BBT大学院に最大在籍期間である5年間在籍し、2020年9月にMBAを取得した川池さん。営業職を10年以上経験し、マネジメント職にも就きますが、「このままでよいのか?」と危機感を感じ、BBT大学院に入学。憧れていたMBAホルダーの上司に近づけたエピソードや、5年もの長期間学び続ける価値、ご家庭との両立のコツなどについて、お話をうかがいました。

修了生プロフィール

川池 豊さん
2015年9月BBT大学院入学、2020年9月修了。入学時43歳、インタビュー時は49歳。外資系化学メーカーの日本法人にて営業部長を務める(2020年12月時点)。

“自社製品だけに詳しい社員”で終わりたくなかった

――経営大学院への入学を検討したきっかけを教えてください。


約16年メーカー営業に従事してきました。前職は一部上場の建材メーカーで、建材の新しい高級ブランドを立ち上げる新規事業のメンバーに抜擢され、販売のチャネルからブランドの確立までを0から経験しました。

そのプロジェクトで、会社の役員や顧問、社長といった経営層の方々と3年間ほどお仕事をすることができました。経営層の方々は事業全体を俯瞰しているため、一般的な営業をやっていたときよりも、自分の視座もグッと上げる必要がありました。

前職での経験がベースにあり、現在の会社に転職しましたが、またメーカー営業として、一から自社製品のセールスを行うことになり、「自社製品に詳しくなるだけで果たしてよいのだろうか。このまま年を重ねていって、人生が終わってもいいのか」と、強い焦燥感を抱くようになりました。

そして、一セールスマンとして終わりたくない気持ちから、マネジメントのポジションを目指し、無事に着任できました。約4年間営業部長を経験して、「やはり自社製品だけに詳しいのはもったいない。マネジメントや経営のことをもっと勉強したい」と思うようになりました。

さらに、当時事業部長だった私の上司であるNさんがMBAを取得していて、彼の発想や考え方、話す内容が非常に幅広く、かつ詳しくて、純粋に「かっこいいな」と思っていました。

例えば、戦略を立てているときに、Nさんからフレームワークの話が出てきたり、お客様と何気なく経済や社会情勢の話をするときに、一般的な見方よりも切り口が鋭く、深く広く視点や視野を持っていたり。

特にファクトに基づいた議論が求められる海外の社内メンバーと行うミーティングでも、グローバルに通用する議論を展開しているのを目の当たりにして、「やっぱりMBAホルダーはすごいな」「自分もMBAを学べば、彼のような視点や視座が持てるのか」と興味を持つようになりました。今までも凄いと感じる上司は何人もいましたが、Nさんには特段インスパイアされました。

――さまざまな経営大学院があるなかで、BBT大学院を選ばれた決め手は何でしたか?

実は、その上司のNさんが通っていた経営大学院が、BOND-BBT(※1)だったんです。大前学長の話もよく出てきましたし、大前研一ライブ(※2)で学んだ内容を共有してくれることもありました。

Nさんから話を聞いて初めて、私もよく存じ上げている大前研一さんが、BOND-BBTやBBT大学院の学長であることを知りました。

大前先生の著書を最初に手に取ったのは、実は小学生のときなんです。起業経験のある父の本棚に大前先生の著書が並んでいて、小学生なのでよく理解できないながらも『新・国富論』を眺めたりしていました。父から譲り受けて、大前先生の本は今でも手元に置いてあります。

※編集註:
1「BOND-BBT」…オーストラリアの名門BOND大学と株式会社ビジネス・ブレークスルー(BBT)が共同開発したMBAプログラムで、海外正式MBAが取得できます。
2大前研一ライブ…大前学長が、マクロな経済情勢や企業経営をテーマに、毎週2時間お送りする看板番組です。世界と日本で1週間に起こった出来事から注目すべきニュースを独自の観点から解説しています。

Nさんは、BOND-BBTで学んだことを自然と仕事で活用していました。私がどんなに一生懸命働いても、Aさんとの実力の差がまったく縮まっていかないことから、「自分ももっと学ぶ必要がある」と日々痛感していました。

「仕事が忙しく、通学も時間的に厳しかったため、オンラインで学べるBOND-BBTを選んだ」という話をAさんから聞き、私はBOND-BBTに入って英語で学ぶよりも、しっかり理解できる日本語で学びたいと思っていたので、最初からBBT 大学院一択でした。

