BBT大学院歴代トップの成績を修めて修了した佐藤さん。2年間の学びによって、全く別の人間に生まれ変わったとの感想を持たれています。 そんな佐藤さんは現在、三丸化学株式会社の取締役事業部長として日々奮闘されており、学んだことを100%活かした組織改革を行った結果、会社の利益を大きく回復することができたと言います。ここではその利益改善のために実践した問題解決の考え方を一部お話しいただきます。

修了生プロフィール

佐藤 祐樹 さん
三丸化学株式会社 取締役事業部長
1974年生、宮城県仙台市出身。
大学でデザイン(専門はシルクスクリーン)を学んだ後、写真業界、出版社勤務を経て現企業に転職。営業・マーケティング部門で活躍中、2011年3月に出張先で被災。
その後2年間、企業勤めの傍らボランティアセンターの運営に携わる。
2013年にBBT大学院に入学、2015年MBA取得、同年取締役事業部長に就任。事業活動の責任者としてマーケティングから人事まで幅広く担当している。
また、2015年10月に友人とコーヒーの焙煎販売を行う株式会社リュミヌー珈琲を設立。
その他、経営アドバイザー、コピーライター、デザイナーなどの依頼を請け負う、自称「仕事中毒患者」。
「世の中の幸福の総量を力強く増やす仕事人」を目指す愛犬家。愛犬を連れてよく遊びにも行く。写真はその時の1枚。
趣味は手作りスモークチーズ(写真)などの燻製を作ること。
同窓生コラム MBAタイトルは足の裏の米粒?
佐藤さんのMBA体験記「修了生の声」

CASE1 それって必要?本当にやるべきことを明確にする

全てに全力では何もできない

私が現職に着任した当時、社内では利益改善が大きなテーマとして掲げられていました。売上は数年間横ばい、利益は悪化の一途を辿っていたのです。当時の社内は利益の悪化に対して「全てに全力で取り組む」という、まさに根性論そのものでした。根性だけで売上や利益が改善するなら誰でもやりますが、気づかないうちにやってしまう…、そんなよくある事例です。利益を構成する要素は意外とたくさんあり対象が広すぎるので、結果的に場当たり的な対応になってしまっていたのです。

経営資源の三要素と呼ばれる「ヒト・モノ・カネ」が有限であることはよく知られていると思います。さらに世の風潮として「働き方改革」が叫ばれており、長時間労働の改善はどの会社においても大きなテーマです。そのような中で、これまでより更に「時間」という資源も重要視されるようになってきたと思います。

リソースが限られている中で何をすべきか…?この問いに対して向き合い考えることで本来的にやるべきことが分かり、より良い大きなインパクトを出すことが出来ると考えています。私自身、MBAの学習時間捻出のためにワークスタイルを意識的に工夫しましたが、それにより選択と集中を通じて仕事の生産性は高まっていき、結果として実績もしっかり出せた経験があります。これは私の事例ですが、会社の成長だけでなく社員全員が持続的な成長の機会を得るためにも「時間」を含めた資源の管理はやはり会社経営に必要不可欠だと考えます。

そこで限られた資源を最大限に活用し成果を出すために、「全てに全力」ではなく、まず「やるべき事を明確」にするという方針で問題解決、すなわち利益改善に向けた取り組みに着手しました。

どう「切っていけば」問題点が見つかるか?

さて、問題解決は、「本質的問題の発見」「解決策の立案」「実行」という大きく3つのステップで進めます。今回の取り組みにあたってはこのセオリー通り問題発見からスタートしました。なぜ利益が下がり続けているのか?その本質的問題を発見する為に、会社の現状を細かく分解・分類していったのです。

分解にあたって、実に様々な「切り口」が考えられます。結論として、私達はまず1年の間に「コントロールできるもの」と「コントロールできないもの」の2つに分類しました。限られた経営資源の配分をするためには、コントロールできることに絞った方が良いだろうと考えたからです。そして1年という「期間」の概念も重要です。1年単位ではコントロールできないことでも、3年単位ではコントロールできてしまうこともありますよね。そのため期間設定は重要な指標となります。

それではコントロールの可/不可をどのように考えたか実例を説明します。売上に注目すると、私達の業界は長期契約に伴う顧客が多いために、いきなり多くの顧客開発はできません。そこで顧客数については、コントロール「できない」と分類しました。ただし「3年単位」ではコントロールできる要素になるという、微妙な部分でもあります。

次に売上の中身です。例えば低粗利商品ではなく高粗利商品の販売に注力するという意思決定を行えるため、従ってこれはコントロール「できる」分野ですね。

また減価償却という視点で見ると、すでに投資を行った設備の減価償却は原則としてコントロール出来ませんが、新規の設備投資を抑えることで減価償却費の負担を増やさない、という形でコントロールできる部分もあります。

このようにして1つ1つの項目について、コントロールできるかどうかを詰めて行く作業を繰り返し行いました。これは会社を取り巻く環境によって大きく異なるので、「この項目はコントロールできるのか?」という問いを続けて分類すると良いと思います。
他にコントロールできない要素として、原料の仕入れや重油などの燃料代があります。これは原油価格に左右されてしまうので、我々の努力ではコントロールできるものではありません。

