日経新聞は17日、「マイナス成長危機と北戴河『習・李』戦争」と題する記事を掲載しました。これは中国の北東部遼寧省が鉄鋼の生産能力の減産という産業構造の改革で揺れていると紹介しています。一方、9月にG20首脳会議が開かれる浙江省杭州市は好況に沸いているとし、習近平国家主席と李克強首相がそれぞれトップを務めた地域の経済は現在明暗が分かれているとしています。
習近平と李克強は今、大変な戦いを繰り広げています。李克強はこれから大リストラをしていかないとだめだと、経済政策として正しいことを言っていますが、習近平の方はかなり楽観的です。ただ、李克強が書記をやっていた遼寧省は鉄鋼業盛んなのですが、今ではハチャメチャな状況に陥ってしまっています。
習近平はこの状況について、李克強はあの省をダメにした、自分の浙江省は調子が良いと言って、人によってこれほど違うことを見せつけていて、おそらく来年あたりには李克強を追放するのではないでしょうか。こうした戦いでお互いが言っていることが180度異なるので新聞等も困ってしまい、両方の意見を書くようになりました。
中国企業の大型人員削減計画を見ると、中国首鋼集団は2割の削減、武漢も大きな企業ですが、1万人リストラを検討、そして、鞍鋼集団はまさに李克強の故郷のようなところですが、4割削減するとしています。おそらく今後中国はリストラに次ぐリストラで国営企業の統合や倒産をやっていかないといけません。また地方自治体がこうしたところに貸し込んでいるので、そうしたことも含め、これから先は前人未到の世界に入っていくと言えます。李克強はそれを主張していますが、習近平は明るい見方を主張しているので、両者の溝はますます深まり、危険な状態になってきています。
また中国では債務不履行が急増しており、日経新聞の記事によると今年初めから8月半ばまでに42件、合計約3800億円とされています。しかし実際はこんな程度では収まらないでしょう。桁が2つほど違うのではないかと思います。まだまだ氷山の一角が表に出たに過ぎず、相当深刻な状況だと思います。
イギリスを抜いてアメリカが大きくなった1900年の初め頃、アメリカは大バブルになり、金融分野がすごく大きくなりました。しかし、大恐慌に突入した1928年のように、新興国のバブルは世界経済を一気に落とすことが起こり得ます。あれほどの大きな新興経済は、アメリカ以来中国が初めてです。
日本もバブルがはじけましたが、日本の場合は自分だけがはじけて、世界には迷惑をかけませんでした。アメリカの場合は世界的な大恐慌に陥り、中国の場合もおそらく世界的に大恐慌になると思います。ブラジルやオーストラリア、アメリカも含めて、大変なマイナスの影響が来るでしょう。アメリカの大恐慌以来の、巨大新興国の巨大バブル崩壊が起きることに対し、我々は身構え、ある程度の準備をしておかなければいけないということなのです。
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