しかし、実際にBBT大学院への入学を決めるまでに3年ほど悩みました。
共働きで子どもが3人いるうえに、一番下の子はまだ小学生で手がかかること、経営大学院の大変さを聞き、続けられるだろうかと不安だったことから、「いま入学すべきか」と悩みながら、日々の仕事をしていました。

そして、具体的なきっかけがあったというよりは、「やっぱり自分は“自社製品だけに詳しい社員”として終わっていくわけにはいかない」という思いがすごく強くなってきて、その思いが頂点に達したタイミングで、BBT大学院への入学を決意しました。

企業経験のある父や、仕事をしてきた経営者の方々から自然と起業家マインドを学んできましたし、BOND-BBTの修了生である上司のNさんにも出会えて、大前先生が学長であるBBT大学院でMBA を取っていると考えると、不思議と全部つながっていますね。

人生では、一見無駄に思えたり、「何やってるんだろう」と虚しく感じたりすることもありますが、最近では「回りまわってつながっているんだな」という実感があります。
経営大学院で勉強する中でも、しんどいときもあれば、どんな風に役立つのか当時はイメージがつかない科目もありました。でも、本当に無駄なことはひとつもないと思います。

学び同士がつながり、仕事に生かせる楽しさ

――川池さんは、BBT大学院に最大在籍期間である5年間在籍し、学ばれてきました。5年間もの学びの価値とは、どんなものでしたか?


学び同士が結びついてくることが、長く学ぶことの大きな価値だと思います。

一見自分には必要がなさそうな科目でも、色々な科目を学ぶことで、学び同士がつながってきて、見え方や問題の解き方が変わってくるのだと実感しました。

最初は、それがわからなくて、一つひとつの科目を必死に勉強するだけでしたが、何年か経ってくると、科目同士の共通点が見つかったり、「この問題は前の科目の学びを生かせばうまく答えが出せそうだ」とひらめいたり…というのが沢山出てくるんですよね。それが楽しい部分でもありました。

もちろん、まだ学び同士がつながっていない段階でも、学んできたことや理解してきたことを実践の場で試し、反応や結果を見て、試行錯誤していくことはできます。
前回試してみてうまくいかなかったことも、新しく学んだ要素を盛り込んで再度試してみたりと、日々の仕事と学びをリンクさせていました。

問題解決力に関しても、問題の発見と解決策の実行を何度も試しては失敗したり成功したり、という繰り返しで、在学中から現場でブラッシュアップしてきました。
5年間の在学期間のうちで、特に後半は仕事と新しく学んだことをリンクさせる楽しさを味わっていましたね。なので、5年で修了するのが寂しいくらいでした。

各講義でしっかりノートを取っていて、もちろん在籍中も見返しましたが、修了してからは特に、このノートを事あるごとに見直しています。

仕事で「こういうときはどうしたらいいのか」と悩んだときに、時間をかけて学んだ分、「たしかこの講義で学んだな」と記憶も残っているし、ノートもバッチリ取ってあるので、それが今は大変役に立っていますね。5年間在籍した財産のひとつだと思っています。

――RTOCSも、長く続けることで変化を感じられたりしましたか?

1年目は、ほかの科目の学習も始まったばかりだったので、「どこから手をつけて、何をどうすればいいのか…」という状態で、見よう見まねでなんとか毎週答えを出していました。

それが、1年間で約50回と何度もRTOCSのお題に取り組んでいくうちに、「今回のケース(産業やビジネス)は、分析時にはこの切り口でやってみよう」とか、「今回の結論を出すときは、この切り口で考えるのがよさそうだ」とか、考えるための道具がどんどん増えていくのを実感するようになりました。そして、年数が経って慣れていくと、ファクト集めと分析に時間を割いていたのが、打ち手の検討に時間をかけられるようになりました。

1,2年目はひたすら勉強に必死でしたが、4年、5年と経ってくると、科目同士が結びついてくることで見える範囲が広くなり、正解のない問題に対しても、答えを作りやすくなりました。これも、長く学び続けたメリットのひとつだと思います。

