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上場企業の67%が経常減益 危ういアベノミクス経済(大前研一)2016/08/17(水)

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今回のテーマ

上場企業の67%が経常減益 危ういアベノミクス経済(大前研一)

【日本】上場企業の67%が経常減益 危ういアベノミクス経済

 日経新聞が3月期決算の上場企業1055社の業績を集計したところ、全体の67%が経常減益でした。海外で稼ぐ外需企業は円高で収益が目減りし、業績が底堅かった内需企業も訪日外国人の消費もピークを越えたことが響いたもので、下期に向けいかに利益を上積みするかが課題となっています。

 上場企業の2/3が経常減益ということです。こういうことに対して政府が何の反応もしないということはすごいことです。安倍さんの消費税増税を延期する演説を聞いても、経済はうまくいっている、けれどもG7との約束で、などと話しますが、やはり儲からない状況なのです。ただ今株はそこそこいっていますが、これは日銀が株を買っているからです。政府は目的のためには手段を選ばずということで、日銀にETFで株を買わせています。ある意味ここまできたら断末魔の喘ぎだろうと思います。しかし、このような政府を批判もなく眺めているのが国民で、するどく突っ込むジャーナリズムもありません。

 円高・株安のロジックが崩れています。東洋経済オンラインは11日、日銀ETF買いが支える日経平均の「危うさ」と題する記事を掲載しました。日銀が先の金融政策決定会合で決定したETFの買い入れ増額が市場に安心感を与え、このところの円高をものともしない堅調な値動きが続いていると紹介しています。

 GPIFが株をまとめて買うというのも年金基金ですから危ないと思うのですが、日銀が直接買って株を支えています。今は為替がどっちに行っても株が上がってしまうという断末魔だと思います。

 マイナス金利についてもニュースがありました。日経新聞はマイナス金利、効果道半ばと題する記事を掲載しました。日銀のマイナス金利政策は16日で導入から半年を迎え、効果と課題が見えてきたと指摘しました。市場金利の大幅な低下で住宅関連のローンや投資が活発になる一方、円安の効果は現れず、金融機関の収益圧迫懸念も出てきているとしています。

 住宅ローンや投資はまだ活発とまではなっていません。マイナス金利としてはまだまだこんなものか、という状況です。実質消費を見ていただくと二人以上の世帯でほとんど効果が見られません。消費物価指数を見ても若干落ちてきていて、政府としては2%のインフレが欲しいのですが全く効果がありません。マイナス金利のもたらしたものは安倍さんが狙っているものとは程遠いものになっています。

 また日経新聞は11日、安全資産が「不良債権」にと題する記事を掲載しました。世界の監督当局で構成するバーゼル銀行監督委員会が2018年に国債を含む金利変動リスクを厳しく見積もる新たな規制を導入すると紹介しています。

 特に3つのメガバンクが国債をどんどん売却する、地銀が遅れるという状況です。私はお腹の中がフォアグラ状態になっていて、売却しておかないとリスク資産になってくると何度も言ってきましたが、ようやく記事になってくるようになりました。

 中央銀行の国債保有状況を見てみましょう。国内銀行は減らしており、ゆうちょも減らし、保険は増やしていますが中央銀行が一人買いという状況になっています。主要金融グループの純利益をみますと、みずほを除いて落としてきています。みずほは伝統的に利益率が低かったのですが、三菱UFJ、三井住友はマイナス金利で利益を落としてきています。

 その日本国債ですが、日経新聞は14日、敗戦後、失われた預金と題する記事で、アメリカの経済学者ラインハート氏とロゴフ氏の著書、「国家は破綻する」で事実上の国内債務デフォルトの例に終戦直後の日本を挙げています。当時の戦時国債もほぼ日本国内で消化され、国民は債権者だったが紙屑同然になってしまったとしています。

 この記事を読むと1946年のイギリスがGDP比270%で市場最高の国家負債です。その頃日本国債が紙屑になった時に債務残高249%です。今日本は同じ数字になってきています。日本の債務残高250%に近づいています。当時ハイパーインフレで100円が1円にして、紙屑同様になり、国家債務というものを帳消しにしてしまいました。こういう徳政令が必要になるのではないかという記事が日経新聞でも出てくるようになりました。注視すべきでしょう。

【中国】海外M&A総額約12兆4000億円 ~2016年1-6月~

 アメリカの調査会社トムソン・ロイターがまとめた統計によりますと、今年1月~6月に発表された中国企業による対外企業のM&A総額は、前年同期に比べて2.1倍の1225億ドル、およそ12兆4000億円だったことがわかりました。これは世界全体の海外M&A総額の2割余りに達し、買収対象もこれまでの自然エネルギー、製造業から、ハイテク、医療、小売業に拡大しており、アメリカやドイツでは中国企業への警戒感が高まっています。

 これはそういう問題ではありません。要は中国の企業家、事業家がお金を表に持っていきたいというパニック現象なのです。海外経営の経験もなく、お金で買えるということで買っているのですが、おそらくこのうちの大半は失敗すると思います。日本企業の買収の経験も95%は失敗してきたわけですから。日本が65%減ったとはいえ1.7兆円のM&A総額があります。減っていなかったとしたら3兆円です。その4倍も中国企業が海外で買っています。これを経営していく力は中国の経営者にはないと思います。

 中国の場合には自分の国の中の経営でさえも非常に経験が浅いので、この金額は異常です。つまり、中国からの逃避、経営者個人から見ると、そのうち数%をパナマ文書的なところに蓄財していくというところに真意があると思います。それだけ中国国内ではパニック現象だと思います。

 私も今週ある中国人と会って話しましたが、表で買えるものがあったら何でも買いたいという状況でした。経営できるのか、という次元の話ではありませんでした。あまり健全なことではありませんが、現在の中国政府のやり方というのは、経済人を含めて少しでも気に入らない人とつながっていると捕まる、という状況ですので、なるべくお金も自分自身も海外に、という悲しいことだと思います。

 M&Aの事例を見ますと大きいのはスイスのシンジェンタ、これは農業関係ですが、これを買っています。またソフトバンクが持っていたフィンランド・スーパーセルをテンセントが86億ドルで買っています。いくつか話題になっているものもありますが、30兆円近いお金が、今年前半に中国から出て行ってしまったということですね。

講師紹介

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大前 研一
8月14日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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