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ロシアゲート問題に潜むプーチン氏の思惑とは(大前研一)2017/08/16(水)

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今回のテーマ

ロシアゲート問題に潜むプーチン氏の思惑とは(大前研一)

【米国】対ロシア制裁強化法案

 アメリカトランプ大統領は2日、ロシアが昨年のアメリカ大統領選に介入したとの疑惑に基づく対ロシア制裁強化法案に署名しました。アメリカ議会超党派の圧倒的賛成により、署名を余儀なくされたもので、トランプ氏は声明で、この法案には欠陥があると批判しています。

 犬の遠吠えになってしまっていますが、これは上院下院両方とも98%ほどの賛成により、反対はほとんどなく、制裁法案を強化したということです。トランプ氏はこれを拒否することもできたわけですが、そうするともう一度拒否したものを審議に戻し、再び大統領の意見を覆すというプロセスになるわけで、さすがにトランプ氏はそれをひっくり返す勇気がなかったということです。

 ただその後、ロシアよりのことを色々と言ったことで、このようなロシアに対してとんでもなくきつい法案を通しておきながらも、ロシア側は追加報復を見送ると言っています。ロシアにはそれだけの余裕がなくなってきているのだと思います。

 対ロシア制裁強化法の主な内容を見ると、今までよりもはるかに大きな制裁になっています。そして実は、プーチン氏はまだ支持率が非常に高く、不支持は低いままです。しかしその一方で、ロシア政府に対する信任度は支持不支持が拮抗しています。つまり、プーチンはともかく、ロシア政府は信頼できないというのがロシア国内の状況です。

 また、ロシアの経済をみると、成長率が若干上向いてきたところです。ルーブル安にも一応歯止めが効いてきていますが、依然としてルーブル安の傾向は続いています。

 そして、WTIの原油の推移はあまり上向きではありません。これが上がってこないことにはロシアの経済は全然よくならないわけです。

 今回の制裁強化法に関する問題として、実はロシアゲート問題に関して、アメリカのハフィントンポストにすごい論文が載っていました。世界で一番の金持ちは誰か、という議論で、実はそれがプーチン氏だと言うのです。彼の資産は20兆円あるとされています。個人で20兆円持っているという人は公式にはいないのですが、以前、ペテルスブルグの幼なじみのチェリストが2兆円を持っていたという事実がパナマ文書で出てきていました。あれは幼なじみの名前を使って蓄えられた、プーチン氏の金なのです。そうしたものを全部足してみると20兆円に上り、世界最大だと言うのです。

 そしてこの20兆円を自由にできなくするという法案を、オバマ前大統領が通しているのです。その結果、プーチンとしては何としてもこの法律を変えさせたいということで、実はいろいろに化けたエージェントを使いながら動いているのです。アメリカで法律を変えさせるために動いているエージェントがなんと2万人もいるそうなのです。この動きに皆が引っかかっているのです。キスリャクなどはアメリカのロシア大使をやっていましたが、ここにジャレッド・クッシナーやトランプJrなどが色々と接触したり、そこで問題があってクビになったりしていますし、今のセッションズなどもみんな引っかかっているのです。つまり、トランプ陣営は、去年のキャンペーン期間中に、これらの人たち、2万人の人たちと多くの接触をしているわけなのです。

 プーチン側は、オバマ民主党の通した、彼の20兆円をフリーズさせてしまうようなこの法案を解凍し、ひっくり返したということで、2万人の人がロシアおよび世界中にばらまかれていて、そのうちの1人が例のベセルニツカヤというかわいらしい弁護士であり、トランプJr.がこの弁護士と接触をしたというわけです。ですから、あれはロシア政府の人間ではないと言っていますが、プーチンが自分で放した20兆円を解放する人間2万人のうちの一人だということなのです。こうしたことがだんだんと明らかになってきているのです。

ギリシャ国債、アメリカ株式相場の動向

 ギリシャ政府は先月25日、3年ぶりに5年債の入札を実施しました。発行額は30億ユーロ、約3900億円で、利回りは4.625%。ギリシャとユーロ圏の追加融資交渉が6月にまとまり、資金繰りの不安が後退したことから、国債発行の再開に踏み切った形です。

 これは、村上ファンドの村上さんだったらガンガン買っていくところでしょう。利回りが4.6%もあるのです。そしてヨーロッパではギリシャを倒産、つまりデフォルトさせる勇気がなく救済したわけです。

 ギリシャの10年債の利回りを見ると、一時、35%という時もありました。当時買っていたらよかったのかもしれません。いずれにしてもそこからは利回りは落ちてきていますが、依然としてアメリカや他の国、ましてや日本などと比べて大変良いわけです。本当にデフォルトしないと信じていれば、条件は良いと言えるでしょう。しかもこれはギリシャのドラクマなどでやられたらまずいですが、ユーロ建てなのです。この辺を狙うかどうかは、村上的メンタリティーがあるかどうかによるところです。

 日経新聞は先月29日、「野球で言えば8回」著名投資家の警鐘、と題する記事を掲載しています。これは、オークツリーキャピタルのハワード・マークス氏が、アメリカ株式相場の上昇局面が終盤に入ったとの見方を示したと紹介しています。実際、アメリカの景気拡大局面は9年目に突入しており、ここからも相場の過熱感が浮かび上がるとし、夏場の調整への警戒感が高まっているとしています。

 だいたいそういう認識をみんなが持っていると思います。今のトランプ政権を見ていて、この状態がいつまでも続くわけはないということで、ある種の晩秋、秋の終わり、野球で言えば8回というふうに考えていて、これ以上大きなリスクは取らない、できれば引いていくというのが正しい判断ではないかと思います。いつも夏場の調整ということがあるので、秋についてはこの調子でそれいけどんどんとは行かず、日本の不動産などを見ていても、やはり少し停滞感が出てきています。金利がほとんどただということで、借りるにしても0.5%以下で借りられる企業が多いので、不動産側に向かっていますが、これも今では来る所まで来てしまった感じがします。ここから新しいリスクを取るということはやや疑問だと言えます。

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 それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

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