そして対外的なものだけではなく、自分たちの意志もコントロールの要素を含んでいます。「コントロールしない」と決めたことは「コントロールできないもの」としました。例えば、当社では従業員の給料は絶対に減らさないと決めました。経営者によっては社員の給料を「コントロールできるもの」に分類するケースもあるかもしれません。しかし当社は社員の給料を絶対に減らさないと決めたので、あくまで「コントロールできないもの」の要素として分類しました。

こうして、人件費・法的要素・外部要因などのコントロールできないものと、売り物、新規の設備投資などのようにコントロールできるものに仕分けをしていきました。

CASE2 「道しるべ」を全社員に共有する

社員全員が問題に対する共通認識を持つべき

また、コントロールできる/できないという考え方にアカウンティングの要素を加え、数値化することも行いました。数字を分析し、インパクトの大きな要素を探していったのです。その要素が見えてきたら利益改善を阻害する本質的問題と言えるでしょう。

具体的にはROAツリーを使った分析です。ROAとは総資本利益率(Return On Assets)の略で、会社が持つ資産に対してどれだけの利益を上げたかの指標になります。この指標を売上や総資本など、様々な要素で分解した枝分かれの図をROAツリーと言います。

このROAツリーによって、資本が有効活用されているか、利益に対して強いインパクトを出している要素は何かなどがわかります。売上の推移と同様に、できるだけ長期間の推移を見ることで、会社の体質や、これまでの取り組みとの関連性を検証することができます。

そこで、当社の長期間に渡る費用構造の推移を上記のツリー形状に当てはめてみました。すると、近年の販管費率が急に上昇していることがわかりました。ここまで露骨な変化はビジネススクールの教科書でもなかなかありません。販管費比率がここ数年急に増えていたことが、利益圧迫の主な要因ということがわかりました。

そこでこのROAツリーを社内に公開し、メンバーで対策を練ることにしました。そして販管費を減らす事を私達の「やるべきこと」として合意しました。その上で販管費を減らすための具体的な解決策とアクションプランを担当者と一緒になって考えました。数字というファクトを示すことで自ら問題意識を持ち、解決に向けて取り組む意識を持ってもらうことが大切だと考えています。

余談になりますが、社内では私が講師となって経理関係のセミナーなど、経営に関する勉強会を定期的に開催しています。このROAツリーをはじめ、様々な経営指標は経営者が見るものと思われがちですが、社内のメンバーもこのような概念理解をすると、他人事から自分事へと意識が高まっていくように感じています。

方向性が定まった後は具体策を検討する

さて、具体的な改善項目としては、以下のような内容が出てきました。

・生産設備の更新状況をチェックし、新規設備投資の必要性を検証する。(※最もインパクトがありました)
・外注しているものを社内でできないか検討する。
・時節柄、人員の減少が見込まれるので若手を積極採用し、一人あたりの生産効率を向上させる。

これらは全て「コントロールできること」に当てはまるものばかりです。ということは自分たちがやれば成果が出ます。これらの取り組みをまとめ、経営の道しるべとして「設備と組織の若返り」というテーマを設定し、全社を上げて販管費率の減少を目指しました。 なお実際の取り組みに当たっては、それぞれの担当者にはコントロールできることに集中してもらえるよう、上述のようにコントロール内の業務について評価をするよう社内の仕組みを整えました。

このような取り組みを2年間継続した結果、営業利益が10%以上伸びました。これは皆がそれぞれの持ち分を存分に発揮した結果です。このようなメンバーと一緒に仕事ができる機会があったことをありがたいと思っています。

様々な経営指標は経営者だけでなく、現場の組織単位でも取り組みの内容について考えるためには重要な視点になります。漠然と「売上が上がらない」「利益が出ない」と悩んでいる方は、ROAツリー作成などを通じて現状を把握されてみてはいかがでしょうか。そして関係者でこの「道しるべ」を共有することが、問題意識の共有にもつながり、解決に向けた取り組みができると考えています。

Interview1:学びを振り返って

震災ボランティアという原体験


2011年3月11日、多賀城市に住んでいる私は、東日本大震災の直撃を受けました。 地震と津波に直面し東北のダメージを心身ともに体感しました。

それからは仕事以外の全ての時間を復興にむけたボランティアに当てることにしました。現場での作業とボランティアセンターの運営を行っていましたが、そこには一筋縄ではいかない様々な出来事があります。皆が良かれと思って善意で行動しているのになぜか上手くマネジメントができず、同じ想いで参加しているボランティア同士が衝突することもしばしばありました。そういった中でセンターの運営に工夫を重ね試行錯誤をするうちに、組織人事論に興味を持つようになったのです。

2年間ボランティア活動を行い一段落がついたところで、次の自分の時間の使い方を考えていた時、さらに誰かを幸せにできる人間になるには組織論をより深く学ぶことと体系立った経営知識が必要と考え、MBAを学ぼうと思いました。

