イギリス保守党のテリーザ・メイ党首が13日、イギリスの新しい首相に就任しました。メイ氏は演説で、われわれは国家として大きな変化の時代に直面していると表明するとともに、EUを離脱するにあたり大胆かつ新しい前向きな役割を世界で作り上げていくと宣言しました。
この人はスコットランドに行き、独立を牽制しているわけですが、スタージョン第一首相は余計なお世話だと言って突き返しています。いかなるイギリスの首相と言えども、スコットランドの将来について口を挟むことはできないと言い、不快感を表しています。イギリスは離脱したらスコットランドのみならず、ウェールズも独立を目指すでしょうし、北アイルランドについてはシン・フェイン党がにわかに活発になっており、アイルランドと一緒になりEUに残ろうとしています。離脱についてはもう一度議会でよく揉まないと難しいというのが私の意見です。
このままボリス・ジョンソンなどを外務大臣にして離脱に向けてガンガン進むと言う勇気は、この新しい首相には無いだろうと思います。おそらくヨーロッパに行って、イギリスだけにいい条件はあげないと、こてんぱんにいじめられることになるでしょう。テリーザ・メイは就任早々、とにかくベストの条件を勝ち取ると言っていますが、かなり愚かなことだと思います。ツィプラスもギリシャで首相就任当初はヨーロッパの要求には屈しないと言っていました。しかし一度交渉したらがっくりときて、今では国民の敵のように思われていますが、まだ首相の座についています。これが実態なのです。彼女もこれからそういう経験をすることになるでしょう。
彼女はオックスフォード大学を卒業し、イングランド銀行にいました。イングランド銀行にいたときの経歴を若干美しく詐称していると言われています。下院議員を経て内務大臣を務め、移民やテロ対策をやっていた人です。今回は不戦勝で終わったわけですが、ほとんどすべての人がこの人の下に結束する方向になっているので、今後あまりおかしな動きをしなければ、しばらくイギリスの国内はまとまると思います。EU側はこてんぱんにするのを待ち構えていると思いますので、波瀾万丈になると思います。
EU残留に強い意思を示しているスコットランドですが、ロイターは6日、「スコットランドEU残留で奇策も浮上」と題する記事を掲載しています。これはイギリス北部スコットランドが、UK連合王国を解体せず、実質的にEUに残りたがっていると紹介しています。スコットランド行政府のスタージョン首相がEU委員や欧州議会の委員と行った会談では、デンマークとグリーンランドの例の逆に、UKの中で、スコットランドだけがEUに加盟する構想も浮上したとしています。
この話は嘘だと思います。スタージョン首相は既に、自分たちはEUに残ると言う意思を27カ国に対して伝えています。逆グリーンランドと言うのは、デンマークの一自治領であったグリーンランドがEUを離脱して、場所的に近いアメリカとくっつきたいと行ったものです。デンマークはEUに入ったままグリーンランドが抜けたわけですが、今度はその逆で、小さいほうのスコットランドが残り、イングランドが出ていくと言う話です。しかし私はそうではなく、順序としてはイギリスが議会で離脱しないことを決定するのがベストだと思っています。
しかし、イギリスが本当に離脱したら、スコットランドはすぐに独立投票をして、イギリスから離脱して、EUに加盟するでしょう。イギリスがEUを離脱していれば反対票を投じることができないので、スコットランドはEUに入ることが可能となります。そうなるとウェールズも同じようにするでしょう。United KingdomはUnunited Kingdomになってしまうと思います。
また、職を奪われたという発言も嘘なのです。イギリスに在住するEU加盟国市民の人口を見ると、どこから多く来ているかと言うとポーランドが圧倒的で85万人来ています。次は当然ですがアイルランド、そしてルーマニア、ポルトガル、イタリアと続きます。一方イギリスにおける外国人労働者の推移を見ると、非EU加盟国の出身者の数は全く増えていません。要するに、移民と難民が増えて自分たちの職を奪っていると言っていますが、実は自由に動けるEU加盟国からの流入が増えているのです。しかも、イギリスの失業率は5%以下です。イギリスが今日の大発展を遂げたのは、このようなポーランドなどからの労働者がいたからなのです。イギリスはそうして受け入れないと、すでに人がいないのです。レストランなども人が足りず拡大できないという状況なのです。離脱派の人たちは職を奪われたと叫んでいますが、実態としては雇用が多く生まれていて、難民の問題でもないのです。
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