NY金価格は9月7日から4営業日下落して1325.6ドルと1300ドルを下回る気配を見せている。一方で、NY原油価格は上下動となっており、47ドル台まで上昇した後46.29ドルまで下がっている。来週木曜日までは大きな動きはないと思われる。通常ファンド等は、不透明なイベントを迎えると投資を差し控える傾向があるためだ。投資家から預かった資金ではギャンブルは行えない。
金のETFは9月12日時点で、一カ月前から▲22トン減少して1,753トンになっている。この中には中国で始まった金のETFも含まれる。中国では民間銀行の金保有残高が増加しており、2015年末で9兆円相当の金約2,682トンを中国商工銀行、農業銀行等15銀行が保有している。この量は世界の需要量の1年分に匹敵する。
当初これらの民間銀行の保有金は政府からの委託購入かとも思われたが、各行の決算報告書を精査したアナリストによれば、こうした民間銀行の保有金は銀行自身による金のリース用、純金積立用、顧客の金の保管等であるようだ。
日本で始まった純金積立は数十年を経てようやく百万口座に達したが、中国は導入されて1年で百万口座を超え、今や世界一の口座数があるようだ。
日本の場合、銀行は金を保有できないことはないが、あくまで経済産業省系列の商社から購入したり預託を受けたりせねばならず、純金積立も地方銀行は商社にその業務を委託している。日本における金はモノとしての扱いとなっているためだ。これは世界的に特殊な例で、海外では銀行が金を扱っている。中国は外貨準備の一部を金で保有している。
日本政府は1979年754トンから2001年765トンに増加させて以来残高は変わっていないが、中国は2015年6月にいきなり604トン購入し、その後毎月10トン~20トンを純金積み立てのように購入している。日本は世界第7位だったが、中国とロシアに抜かれて第9位となっている。
昨年、日本に本拠を置いていたWorld Gold Council極東支部は閉鎖され、中国に移転した。日本は金取引については世界のひのき舞台から降ろされつつある。
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