在学中は、ボランティアに代わり仕事以外の時間の全てを勉強に当てることにしました。2年間は仕事と勉強以外の事はいっさい時間を使わないと決め、潔く他の事は諦めて学びに没頭しました。言わずもがな、この意思決定と経験は、自分にとって何にも変え難い貴重な経験となっています。

災害ボランティア活動中

MBAの学びは私を全く別の人間に変えた

BBT大学院でMBAを学ぶことで、物事の背景や構造を的確に捉え、分析し、そしてアウトプットを出すという一連のプロセスにおいて、思考力が飛躍的に増したと感じています。逆にこの2年間で学んだことを知らずにこれまで仕事をしてきたのか、と恐怖さえ覚えました。組織論を学びたいという気持ちがきっかけで入学をしましたが、アカウンティングやファイナンスなどお金のことやエシックスなどの企業倫理など経営全般に重要な知識を体系的に学べたことはかけがえのない体験です。

また100本ノックであるRTOCS(Real Time Online Case Study)を通じて実践力が相当鍛えられました。様々な業界や会社の問題解決を考えることで、否が応でも実力は付きます。

今後は、自社の業績向上に貢献する一方で、学んだことを生かして中小企業の事業再生に関りたいという気持ちがあります。また次世代の起業家育成にも関心が出てきたので、起業家支援や教育にも挑戦をはじめているところです。

誰もがとてつもない可能性を眠らせている

2年間という長いようで短い時間でしたが、とことん学びに費やした結果、新たな自分を発見したように思います。自分の中にこれだけの可能性が眠っていたのかと驚きましたね。また、BBTのMBAを通じて得た「学びの習慣」は一生大切にしていきたいです。これは人生100年時代と言われる現代において重要な考え方や価値観ではないかと思っています。

メモ魔です

Interview2:周囲の評価
 ――学びを実務に活かしているMBAホルダーを見て


照井 潤さん / 三丸化学株式会社 代表取締役

ストレートも変化球も、なんでも自由に投げられる

佐藤は入社以来、一営業マンの時代から新規顧客の開拓や新規事業の育成にかなり注力してくれていました。石油化学業界、特に私たちのような地元密着系企業には、いわゆる「しがらみ」があります。それに対して出版業界という外からやってきた佐藤は、とてもフラットな眼差しで「しがらみ」を打開すべく粘り強くかつ丁寧にチャレンジしていましたよ。あれがダメだったらこれをやってみようとか、これがダメならそうやってみようとか。色々と知恵を絞り論理的に考えることによって、ストレートを投げるだけはなく様々な角度や切り口を見つけ、変化球もたくさん投げながら果敢にやっていました。それはもう顔を真っ赤にしながらね。もう10年ぐらい前の話しですね…。

会社のことを本気で考えてくれるようになった

佐藤にはBBT大学院卒業とほぼタイミングで当社の役員という立場になってもらいました。MBAの学びを通じて現場の観点のみならず組織や経営全体を俯瞰した観点で見るダイナミックな思考ができるようになり、資質として役員に相応しいと考えたからです。私のみならず、様々な管理職や経営陣とのコミュニケーションを見ていてそう思います。

それと、会社が世代交代の時期にちょうど差し掛かっていたので、7Sで言うところのハードとソフトの両面の変革を一緒に実行していったことも思い出深い話です。これは組織や社員のことを一番に考えている佐藤と一緒だからこそ遂行できたと思います。もはや佐藤との会話の約8割は「ヒト」に関わる内容になっています。それだけ会社に関わるヒトの幸せをいつも考えてくれているんですね。

MBA is Nothing?

今でこそ一端にブレークイーブンポイントなどの単語を使っていますが、20~30年前の私は分からないことだらけでした。大学でまったく経営や会計を勉強していなかったものですから。

だからこそお伝えしたいのが特に若い人はMBAとりわけアカウンティング系の科目は絶対に学んだ方が良いと思っています。早めに取り組んでおくだけで後々どれだけの武器になることか…。会社の仕事のみならず、個人の自由な人生やキャリアを描いていくためにも、ぜひ積極的かつ早めの自己投資をしてもらいたい。

体系的にビジネスを勉強する機会は、なかなか会社は用意してくれません。あったとしても数日間の何らかのトレーニング。それはそれで良い機会だと思いますが、ある程度まとまった期間で演習やケースなどを通じて学ぶことが体系的な理解につながり、そして現場の実務で活かせるようになるポイントなんだと考えています。ただ単に座学でアカウンティングの理屈を学んでもイマイチ実感がわかないことがほとんどではないでしょうか。

私はMBAを卒業したとき、恩師からおめでとうの代わりにこう言われました。「MBA is Nothing」。MBAは免許ではないので、それだけで何かが必ず出来るようになるというわけではありません。なので、卒業した瞬間から何をするかががとても大事なのです。経営をつまみ食いしたわけでは無いのですから、MBAホルダーは様々な業界や業種において「答えのない中で考えつくす」ための思考技術やアウトプット力が備わっているはずです。その力を使ってどう世の中に貢献するか?その舵取りこそがMBAを学んだリターンに繋がってくると思います。

