グローバル・マネー・ジャーナル

2016.10.5(水)

揺れる世界経済の米欧中リスク(大前研一)

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揺れる世界経済の米欧中リスク(大前研一)2016/10/5(水)


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今回のテーマ

揺れる世界経済の米欧中リスク(大前研一)

【世界】揺れる世界経済の米欧中リスク

 日刊ゲンダイは先月29日、「市場が怯えるABCDショック」と題する記事を掲載しました。これは、現在の金融市場の懸念はABCDで表されるとする市場関係者の見方を紹介したものです。リーマンブラザーズの負債総額はおよそ70兆円でしたが、ドイツ銀行はその4倍の260兆円に達するとみられ、Dショックの先には、世界金融危機を上回る世界恐慌が待っている危険性が高いとしています。

 ドイツ銀行のモーゲージバックセキュリティの後遺症は非常に大きく、またそのペナルティもアメリカ政府と合意したようです。

 Aのアメリカ(America)、トランプ大統領誕生ですが、その可能性はかなり減ってきています。BのBrexitも今は落ち着いてきています。しかしBrexitの後、つまりイギリスがEUから離脱した後、スコットランドなどがイギリスを離脱する可能性が非常に大きいと思われるので、その方が問題になると思います。

 そして、CのChinaですが、中国はアメリカのバブルがはじけた1929年の世界大恐慌に匹敵するような状況を呼び起こす可能性があります。Dのドイツ銀行(Deutsche)の問題は、ドイツ銀行から南欧に波及し、かつまたヨーロッパ全体に波及するという非常にややこしい問題です。

 ドイツ銀行の問題ですが、メルケル首相が国は支援しないと言い、ドイツ銀行側も自分でなんとかなると言っています。ただ、株価を見ると今年一年ですでに50%落ち込んでいます。

 今後いろいろな問題がありますが、ウェルズ・ファーゴと並行で進んでいることも注目です。ウェルズ・ファーゴの場合は、スタンフ会長が辞任すべきとされ、もらった41億円の報酬を返上するとしています。リーマンショックの金融危機の後、アメリカではクローバックという条項が作られました。

 ストックオプションやボーナスをいろいろもらっていますが、経営陣の責任でこれほど大きな問題を起こした場合には、クロウ、つまり鷹の爪のようにそれを全て引き剥がすようにするという意味の条項です。

 それを受けて、ドイツ銀行にも、アッカーマン以降ずっともらってきた報酬をすべて返せというわけです。それを足し合わせると数千億円にはなると言われ、クローバックを適用するべきという圧力が強まっているのです。しかしそれだけでは全然足りません。

 ドイツ銀行の問題は、今非常に好調なドイツに暗い影を落とすだけではなく、世界中の銀行がドイツ銀行と深い関係があるので、ドイツ銀行が破綻すると、それらが全てとばっちりを食うのです。やはりこの問題というのは、何十兆円にも上る大きな金融不祥事が金融危機のトリガーをひいてしまうという状況になってくるのだと思います。こうした問題はこの後年の瀬にかけても、まだしばらく尾を引くでしょう。もちろんアメリカ大統領選の結果にもよりますが、それぞれの問題をにらみながらやっていかないといけません。

 ウェルズ・ファーゴの問題に関しては、スタンフCEOが議会証言などをして対策を一生懸命説明していますが、議員たちはまずは辞任しろと言っています。クローバックだけではなく、スタンフ氏が辞めないとだめなのです。業績を非常に強調したために、口座を二つ作ったり、偽名口座を作ったりしたわけで、問題の性格が非常に悪いのです。

 ウェルズ・ファーゴという会社自体を潰す以外にないという意見まで出てきている状況です。ウェルズ・ファーゴと言えば、リーマンショックの後に最も調子が良くなり、合併も経てアメリカ一になった銀行で、その銀行が解体の憂き目に遭うという意見さえ出てきているわけなのです。

 ウェルズ・ファーゴの問題があり、ドイツ銀行の問題があり、そして中国の危機があるというわけですが、アメリカ大統領選でそうしたことを見る人もいなくなり、日本では黒田日銀総裁は自分のことだけで頭を痛くしています。アメリカの金融当局も多分今年一度は利上げすると言っていますが、みんなが手探りで、あまり良い状況とは言えません。

【原油】原油生産制限で合意
~OPEC~ 約8年ぶりの実質減産

 OPEC石油輸出国機構は先月28日、臨時総会を開き、加盟14カ国の原油生産量を日産 3250万から3300万バレルに制限することで合意しました。会合前にはサウジアラビアとイランの対立で、合意は困難と見られていましたが、原油価格が足元で頭打ちとなっていることを受けて、加盟国が危機感を共有したものです。

 OPEC加盟国の原油生産量はかなり増えてきていて、3500万バレルほどです。今回の合意では今とあまり変わらないので、減産になるのかどうかという疑問は残ります。一応これで減産に合意したというニュースが市場では好感されているわけですが、もっと絞る方向に行かないと厳しいでしょう。

 イランもようやく戦線復帰をしてきたので、縛られたくないという感覚を持っていると思います。サウジアラビア次第ではありますが、もっと締めて行かなければならないでしょう。

 サウジアラビアを除く多くの産油国では、原油価格は80ドル位でないとやっていけないところが多いのが現状です。日本のようにユーザー一本のところは安い方が良いのですが、そうは言っても多くの産油国が破綻するのも困るので、70ドルから80ドルで安定するような減産に合意してくれないと困るのです。今回のように高いところで減産の目標を立てても実際のインパクトは弱いものと言えます。

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 それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!