※編集註:「RTOCS(アールトックス)」は「Real Time Online Case Study」の略称で、BBT独自のケースメソッドです。答えの出ていない「現在進行形の企業課題」をケースとして扱い、当該企業に関する調査・分析・戦略考案を自ら実施します。大前研一学長の戦略系科目において、2年間毎週1題=合計約100題 を繰り返し行います。

修了してから、後輩からケーススタディのお題をふられた際に、RTOCS的に分析をかけて、2時間程度で結論を出したんです。結論までの道筋を後輩に解説したら、「2時間でこんなにできるのか」と驚いていましたね。

使える道具が沢山身についているので、早くできるようになったのだと思います。実際は、もっと深くやらなければいけないですが、簡易的にやるのであれば、2時間程度でできるくらいになりました。

「巻き込み型」で家庭との両立を

――BBT大学院で学ぶことについて、ご家族の反応はいかがでしたか?
妻は、「あとから、あのときBBT大学院に入っていたら良かった…って言われるのはいや。やりたいんだったら、やってみたら」と、入学検討時に背中を押してくれました。

当時は国内外への出張が多く、妻も働いていたため、家庭との両立には工夫が必要でした。そこで、土日を午前1コマ、午後1コマの計4コマあるとして、そのうちの1コマは、皆でお出かけに行くなど、家族のことに時間を使おうと決めました。

もちろん、仕事と学業が忙しくてうまくいかない週もあれば、土日2日間かけて旅行に行く週もありました。でも、基本的には土日の1コマは家族の時間に充てていました。
また、今もそうなのですが、土日の料理は私が担当しているので、家族から経営大学院で勉強することに対して不満や文句などは特になかったですね。

――そのほかに、家庭との両立のために工夫していたことはありますか?
1,2か月分のスケジュールを家族内で前もってシェアしておくようにしておきました。あとは、学習の進捗状況や新しく学んだことなどもシェアしていました。

特に、妻との情報共有は大切ですよね。「RTOCSの今週のお題はあの企業だよ」などと話したり、「今週はRTOCSの課題に追われてピンチだよ。明日の昼までに結論を出さないと、一緒に買い物に行けないや」と事前に学習状況を伝えておいたりしていました。

子どもたちともよくBBT大学院の話をしていましたよ。お風呂に入りながら、「自分があの企業の社長だったらどうする?」って聞いたら、「パパ、それはね…」と答えてくれたり(笑)。

そうやって、スケジュールや学びを共有し、家族を巻き込みながら学んでいくことが、家庭と学業を両立させるコツだと思います。

入学前は想像すらできなかった変化を実感

――BBT 大学院を修了して、特にどのような力が身についたと感じていますか?

正解のない問題に直面したとき、自分なりの答えを出す力がしっかり身についたと感じています。

入学前は「MBAを取得したら、フレームワークに強くなったり、ストラテジーを考えられるようになったりするのかな」といったイメージで、こんな自分になれていると想像すらできていなかったです。

でも修了した今、「問題解決力」が鍛えられて、問題の見方や分析方法、検証の道筋などが感覚的にパッと出てくるようになりました。チームのメンバーで問題解決を考えるときにも、「こういう風に考えてみたら」といったアドバイスもできるようになったことに、自分でも驚いています。

問題解決力が身につくと、余裕ができて、何か起こっても慌てなくなりました。経営会議に参加すると、人事やマネジメントの複雑な問題も議題になりますが、そうした場面でも、BBT大学院での学びを生かし、自分の意見や解決案のしっかり発言できています。

また、現職は外資系なので、日本法人の社長も外国の方なんですね。特に西洋の方々とお仕事するにあたっては、ロジカルであることやファクトベースで発言することが求められます。そういう意味でも、BBT 大学院での学びは、グローバルな仕事をするときも大変役に立つと思います。私自身、説得力のある伝え方ができるようになり、彼らとも仕事がしやすくなったと実感しています。

入学前の自分は、上司のNさんや一緒に仕事をしてきた経営者の方々を、下から見上げているような状態だったと思います。それが、私も上へ登っていき、高い視座、広い視野で物事を見られるようになると、憧れていた方々の見方や考え方が深く理解できるようになりました。

――BBT大学院の学びを実践の場で生かしている具体例はありますか?