どんどん試行錯誤をしてほしい

ちょっと佐藤の話からずれてしまいましたね(笑)。とにかくやっぱり元気がよくて、かっ飛んでる印象の人物です。これからも実務での試行錯誤を通じてたくさんの経験をしてほしいです。竹の皮を何枚もめくっていったらそこにはかぐや姫みたいな宝物があるかもしれない。何かがなくても何かがあっても、探究心さえあればめくっていく度に新たな喜びや発見があると思います。なので、佐藤みたいなタイプは皮をむかないよりは何枚もむいたほうがいいんじゃないかな。あとは体に気をつけて活躍していただければ何よりです。


佐々木 彬聡さん / 三丸化学株式会社 事業推進課係長

フランクすぎて逆に心配になります(笑)

佐藤さんは営業時代から人の懐に飛び込んでいくことがとても上手かったと思います。フランクな感じですので誰とでも仲良くなっていける人です。そこにBBT大学院でのMBAの学びを通じて理論や思考力が備わり、さらにハイパフォーマーとしての資質が強化されたと感じています。

佐藤さんがBBTに入学した当時はよく一緒に営業していましたが、物事を見る切り口や整理軸がどんどん増えていく過程をすぐ近くで垣間見ていました。車に乗って営業に行くと、隣から前日に学んだことを私に教えてくるんですよ。これ知ってるか?って。よく彼も目からウロコが落ちると言っていました。

そんな佐藤さんですが、昔からとても優しい先輩ですよ。根が良い人なんですよね。取締役になった後もフランクさは健在しているので、はたから見ると単純に役職がついたという印象しか受けません。立場や責任が今までより重くなっているのでもうちょっとしっかりして欲しいくらいですね(笑)。逆に我々がしっかりしなくてはという気持ちになります(笑)。

社員の幸せを率先して考えている人

今まで当社は、人材戦略という考えがあまり無かったのですが、いよいよ考えなくてはいけない局面になってきたかと思います。佐藤さんはもともと組織論や人の育成に関心があったので、取締役になってからは率先して「この人はどういう風に育てよう?」「この人はどこに配置すれば最もパフォーマンスが出せるだろう?」など人材のことを考えるようになったと感じています。そしてそれだけでなく、会社として社員を幸せにするためにどうすべきか?というビジョンまだ描いているんですね。数字面だけでなく、本当に会社や人のことをしっかり考えている人だと思います。

佐藤さんは私の基礎を作ってくれた恩人

佐藤さんから色々なことを教わって、今の自身の基礎が形作られました。それがなければたぶん今のような仕事はできていないと思います。私の場合、定型業務はほとんどゼロに近いんですよ。とにかくいろいろな種類の問題があちこちから飛んで来るので、それをいかに整理して個別具体的な解決やまとめ方を出していくかがポイントです。よってゼロベースで考えることがほとんどなのですが、どう思考を進めていけば良いか、その基礎は佐藤さんと一緒だったから体得できたと思います。

佐藤 慎哉さん / 株式会社リュミヌー珈琲 代表取締役主任焙煎師

とにかく引き出しが多いし、発想がかっ飛んでいます

祐樹さんとは前職(三丸化学)で一緒でした。とにかくロジカルな思考回路を持っていますが、一方で非連続的な思考、すなわち発想を一気に飛ばす術も持っている方です。自分ではちょっと考えられないような発想がよく出てきますね。

それはMBAで論理思考や問題解決思考に代表される技術を実践的に学んだからのみならず、日頃から大量に本を読んでいるからという理由もあります。会話の中で引き出しが多い印象をうけますし、とにかくインプット量がすごいから推論能力も強いのだと思っています。

一度家に行ったことがありますが、本がものすごくあって。お風呂で読む用と、普段読む用と、そして保存用として3冊ずつ買うという話でした。もはやオタクですよね(笑)。いつだったか「お前は発想が良いけど、教養が足りない」と言われて本を渡されたことがあります。そして読んだ後に感想を伝えると、「じゃあ次これ読め」とどんどんレコメンドされていく調子です。一緒にいるととにかく勉強させられますね。

祐樹さんとはメンター&メンティーの関係

今では祐樹さんには株主として、またアドバイザーとしてリュミヌー珈琲に関わってもらっていますが、ビジネスライクな関係ではなくメンターとメンティーという表現が最もフィットしていると思います。最初は目指すところはこの人だなと思ったんですけど、だんだんこの人を目指すのではなくて、この人に認められるように力をつけなきゃいけないと思うようになりました。

よく好きにやれと言われます。突き放されたときに「自分にとっての優先順位は何なのか、糧は何なのか」をもう一度洗い直してそこから最適解を見つけろと言われますね。とても納得しています。

生き方を単純に尊敬している

祐樹さんの持っている独自の価値をもっと色々なところで発揮して欲しいですね。目標実現に向けての後押しやサポートを通じて私みたいな人間が増えていったら、その人は幸せになるし、結果的にちょっとでも世界が良くなるんじゃないかと思います。

独立に際して自分自身どこか迷いがありましたが、祐樹さんのおかげで好きなように生きていいんだなってことが分かりました。祐樹さんがいなくなったら困るか?それはもちろん困りますよ。単純に生き方を尊敬していますから。


