日本は長期停滞の先進国です。もう25年も長期停滞の中にあります。私はここ3年に亘って、多くの社会人や学生の方たちと意見のやりとりをしてきましたが、皆さん真面目で、次のような同じことを言っています。株はやりません、父親や母親が株で損をしました、ゴルフ会員権で損をしました、両親から株などやってはいけないと言われています、円高になるので為替はやってはいけないと言われています、などといった考えを持っているのです。若い20代の人も同じです。投資には手を出さず一生懸命就職活動をして、できれば上場企業に就職したいと本当に真面目にやっています。
こうした状況は世界的にも同じような方向に向かうと思います。実際アメリカも学費が非常に高く、学生ローンを返せない人が多くなっていて、おそらく今後アメリカは急激に進学率が落ちるでしょう。できれば安定した職業につきたいと言う若者がものすごい勢いで増えてきています。リスクを取りたくない、不動産も買わないで賃貸に住むと言う人も増えています。日本と同じような傾向になってきているわけです。
日本はかつてデフレの進む中、設備投資し過ぎ、人を採り過ぎ、借金し過ぎの3つの過剰を背景に、バランスシート不況と言われてきました。そして日銀はそうではなく循環だと間違った判断をしてしまいました。しかしこうした問題を日本は25年かけて何とかクリアしてきてしまいました。もう以前のようなことで苦しんでいるところはありません。既に人手不足は深刻で、普通にしていても賃金は上がるはずです。円高に関しても海外での現地生産化を進めリスクをなくそうとしています。円高により円ベースの決算にするとマイナスですが、現地通貨建てではものすごく利益は上がっている、そういう仕組みにもう変わってしまっているのです。
その一方で、所得は下がる傾向にあります。弁護士、歯科医、公認会計士など、専門職の給料がどんどん下がっているのです。今後一般的な企業の給与も下がっていくと思います。規制緩和が進むことは明らかで、規制によって守られていたところの給料が下がるのです。日本の給料水準を上げているのはメディア、金融機関等の規制業種です。その業種の給料が下がると大きく変化することになるでしょう。
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