最近、2025年に向けて、ビジネスユニットが成長してゆくための営業のストラテジーを作りました。そのストラテジーを作るときも、さまざまなフレームワークを活用し、しっかりと分析したうえで積み上げていくストラテジーを作ることができました。他の方の作ったストラテジーの抜け漏れに気が付くくらい、解像度に上がりました。

また、現在携わっている新製品の開発でも、大前学長がおっしゃる「戦略的自由度(SDF:Strategic Degrees of Freedom)」を考え、仮説と検証を繰り返しながら行っています。
今後、自社が注力していくべき分野についても、ポートフォリオを描きながら考えることができています。

それ以外にも、BBT大学院で学べて本当に良かったなと思うのが、アントレプレナーシップやリーダーシップなどの資質やマインドに関する科目も多くあったことです。そうした学びを社内の人材育成や採用面接のときにも役立てています。

――最後に、経営大学院への入学を検討中の方にメッセージをお願いします。

私は、BBT 大学院で MBA を取り、「MBAを取ったら終わりではなく、一生学び続けていくことが大事なんだ」ということを痛感しました。

何か問題が起こるのが人生ですから、自信を持って自分で答えを出せる力をつけていきたいと思っていらっしゃる方は、BBT 大学院で学んでいただければ、学び続けることの重要性を体感できると思います。


BBT大学院に最大在籍期間である5年間在籍し、2020年9月にMBAを取得した川池さん。営業職を10年以上経験し、マネジメント職にも就きますが、「このままでよいのか?」と危機感を感じ、BBT大学院に入学。憧れていたMBAホルダーの上司に近づけたエピソードや、5年もの長期間学び続ける価値、ご家庭との両立のコツなどについて、お話をうかがいました。

修了生プロフィール

川池 豊さん
2015年9月BBT大学院入学、2020年9月修了。入学時43歳、インタビュー時は49歳。外資系化学メーカーの日本法人にて営業部長を務める(2020年12月時点)。

“自社製品だけに詳しい社員”で終わりたくなかった

――経営大学院への入学を検討したきっかけを教えてください。


約16年メーカー営業に従事してきました。前職は一部上場の建材メーカーで、建材の新しい高級ブランドを立ち上げる新規事業のメンバーに抜擢され、販売のチャネルからブランドの確立までを0から経験しました。

そのプロジェクトで、会社の役員や顧問、社長といった経営層の方々と3年間ほどお仕事をすることができました。経営層の方々は事業全体を俯瞰しているため、一般的な営業をやっていたときよりも、自分の視座もグッと上げる必要がありました。

前職での経験がベースにあり、現在の会社に転職しましたが、またメーカー営業として、一から自社製品のセールスを行うことになり、「自社製品に詳しくなるだけで果たしてよいのだろうか。このまま年を重ねていって、人生が終わってもいいのか」と、強い焦燥感を抱くようになりました。

そして、一セールスマンとして終わりたくない気持ちから、マネジメントのポジションを目指し、無事に着任できました。約4年間営業部長を経験して、「やはり自社製品だけに詳しいのはもったいない。マネジメントや経営のことをもっと勉強したい」と思うようになりました。

さらに、当時事業部長だった私の上司であるNさんがMBAを取得していて、彼の発想や考え方、話す内容が非常に幅広く、かつ詳しくて、純粋に「かっこいいな」と思っていました。

例えば、戦略を立てているときに、Nさんからフレームワークの話が出てきたり、お客様と何気なく経済や社会情勢の話をするときに、一般的な見方よりも切り口が鋭く、深く広く視点や視野を持っていたり。

特にファクトに基づいた議論が求められる海外の社内メンバーと行うミーティングでも、グローバルに通用する議論を展開しているのを目の当たりにして、「やっぱりMBAホルダーはすごいな」「自分もMBAを学べば、彼のような視点や視座が持てるのか」と興味を持つようになりました。今までも凄いと感じる上司は何人もいましたが、Nさんには特段インスパイアされました。

――さまざまな経営大学院があるなかで、BBT大学院を選ばれた決め手は何でしたか?