BBT大学院歴代トップの成績を修めて修了した佐藤さん。2年間の学びによって、全く別の人間に生まれ変わったとの感想を持たれています。 そんな佐藤さんは現在、三丸化学株式会社の取締役事業部長として日々奮闘されており、学んだことを100%活かした組織改革を行った結果、会社の利益を大きく回復することができたと言います。ここではその利益改善のために実践した問題解決の考え方を一部お話しいただきます。

修了生プロフィール

佐藤 祐樹 さん
三丸化学株式会社 取締役事業部長
1974年生、宮城県仙台市出身。
大学でデザイン(専門はシルクスクリーン)を学んだ後、写真業界、出版社勤務を経て現企業に転職。営業・マーケティング部門で活躍中、2011年3月に出張先で被災。
その後2年間、企業勤めの傍らボランティアセンターの運営に携わる。
2013年にBBT大学院に入学、2015年MBA取得、同年取締役事業部長に就任。事業活動の責任者としてマーケティングから人事まで幅広く担当している。
また、2015年10月に友人とコーヒーの焙煎販売を行う株式会社リュミヌー珈琲を設立。
その他、経営アドバイザー、コピーライター、デザイナーなどの依頼を請け負う、自称「仕事中毒患者」。
「世の中の幸福の総量を力強く増やす仕事人」を目指す愛犬家。愛犬を連れてよく遊びにも行く。写真はその時の1枚。
趣味は手作りスモークチーズ(写真)などの燻製を作ること。
同窓生コラム MBAタイトルは足の裏の米粒?
佐藤さんのMBA体験記「修了生の声」

CASE1 それって必要?本当にやるべきことを明確にする

全てに全力では何もできない

私が現職に着任した当時、社内では利益改善が大きなテーマとして掲げられていました。売上は数年間横ばい、利益は悪化の一途を辿っていたのです。当時の社内は利益の悪化に対して「全てに全力で取り組む」という、まさに根性論そのものでした。根性だけで売上や利益が改善するなら誰でもやりますが、気づかないうちにやってしまう…、そんなよくある事例です。利益を構成する要素は意外とたくさんあり対象が広すぎるので、結果的に場当たり的な対応になってしまっていたのです。

経営資源の三要素と呼ばれる「ヒト・モノ・カネ」が有限であることはよく知られていると思います。さらに世の風潮として「働き方改革」が叫ばれており、長時間労働の改善はどの会社においても大きなテーマです。そのような中で、これまでより更に「時間」という資源も重要視されるようになってきたと思います。

リソースが限られている中で何をすべきか…?この問いに対して向き合い考えることで本来的にやるべきことが分かり、より良い大きなインパクトを出すことが出来ると考えています。私自身、MBAの学習時間捻出のためにワークスタイルを意識的に工夫しましたが、それにより選択と集中を通じて仕事の生産性は高まっていき、結果として実績もしっかり出せた経験があります。これは私の事例ですが、会社の成長だけでなく社員全員が持続的な成長の機会を得るためにも「時間」を含めた資源の管理はやはり会社経営に必要不可欠だと考えます。

そこで限られた資源を最大限に活用し成果を出すために、「全てに全力」ではなく、まず「やるべき事を明確」にするという方針で問題解決、すなわち利益改善に向けた取り組みに着手しました。

どう「切っていけば」問題点が見つかるか?

さて、問題解決は、「本質的問題の発見」「解決策の立案」「実行」という大きく3つのステップで進めます。今回の取り組みにあたってはこのセオリー通り問題発見からスタートしました。なぜ利益が下がり続けているのか?その本質的問題を発見する為に、会社の現状を細かく分解・分類していったのです。

分解にあたって、実に様々な「切り口」が考えられます。結論として、私達はまず1年の間に「コントロールできるもの」と「コントロールできないもの」の2つに分類しました。限られた経営資源の配分をするためには、コントロールできることに絞った方が良いだろうと考えたからです。そして1年という「期間」の概念も重要です。1年単位ではコントロールできないことでも、3年単位ではコントロールできてしまうこともありますよね。そのため期間設定は重要な指標となります。

それではコントロールの可/不可をどのように考えたか実例を説明します。売上に注目すると、私達の業界は長期契約に伴う顧客が多いために、いきなり多くの顧客開発はできません。そこで顧客数については、コントロール「できない」と分類しました。ただし「3年単位」ではコントロールできる要素になるという、微妙な部分でもあります。

次に売上の中身です。例えば低粗利商品ではなく高粗利商品の販売に注力するという意思決定を行えるため、従ってこれはコントロール「できる」分野ですね。

また減価償却という視点で見ると、すでに投資を行った設備の減価償却は原則としてコントロール出来ませんが、新規の設備投資を抑えることで減価償却費の負担を増やさない、という形でコントロールできる部分もあります。

このようにして1つ1つの項目について、コントロールできるかどうかを詰めて行く作業を繰り返し行いました。これは会社を取り巻く環境によって大きく異なるので、「この項目はコントロールできるのか?」という問いを続けて分類すると良いと思います。
他にコントロールできない要素として、原料の仕入れや重油などの燃料代があります。これは原油価格に左右されてしまうので、我々の努力ではコントロールできるものではありません。

