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日銀は金利を目標水準に誘導できるのか?(福永博之)2016/11/09(水)

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今回のテーマ

日銀は金利を目標水準に誘導できるのか?(福永博之)

決して悪くはない日銀短観の景況感

 10月に発表された9月調査の日銀短観では、為替が1ドル110円近辺から100円を割る寸前のところまで円高が進み、その影響が心配されていました。しかし、企業の景況感はどうだったかと言うと、大企業製造業が横ばい、非製造業は若干落ちてはいるものの、分岐点となる0を上回っています。

 さらに中小企業の調査では、非製造業が0を上回り、製造業も0は下回っているものの上向きとなっています。中小企業のこの数字には、間違いかと思うほど驚きました。水準はそれほど良くはないわけですが、円高の環境で改善傾向にあることはとても意外でした。株式市場への投資を考えるときには、こうしたデータを参考にして判断してもらいたいと思います。

 短観の実績値をグラフ化し、前回の予測値との差分を見てみると、大企業の製造業では前回は悪くなると思われていたものが横這いとなり、上振れています。非製造業も幅は狭いものの、上振れの動きを見せています。また、中小企業でも、製造業はマイナスではありますが予測値からは大きく上振れており、非製造業の上振れ幅も、最近にないほど大きくなっています。

 いろいろなところで景気についてネガティブな話が出ていますが、実際に短観の景況感を見る限り、決して悪くはないということがわかります。良いとは言えませんが、事前に予想されていたほど悪くはないと言えるのです。さらに設備投資の項目も前回の水準を保っていて、落ち込む動きは見られていません。今回の結果は、これからの企業業績発表や下期の計画にもつながってくるので、ひとまず安心材料と言えるでしょう。発表を受けた株式市場も、この結果を好感する動きとなりました。

日銀は金利を目標水準に誘導できるのか?

 9月のマネーストックの平均残高を前年比伸び率で見ると、郵貯の残高などを含めたM3が徐々に積み上がってきているのが分かります。さらに、広義流動性も久しぶりに上がってきています。

 この指標は株価と連動することが多く、実際にちょうど9月から株価は少しずつ戻り始めています。日経平均などが下げにくくなってきている動きを見ると、やはりマネーストックが裏付けるように、お金の出回り方がしっかり現れてきていると言えそうです。毎月このデータがもう少し早く公表されれば、マーケットの動きの予測に活用できるのですが、データが出るのが遅いのが難点です。

 続いて長期金利の推移を見ていきます。7月末には、マイナス金利の深掘りをするのではないかということで、金利がどんどんと低下しました。現在の日銀のマイナス金利は-0.1%ですが、その水準よりも大幅に低下していたわけです。しかし、実際には何もしなかったので深掘り期待が崩れ、長期金利は一気に戻した形となりました。さらに、直近では長期金利を0に誘導するという政策を受けて、金利は0近辺に張り付いている状況です。

 このマイナス金利ですが、不評とされています。住宅ローンもあまり使われていないとも言われています。あるいは、マイナス金利を導入してもローンの順番待ちが多く、なかなか処理されないという話も聞かれます。銀行は案件が殺到しているからとしていますが、本来ならもっと早く処理できるところを、なぜ多くの時間がかかっているのかと、不審に思う声も聞かれています。

 日銀に銀行が預けているお金は、当座預金とそれ以外に付利される預金の、2つの口座があります。リーマンショックの後、銀行を救済する意味から白川総裁の時期に付利されることが決まりました。実際には他の国では付利されるというところはありません。その状況がずっと続いているわけです。

 そうした中、一定の残高を超える分に関して、銀行はマイナス金利によって当座預金の中で金利を払わなくてはならないということなのです。実際、付利される部分はこれまでと同様にあるわけで、さらに一定の残高は確保されていて、それを上回る部分に関してのマイナス金利なのです。そのように考えると、銀行はマイナス金利が課される部分は貸し出しに回してもよいようにも思えます。

 今後仮に、日銀がマイナス金利を掘り下げるとなると、債券価格は再び上昇するかもしれません。しかし日銀はそれを0近辺に持って行くとしています。そのために、日銀は何をするのでしょうか。

 債券が買われれば利回りは低下します。それによってゼロ金利からは遠ざかるわけです。0に戻すために日銀は、今買っている債券を逆に売らなければならなくなるのです。つまり、アメリカでは利上げ、ECBの金融政策は前回の理事会で現状維持で、緩和延長については話し合われなかったという状況の中、日本がいつまでも債券を買い続け、株もETFを買い続けていて良いのかという状況にきているのです。

 こうした中、このように債券を売ることができる政策を採っているという事は、ある意味、金利が急上昇するようなパニックにならないように、今から出口戦略のことを考えながらやっているのではないかと思うのです。よい方向に考えすぎなのかもしれませんが、今回の政策は株価を支えつつ、金利もコントロールし、さらに持っている債券を売りに出すことによって、バランスシートの改善を図りながら、景況感を改善させていこうという政策だと思われるのです。

 ただ、これは自分たちの力だけでは無理で、アメリカが利上げをするタイミングになってきたからこそ、できることなのです。この機を逃したら、株価も落ち込むことになりかねないので、株価を支えつつ金利操作を行うという順序、時期についても非常に素晴らしい政策だと思います。

 この政策が本当に良い結果に結びつくことになれば、企業業績や景気の先行きも期待され、海外の動向さえよければ株価が下がる理由はないわけです。このようなことも投資判断の材料としていただきたいと思います。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師
株式会社インベストラスト 代表取締役
IFTA国際検定テクニカルアナリスト
福永 博之
10月27日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
詳しくはこちら

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 米大統領選、トランプ氏が当確しました。上院・下院も共和党が過半数を占めたため政策を進めやすい土壌はできました。しかし、国際関係への不安を背景に、マーケットが乱高下することは必至で、これまで以上に世界経済を把握していく必要があります。

 経済環境を鑑みて投資に活かす。また、資産運用は株式・債券・為替・コモディティ・不動産など多岐に渡り、世界中に金融商品は存在します。総合的な理解や考え方が求められます。世界標準の資産運用を学び、第一歩を踏み出してください!


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 それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

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