今後いろいろな問題がありますが、ウェルズ・ファーゴと並行で進んでいることも注目です。ウェルズ・ファーゴの場合は、スタンフ会長が辞任すべきとされ、もらった41億円の報酬を返上するとしています。リーマンショックの金融危機の後、アメリカではクローバックという条項が作られました。
ストックオプションやボーナスをいろいろもらっていますが、経営陣の責任でこれほど大きな問題を起こした場合には、クロウ、つまり鷹の爪のようにそれを全て引き剥がすようにするという意味の条項です。
それを受けて、ドイツ銀行にも、アッカーマン以降ずっともらってきた報酬をすべて返せというわけです。それを足し合わせると数千億円にはなると言われ、クローバックを適用するべきという圧力が強まっているのです。しかしそれだけでは全然足りません。
ドイツ銀行の問題は、今非常に好調なドイツに暗い影を落とすだけではなく、世界中の銀行がドイツ銀行と深い関係があるので、ドイツ銀行が破綻すると、それらが全てとばっちりを食うのです。やはりこの問題というのは、何十兆円にも上る大きな金融不祥事が金融危機のトリガーをひいてしまうという状況になってくるのだと思います。こうした問題はこの後年の瀬にかけても、まだしばらく尾を引くでしょう。もちろんアメリカ大統領選の結果にもよりますが、それぞれの問題をにらみながらやっていかないといけません。
ウェルズ・ファーゴの問題に関しては、スタンフCEOが議会証言などをして対策を一生懸命説明していますが、議員たちはまずは辞任しろと言っています。クローバックだけではなく、スタンフ氏が辞めないとだめなのです。業績を非常に強調したために、口座を二つ作ったり、偽名口座を作ったりしたわけで、問題の性格が非常に悪いのです。
ウェルズ・ファーゴという会社自体を潰す以外にないという意見まで出てきている状況です。ウェルズ・ファーゴと言えば、リーマンショックの後に最も調子が良くなり、合併も経てアメリカ一になった銀行で、その銀行が解体の憂き目に遭うという意見さえ出てきているわけなのです。
ウェルズ・ファーゴの問題があり、ドイツ銀行の問題があり、そして中国の危機があるというわけですが、アメリカ大統領選でそうしたことを見る人もいなくなり、日本では黒田日銀総裁は自分のことだけで頭を痛くしています。アメリカの金融当局も多分今年一度は利上げすると言っていますが、みんなが手探りで、あまり良い状況とは言えません。
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