そして対外的なものだけではなく、自分たちの意志もコントロールの要素を含んでいます。「コントロールしない」と決めたことは「コントロールできないもの」としました。例えば、当社では従業員の給料は絶対に減らさないと決めました。経営者によっては社員の給料を「コントロールできるもの」に分類するケースもあるかもしれません。しかし当社は社員の給料を絶対に減らさないと決めたので、あくまで「コントロールできないもの」の要素として分類しました。

こうして、人件費・法的要素・外部要因などのコントロールできないものと、売り物、新規の設備投資などのようにコントロールできるものに仕分けをしていきました。

CASE2 「道しるべ」を全社員に共有する

社員全員が問題に対する共通認識を持つべき

また、コントロールできる/できないという考え方にアカウンティングの要素を加え、数値化することも行いました。数字を分析し、インパクトの大きな要素を探していったのです。その要素が見えてきたら利益改善を阻害する本質的問題と言えるでしょう。

具体的にはROAツリーを使った分析です。ROAとは総資本利益率(Return On Assets)の略で、会社が持つ資産に対してどれだけの利益を上げたかの指標になります。この指標を売上や総資本など、様々な要素で分解した枝分かれの図をROAツリーと言います。

このROAツリーによって、資本が有効活用されているか、利益に対して強いインパクトを出している要素は何かなどがわかります。売上の推移と同様に、できるだけ長期間の推移を見ることで、会社の体質や、これまでの取り組みとの関連性を検証することができます。

そこで、当社の長期間に渡る費用構造の推移を上記のツリー形状に当てはめてみました。すると、近年の販管費率が急に上昇していることがわかりました。ここまで露骨な変化はビジネススクールの教科書でもなかなかありません。販管費比率がここ数年急に増えていたことが、利益圧迫の主な要因ということがわかりました。

そこでこのROAツリーを社内に公開し、メンバーで対策を練ることにしました。そして販管費を減らす事を私達の「やるべきこと」として合意しました。その上で販管費を減らすための具体的な解決策とアクションプランを担当者と一緒になって考えました。数字というファクトを示すことで自ら問題意識を持ち、解決に向けて取り組む意識を持ってもらうことが大切だと考えています。

余談になりますが、社内では私が講師となって経理関係のセミナーなど、経営に関する勉強会を定期的に開催しています。このROAツリーをはじめ、様々な経営指標は経営者が見るものと思われがちですが、社内のメンバーもこのような概念理解をすると、他人事から自分事へと意識が高まっていくように感じています。

方向性が定まった後は具体策を検討する

さて、具体的な改善項目としては、以下のような内容が出てきました。

・生産設備の更新状況をチェックし、新規設備投資の必要性を検証する。(※最もインパクトがありました)
・外注しているものを社内でできないか検討する。
・時節柄、人員の減少が見込まれるので若手を積極採用し、一人あたりの生産効率を向上させる。

これらは全て「コントロールできること」に当てはまるものばかりです。ということは自分たちがやれば成果が出ます。これらの取り組みをまとめ、経営の道しるべとして「設備と組織の若返り」というテーマを設定し、全社を上げて販管費率の減少を目指しました。 なお実際の取り組みに当たっては、それぞれの担当者にはコントロールできることに集中してもらえるよう、上述のようにコントロール内の業務について評価をするよう社内の仕組みを整えました。

このような取り組みを2年間継続した結果、営業利益が10%以上伸びました。これは皆がそれぞれの持ち分を存分に発揮した結果です。このようなメンバーと一緒に仕事ができる機会があったことをありがたいと思っています。

様々な経営指標は経営者だけでなく、現場の組織単位でも取り組みの内容について考えるためには重要な視点になります。漠然と「売上が上がらない」「利益が出ない」と悩んでいる方は、ROAツリー作成などを通じて現状を把握されてみてはいかがでしょうか。そして関係者でこの「道しるべ」を共有することが、問題意識の共有にもつながり、解決に向けた取り組みができると考えています。

Interview1:学びを振り返って

震災ボランティアという原体験


2011年3月11日、多賀城市に住んでいる私は、東日本大震災の直撃を受けました。 地震と津波に直面し東北のダメージを心身ともに体感しました。

それからは仕事以外の全ての時間を復興にむけたボランティアに当てることにしました。現場での作業とボランティアセンターの運営を行っていましたが、そこには一筋縄ではいかない様々な出来事があります。皆が良かれと思って善意で行動しているのになぜか上手くマネジメントができず、同じ想いで参加しているボランティア同士が衝突することもしばしばありました。そういった中でセンターの運営に工夫を重ね試行錯誤をするうちに、組織人事論に興味を持つようになったのです。

2年間ボランティア活動を行い一段落がついたところで、次の自分の時間の使い方を考えていた時、さらに誰かを幸せにできる人間になるには組織論をより深く学ぶことと体系立った経営知識が必要と考え、MBAを学ぼうと思いました。

