまってくれば、大きく落ち込んだものが横ばいになってきたということが見えてきます。

 実際、小売売上高なども10%を超えた強い数字が続いている他、生産の伸びも悪くない状態が示されています。消費者物価も2%、生産者物価はまだマイナスですが、その幅は小さくなってきています。今後を占う上ではやはり輸入が落ち着いてきて、前年比プラスとなれば、世界の資源価格などにもプラスの影響が出てくると期待されます。この辺りの数字をじっくり見ていくことが重要になります。

 さらに、新築住宅販売価格を詳しく見ると、70都市を合わせた動きではモデレートでマイナスから徐々にプラスになった動きが見られましたが、大都市の数字は極端に伸びています。北京、上海はもちろん、深センに至ってはロケットの打ち上げのような急上昇を見せています。アーバナイゼーション、都市化の進む代表例ですが、凄まじい値上がりです。局所的にものすごい現象が起こっているのです。

 上海の地元のホテル協会やゼネコン、商工会議所などの方たちに話を聞きましたが、日本の大使館関係者や経済界の人たちが会見で話す内容について、かなりバイアスがかかっているとの指摘が多く聞かれました。そうした報道では、中国は良いところもあるが、リスクがたくさんあるという、リスクを語る方向にバイアスがかかっていると言うのです。確かにリスクはありますが、世界経済の15%程度を占めている国で、もし発展途上国から内需国、いわゆる大国への歩みで、ギアがチェンジして成長の速度が変わるなら、それはそれで、今までのような二桁の成長は見られなくても、どちらかというと地に足のついた力強い成長が始まっているという可能性も少なからずあると言えるのです。

 中国のデータは信じがたいという見方も多くありますが、規模の大きな国なので、輸入や生産者物価の数字などをフォローしながら、その動きを真剣に見ていく必要があると思います。今、6%経済までややスローダウンしていますが、5%に落ちていくのか、この辺りで踏みとどまって、むしろ6%から6.5%に向かうのかについては、これから半年、一年が正念場になるでしょう。この中国の動向はきっちりと見ていくべきだと思います。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師
金融経済アナリスト
前クレディ・スイス証券副会長
田口 美一
6月20日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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資産形成力養成講座 加藤

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