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世の中の経済サイクルから見た世界経済の現状(藤本誠之)2016/08/31(水)

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今回のテーマ

世の中の経済サイクルから見た世界経済の現状(藤本誠之)

世の中の経済サイクルから見た世界経済の現状

 世の中は基本的にバブルが生じてそれが弾け、経済危機になって対応策を打つというサイクルになっています。アメリカは一度利上げを行っており、バブルのほぼ最終局面です。バブルをつぶしに行っているわけですが、できるだけ破裂させないようにしているのが現状です。

 一方、日本とヨーロッパはリーマンショック以降、またギリシャショック以降の対応策を講じ続けています。日本は今回、日銀がETFの買い入れ増額というさらなる金融緩和策を行いました。次回の日銀金融政策決定会合においてもさらなる緩和策が噂されるなど、まだまだ経済危機への対応策を必死に行っている状況です。ヨーロッパもBREXITもあったことで、今でも不透明感が漂っています。

 このところの動きとしては、まずヨーロッパではイギリスがEU離脱を国民投票で決めました。ただ、国民投票で決めたとは言っても法的拘束力はなく、実際にはまだEUを離脱するという通知すらしていません。本当に離脱するのかどうか、疑問も出始めています。ヨーロッパ全体としては、やはり今後も金融緩和が続いていくと思います。

 一方、アメリカに関しては去年12月に利上げをし、次の利上げがどこで行われるのかと言われ続けていますが、まだ利上げには至っていません。ただ、足元では2ヶ月にわたりアメリカの雇用統計は非常に良く、利上げに向けた経済環境が整ってきた可能性があります。ジャクソンホールでのFRBイエレン議長の講演や、フィッシャー副議長の発言などでも利上げの可能性が示されています。中でもフィッシャー副議長は、年内3回のFOMCの内、2回で利上げを行うかもしれないと言い始めているので、少なくとも年内1回は利上げをするだろうと思われます。

 その1回は9月か12月か正直まだわかりませんが、これについては今週末のアメリカ雇用統計が鍵になるでしょう。内容が今回もよければ、9月利上げの可能性がかなり高まってくると言えます。逆に内容が悪ければ、さすがに9月利上げの説は一旦遠のき、年内の12月という形になると思います。

 そして日本に関しては、7月の金融政策決定会合において、結局追加緩和を行いました。ただしそこまで大きな緩和策ではなく、ETF、いわゆる上場投信の買い入れ額を、今までの3.3兆円から6兆円へと増やしました。株を買うのと同じ効果の買い入れをほぼ倍増としたことで、このことが今マーケットを少しゆがめていると言えます。

 買い入れについては機械的に買っていて、前場で大きくマイナスであれば、後場大引けにかけて買いが入ってくるのが通例となっています。逆に言うと、前場であまり下がっていなければ買いは入らないとなり買わない日が分かるので、その日は後場から急落するなど、日銀がどのタイミングでいくら買うのかを気にしての展開となっています。ただ、日銀は買う一方なので、最終的にはマーケットから株式を吸い上げていくことになり、マーケットにとってはプラスには違いありません。

 今後はさらなる追加緩和が期待されていますが、マイナス金利の深掘りもありそうです。銀行が痛むので難しいとは言われていますが、これ以上何か買うのも難しいと思います。国債を買えば流動性に欠けることになり、株をこれ以上買うのも難しいでしょう。他に大きく買える金融資産もあまりないので、マイナス金利の深掘りが考えられるでしょう。

今後の世界経済の注目ポイントは?

 注目となるのは、9月の日銀金融政策決定会合と、米FOMCのスケジュールが重なっていることです。もし今回のアメリカ雇用統計が良かった場合、日本で金融緩和としてマイナス金利の深掘りをし、そこで一気に円安が進み、その直後にFRBがFOMCで利上げを決めたとなれば、為替はさらに大きく動くでしょう。逆にそれを期待して買っていた場合、両方とも動かなければ失望も2倍になるわけです。ここに関しては、マーケットに非常に大きく影響が出ると思われます。

 日経平均を見てみましょう。前回解説をした5月12日のデータと今回の8月26日のデータを比べると、日経平均は51円安でした。一方、TOPIXは32ポイント安で、パーセントでみると日経平均よりかなり大きく下げています。日経平均の下げの比率が小さいのは、やはり日銀がETFで日経225ベースの組成のものを多く買っていると思われ、こうしたところにも歪みが出ているのです。

 今後については、日本はさらなる金融緩和があるかが注目されています。ドル円は現状102円程度ですが、もし、BREXITで付けた99円08銭を超えて円高になる場合には、ここから一気に円高が進んでしまう可能性があります。それを止めるためにも日本は金融緩和をして日米の金利差を拡大させておく必要があるのです。

 そうしてみると、マイナス金利の深掘りとして、現在の-0.1%を-0.3%とするなどといった対応をする可能性はあると思われます。他に打つ手はなかなかないので厳しい状況ではあります。ただ、最近安倍首相の支持率が少し上昇してきていることは好材料です。リオオリンピックの閉幕式で安倍マリオに扮するなど、日本をアピールしたことも評価されているのかもしれませんが、安倍首相の力が強くなれば政策の動きも取りやすくなることが期待できます。

 日経平均の月足チャートをみると、結局今年に関しては年初に下がってからグダグダともみ合って本当に動いていないことがわかります。週足、日足で見ても同様で、下も上も大きくなく、本当のレンジ相場になってしまっています。

 アメリカ株の注目も、次の利上げのタイミング次第と言えます。これはイエレン議長の言うように数字次第で、状況が整えばということになります。景気の良さが次の雇用統計で確認されるのかということになるわけですが、最近二回はポジティブサプライズになったものの、雇用統計は面白いほどマーケットの予想が外れます。

 ある意味これは当たり前で、何億人もいる国で、何十万人の増加や減少という予想が当たるわけがないと思えます。数字が出てからいろいろな理由付けがされますが、事前にはなかなかわからないものなのです。しかも数字は後から修正されることも多いのです。このように突っ込みどころ満載の雇用統計ですが、マーケットはとても気にしているので、影響度はかなり大きいのです。

 NYダウの週足チャートをみると、高値でのもみ合いの後一旦下がり、BREXITで再び下がったものの、前の高値を抜けてきています。日足で見てもBREXITでの急落も強烈でしたが、その後の急騰も強烈だったとわかります。上放れした後ももみ合いましたが更に高値を更新しています。ただ足元は利上げ懸念で少し下げてきています。

 ヨーロッパは英国のEU離脱という問題が出てきて不透明感が強まる中、景気もそれほど強くはなく、さらなる追加緩和の思惑が広がっています。ただ、イギリス経済はポンド安によって復活しつつあり、イギリスの株も堅調な動きになっています。ドイツDAX指数はBREXITで下落した後に戻してきたものの高値にはまだ遠く、アメリカ株ほどの強さはありません。来年にはドイツの選挙も控えていることから、やや不安もあるところだと思います。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師
SBI証券 投資調査部
シニアマーケットアナリスト
藤本 誠之
8月29日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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