在学中は、ボランティアに代わり仕事以外の時間の全てを勉強に当てることにしました。2年間は仕事と勉強以外の事はいっさい時間を使わないと決め、潔く他の事は諦めて学びに没頭しました。言わずもがな、この意思決定と経験は、自分にとって何にも変え難い貴重な経験となっています。

災害ボランティア活動中

MBAの学びは私を全く別の人間に変えた

BBT大学院でMBAを学ぶことで、物事の背景や構造を的確に捉え、分析し、そしてアウトプットを出すという一連のプロセスにおいて、思考力が飛躍的に増したと感じています。逆にこの2年間で学んだことを知らずにこれまで仕事をしてきたのか、と恐怖さえ覚えました。組織論を学びたいという気持ちがきっかけで入学をしましたが、アカウンティングやファイナンスなどお金のことやエシックスなどの企業倫理など経営全般に重要な知識を体系的に学べたことはかけがえのない体験です。

また100本ノックであるRTOCS(Real Time Online Case Study)を通じて実践力が相当鍛えられました。様々な業界や会社の問題解決を考えることで、否が応でも実力は付きます。

今後は、自社の業績向上に貢献する一方で、学んだことを生かして中小企業の事業再生に関りたいという気持ちがあります。また次世代の起業家育成にも関心が出てきたので、起業家支援や教育にも挑戦をはじめているところです。

誰もがとてつもない可能性を眠らせている

2年間という長いようで短い時間でしたが、とことん学びに費やした結果、新たな自分を発見したように思います。自分の中にこれだけの可能性が眠っていたのかと驚きましたね。また、BBTのMBAを通じて得た「学びの習慣」は一生大切にしていきたいです。これは人生100年時代と言われる現代において重要な考え方や価値観ではないかと思っています。

メモ魔です

Interview2:周囲の評価
 ――学びを実務に活かしているMBAホルダーを見て


照井 潤さん / 三丸化学株式会社 代表取締役

ストレートも変化球も、なんでも自由に投げられる

佐藤は入社以来、一営業マンの時代から新規顧客の開拓や新規事業の育成にかなり注力してくれていました。石油化学業界、特に私たちのような地元密着系企業には、いわゆる「しがらみ」があります。それに対して出版業界という外からやってきた佐藤は、とてもフラットな眼差しで「しがらみ」を打開すべく粘り強くかつ丁寧にチャレンジしていましたよ。あれがダメだったらこれをやってみようとか、これがダメならそうやってみようとか。色々と知恵を絞り論理的に考えることによって、ストレートを投げるだけはなく様々な角度や切り口を見つけ、変化球もたくさん投げながら果敢にやっていました。それはもう顔を真っ赤にしながらね。もう10年ぐらい前の話しですね…。

会社のことを本気で考えてくれるようになった

佐藤にはBBT大学院卒業とほぼタイミングで当社の役員という立場になってもらいました。MBAの学びを通じて現場の観点のみならず組織や経営全体を俯瞰した観点で見るダイナミックな思考ができるようになり、資質として役員に相応しいと考えたからです。私のみならず、様々な管理職や経営陣とのコミュニケーションを見ていてそう思います。

それと、会社が世代交代の時期にちょうど差し掛かっていたので、7Sで言うところのハードとソフトの両面の変革を一緒に実行していったことも思い出深い話です。これは組織や社員のことを一番に考えている佐藤と一緒だからこそ遂行できたと思います。もはや佐藤との会話の約8割は「ヒト」に関わる内容になっています。それだけ会社に関わるヒトの幸せをいつも考えてくれているんですね。

MBA is Nothing?

今でこそ一端にブレークイーブンポイントなどの単語を使っていますが、20~30年前の私は分からないことだらけでした。大学でまったく経営や会計を勉強していなかったものですから。

だからこそお伝えしたいのが特に若い人はMBAとりわけアカウンティング系の科目は絶対に学んだ方が良いと思っています。早めに取り組んでおくだけで後々どれだけの武器になることか…。会社の仕事のみならず、個人の自由な人生やキャリアを描いていくためにも、ぜひ積極的かつ早めの自己投資をしてもらいたい。

体系的にビジネスを勉強する機会は、なかなか会社は用意してくれません。あったとしても数日間の何らかのトレーニング。それはそれで良い機会だと思いますが、ある程度まとまった期間で演習やケースなどを通じて学ぶことが体系的な理解につながり、そして現場の実務で活かせるようになるポイントなんだと考えています。ただ単に座学でアカウンティングの理屈を学んでもイマイチ実感がわかないことがほとんどではないでしょうか。

私はMBAを卒業したとき、恩師からおめでとうの代わりにこう言われました。「MBA is Nothing」。MBAは免許ではないので、それだけで何かが必ず出来るようになるというわけではありません。なので、卒業した瞬間から何をするかががとても大事なのです。経営をつまみ食いしたわけでは無いのですから、MBAホルダーは様々な業界や業種において「答えのない中で考えつくす」ための思考技術やアウトプット力が備わっているはずです。その力を使ってどう世の中に貢献するか?その舵取りこそがMBAを学んだリターンに繋がってくると思います。

