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ロシアにおける北朝鮮問題以上の悩みとは(大前研一)2017/09/13(水)

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今回のテーマ

ロシアにおける北朝鮮問題以上の悩みとは(大前研一)

【ロシア】東方経済フォーラム実施の背景

 ウラジオストクで開催された東方経済フォーラムには、モンゴルの大統領と韓国の大統領が参加、そして日本からは安倍首相も参加しましたが、眠たそうに話を聞いていました。実はそこに、私の友人のロニー・チャンもいました。彼は香港の不動産屋で、ミッションヒルを作ったり、マンションを建てたりして、今は大変な金持ちになっている人物です。その彼がフォーラムの中心的存在となっていたのです。

 少なくともロシアのテレビなどでは、香港の大金持ちがやってきてウラジオストクに投資をすると大きく伝えられ、彼はプーチン大統領や安倍首相などと一緒に座って、プーチン大統領がなにか言うたびに、調子よくイエス、イエスと言っているのです。彼のことは私もよく知っていますが、昔から調子の良いやつなのです。今回はその彼がメインフィーチャーとなって報道されていたのです。

 今回のフォーラムは、プーチン大統領の言うとおり、ウラジオストクをいかに強力にしていくかということをテーマに、20ヵ国から3000人以上が出席しました。プーチン大統領は、北朝鮮を怖がらせることは不可能であり、ウラジオストクが正しい場所なのでここへ投資してくださいと主張したのです。

 また、その中でプーチン大統領は山下泰裕氏を持ち上げていました。プーチン大統領は演説の中で、1917年にウラジオストクで第一回日ロ柔道大会が開かれていることを取り挙げ、今回はロサンゼルスオリンピックで金メダルの、プーチン大統領にとっての盟友、山下氏がやってきて、100周年ということでこの大会を復活させてくれたということを話し、山下氏もテレビのインタビューを受けていました。

 さらに、プーチン大統領は調子に乗って、日ロの橋をかけようとも言っています。間宮海峡に橋をかけようと、本気で言っているのです。宗谷岬とサハリンの間にも橋をかけようと言っています。今、ロシアはクリミアとの間のケルチ海峡にも19キロの橋をかけていて、来年完成する予定です。どうやら彼は橋に夢中になっているようです。間宮海峡など、冬には寒さで大変なことになると思います。

 また宗谷岬-サハリン間については、これまでに何度も海底トンネルの話が出ており、実はその距離は49キロもあるのです。青函トンネルを作った日本なので可能ではないかとプーチン大統領は言っていたのですが、今回はトンネルではなく橋の話になっていました。橋を作っても冬に行くと相当寒いだろうと思います。

 そして、このフォーラムには、香港からロニー・チャンが参加した他、60社以上の企業も参加し、5兆円の商談が締結されたと言います。そんな中、プーチン大統領は安倍首相をおちょくって、こんな重要なプロジェクトを日本がちゃんとやったなら、日ロ関係は最高になる、日本の副総理にロシア担当副総理を設けるべきだなどと言ったのですが、安倍首相はそう言われても明後日の方向を見ていました。

 いずれにしても、北朝鮮とは、ロシアと中国の提案しているロードマップに沿って、対話するべきだといったことも主張されました。このようなフォーラムでしたが、日本からは政治部のぶら下がりの記者が行っていながら、こうした内容がまるで報告されていなかったのです。

 結局、プーチン大統領にとっては極東沿海部の開発はものすごく重要なプロジェクトなので、彼がミスターセールスマンとなって、一生懸命愛嬌を振りまいていたという状況です。柔道の山下氏も、プーチン大統領とフランス料理を二回食べて仲良くやっていたようです。

 プーチン大統領は本当に柔道が大好きなので、私は前の首相に、山下氏を北方担当大臣にしたらうまくいくはずだと提言したこともあります。山下氏本人は柔道だけの人なので、その任にあらずと言ったようです。しかしプーチン大統領の個人的なプロモーションビデオにも、プーチン大統領が山下氏や井上康生氏を柔道で投げるところが出てくるほどで、使い道もあるかと思います。

 今回のこうした重要な、少なくともロシアの裏口が見えるような部分が、日本では何も報道されていないのです。しかも今回は「東方経済フォーラム」であったということさえも、正確には伝えられていないのです。

 ロシアの8連邦管区の面積と人口をみると、ハバロフスクを中心とした極東は、面積が620万平方キロメートル、日本が37万平方キロメートルなので、日本の15倍の広さです。そして人口は627万人しかいません。これは横浜の人口と同じくらいです。こうした所なので、人が足りないわけなのです。

 隣の中国、東北三省には1億5000万人もいるので、ロシア側は怖くて仕方がないのです。この人達が経済的にのさばっているのですが、ロシアにとってみると、中国とは仲が良いふりをしているものの、やはり東北三省に1億5000万人もいて、自分のところは600万人しかいないということが非常に大きな悩みなのです。北朝鮮が潰れてくれて難民が押し寄せてきたら、「ああ助かった、2000万人いらっしゃい」という話になるのです。このことが非常に重要な点なのです。

 この極東連邦管区は人口が漸減しており、今は1万平方メートルまでは、移り住んでくれたら無料で提供しますというキャンペーンをやっています。キャンペーンは今年いっぱいとしていますが、来年になっても当然続けると思います。それほどまで、モスクワなどにいる人々に働きかけているわけですが、誰もそんなところには行かないのが現状です。

 そうした意味で、プーチン大統領の最大の悩みというのは、アジアへの窓口である、ハバロフスク、ウラジオストクの問題なのです。間宮海峡に本当に橋をかけるとしたら、対岸にはワニノというところがあり、そこがシベリア鉄道の起点で、そこからヨーロッパに鉄道が続くわけです。アムール川に沿ってハバロフスクからシベリア鉄道が続くのですが、その管区の人口が減っていることがロシアの抱える大きな問題となっているのです。

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 それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

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