どんどん試行錯誤をしてほしい

ちょっと佐藤の話からずれてしまいましたね(笑)。とにかくやっぱり元気がよくて、かっ飛んでる印象の人物です。これからも実務での試行錯誤を通じてたくさんの経験をしてほしいです。竹の皮を何枚もめくっていったらそこにはかぐや姫みたいな宝物があるかもしれない。何かがなくても何かがあっても、探究心さえあればめくっていく度に新たな喜びや発見があると思います。なので、佐藤みたいなタイプは皮をむかないよりは何枚もむいたほうがいいんじゃないかな。あとは体に気をつけて活躍していただければ何よりです。


佐々木 彬聡さん / 三丸化学株式会社 事業推進課係長

フランクすぎて逆に心配になります(笑)

佐藤さんは営業時代から人の懐に飛び込んでいくことがとても上手かったと思います。フランクな感じですので誰とでも仲良くなっていける人です。そこにBBT大学院でのMBAの学びを通じて理論や思考力が備わり、さらにハイパフォーマーとしての資質が強化されたと感じています。

佐藤さんがBBTに入学した当時はよく一緒に営業していましたが、物事を見る切り口や整理軸がどんどん増えていく過程をすぐ近くで垣間見ていました。車に乗って営業に行くと、隣から前日に学んだことを私に教えてくるんですよ。これ知ってるか?って。よく彼も目からウロコが落ちると言っていました。

そんな佐藤さんですが、昔からとても優しい先輩ですよ。根が良い人なんですよね。取締役になった後もフランクさは健在しているので、はたから見ると単純に役職がついたという印象しか受けません。立場や責任が今までより重くなっているのでもうちょっとしっかりして欲しいくらいですね(笑)。逆に我々がしっかりしなくてはという気持ちになります(笑)。

社員の幸せを率先して考えている人

今まで当社は、人材戦略という考えがあまり無かったのですが、いよいよ考えなくてはいけない局面になってきたかと思います。佐藤さんはもともと組織論や人の育成に関心があったので、取締役になってからは率先して「この人はどういう風に育てよう?」「この人はどこに配置すれば最もパフォーマンスが出せるだろう?」など人材のことを考えるようになったと感じています。そしてそれだけでなく、会社として社員を幸せにするためにどうすべきか?というビジョンまだ描いているんですね。数字面だけでなく、本当に会社や人のことをしっかり考えている人だと思います。

佐藤さんは私の基礎を作ってくれた恩人

佐藤さんから色々なことを教わって、今の自身の基礎が形作られました。それがなければたぶん今のような仕事はできていないと思います。私の場合、定型業務はほとんどゼロに近いんですよ。とにかくいろいろな種類の問題があちこちから飛んで来るので、それをいかに整理して個別具体的な解決やまとめ方を出していくかがポイントです。よってゼロベースで考えることがほとんどなのですが、どう思考を進めていけば良いか、その基礎は佐藤さんと一緒だったから体得できたと思います。

佐藤 慎哉さん / 株式会社リュミヌー珈琲 代表取締役主任焙煎師

とにかく引き出しが多いし、発想がかっ飛んでいます

祐樹さんとは前職(三丸化学)で一緒でした。とにかくロジカルな思考回路を持っていますが、一方で非連続的な思考、すなわち発想を一気に飛ばす術も持っている方です。自分ではちょっと考えられないような発想がよく出てきますね。

それはMBAで論理思考や問題解決思考に代表される技術を実践的に学んだからのみならず、日頃から大量に本を読んでいるからという理由もあります。会話の中で引き出しが多い印象をうけますし、とにかくインプット量がすごいから推論能力も強いのだと思っています。

一度家に行ったことがありますが、本がものすごくあって。お風呂で読む用と、普段読む用と、そして保存用として3冊ずつ買うという話でした。もはやオタクですよね(笑)。いつだったか「お前は発想が良いけど、教養が足りない」と言われて本を渡されたことがあります。そして読んだ後に感想を伝えると、「じゃあ次これ読め」とどんどんレコメンドされていく調子です。一緒にいるととにかく勉強させられますね。

祐樹さんとはメンター&メンティーの関係

今では祐樹さんには株主として、またアドバイザーとしてリュミヌー珈琲に関わってもらっていますが、ビジネスライクな関係ではなくメンターとメンティーという表現が最もフィットしていると思います。最初は目指すところはこの人だなと思ったんですけど、だんだんこの人を目指すのではなくて、この人に認められるように力をつけなきゃいけないと思うようになりました。

よく好きにやれと言われます。突き放されたときに「自分にとっての優先順位は何なのか、糧は何なのか」をもう一度洗い直してそこから最適解を見つけろと言われますね。とても納得しています。

生き方を単純に尊敬している

祐樹さんの持っている独自の価値をもっと色々なところで発揮して欲しいですね。目標実現に向けての後押しやサポートを通じて私みたいな人間が増えていったら、その人は幸せになるし、結果的にちょっとでも世界が良くなるんじゃないかと思います。

独立に際して自分自身どこか迷いがありましたが、祐樹さんのおかげで好きなように生きていいんだなってことが分かりました。祐樹さんがいなくなったら困るか?それはもちろん困りますよ。単純に生き方を尊敬していますから。