実は、その上司のNさんが通っていた経営大学院が、BOND-BBT(※1)だったんです。大前学長の話もよく出てきましたし、大前研一ライブ(※2)で学んだ内容を共有してくれることもありました。

Nさんから話を聞いて初めて、私もよく存じ上げている大前研一さんが、BOND-BBTやBBT大学院の学長であることを知りました。

大前先生の著書を最初に手に取ったのは、実は小学生のときなんです。起業経験のある父の本棚に大前先生の著書が並んでいて、小学生なのでよく理解できないながらも『新・国富論』を眺めたりしていました。父から譲り受けて、大前先生の本は今でも手元に置いてあります。

※編集註:
1「BOND-BBT」…オーストラリアの名門BOND大学と株式会社ビジネス・ブレークスルー(BBT)が共同開発したMBAプログラムで、海外正式MBAが取得できます。
2大前研一ライブ…大前学長が、マクロな経済情勢や企業経営をテーマに、毎週2時間お送りする看板番組です。世界と日本で1週間に起こった出来事から注目すべきニュースを独自の観点から解説しています。

Nさんは、BOND-BBTで学んだことを自然と仕事で活用していました。私がどんなに一生懸命働いても、Aさんとの実力の差がまったく縮まっていかないことから、「自分ももっと学ぶ必要がある」と日々痛感していました。

「仕事が忙しく、通学も時間的に厳しかったため、オンラインで学べるBOND-BBTを選んだ」という話をAさんから聞き、私はBOND-BBTに入って英語で学ぶよりも、しっかり理解できる日本語で学びたいと思っていたので、最初からBBT 大学院一択でした。

しかし、実際にBBT大学院への入学を決めるまでに3年ほど悩みました。
共働きで子どもが3人いるうえに、一番下の子はまだ小学生で手がかかること、経営大学院の大変さを聞き、続けられるだろうかと不安だったことから、「いま入学すべきか」と悩みながら、日々の仕事をしていました。

そして、具体的なきっかけがあったというよりは、「やっぱり自分は“自社製品だけに詳しい社員”として終わっていくわけにはいかない」という思いがすごく強くなってきて、その思いが頂点に達したタイミングで、BBT大学院への入学を決意しました。

企業経験のある父や、仕事をしてきた経営者の方々から自然と起業家マインドを学んできましたし、BOND-BBTの修了生である上司のNさんにも出会えて、大前先生が学長であるBBT大学院でMBA を取っていると考えると、不思議と全部つながっていますね。

人生では、一見無駄に思えたり、「何やってるんだろう」と虚しく感じたりすることもありますが、最近では「回りまわってつながっているんだな」という実感があります。
経営大学院で勉強する中でも、しんどいときもあれば、どんな風に役立つのか当時はイメージがつかない科目もありました。でも、本当に無駄なことはひとつもないと思います。

学び同士がつながり、仕事に生かせる楽しさ

――川池さんは、BBT大学院に最大在籍期間である5年間在籍し、学ばれてきました。5年間もの学びの価値とは、どんなものでしたか?


学び同士が結びついてくることが、長く学ぶことの大きな価値だと思います。

一見自分には必要がなさそうな科目でも、色々な科目を学ぶことで、学び同士がつながってきて、見え方や問題の解き方が変わってくるのだと実感しました。

最初は、それがわからなくて、一つひとつの科目を必死に勉強するだけでしたが、何年か経ってくると、科目同士の共通点が見つかったり、「この問題は前の科目の学びを生かせばうまく答えが出せそうだ」とひらめいたり…というのが沢山出てくるんですよね。それが楽しい部分でもありました。

もちろん、まだ学び同士がつながっていない段階でも、学んできたことや理解してきたことを実践の場で試し、反応や結果を見て、試行錯誤していくことはできます。
前回試してみてうまくいかなかったことも、新しく学んだ要素を盛り込んで再度試してみたりと、日々の仕事と学びをリンクさせていました。

問題解決力に関しても、問題の発見と解決策の実行を何度も試しては失敗したり成功したり、という繰り返しで、在学中から現場でブラッシュアップしてきました。
5年間の在学期間のうちで、特に後半は仕事と新しく学んだことをリンクさせる楽しさを味わっていましたね。なので、5年で修了するのが寂しいくらいでした。

各講義でしっかりノートを取っていて、もちろん在籍中も見返しましたが、修了してからは特に、このノートを事あるごとに見直しています。

仕事で「こういうときはどうしたらいいのか」と悩んだときに、時間をかけて学んだ分、「たしかこの講義で学んだな」と記憶も残っているし、ノートもバッチリ取ってあるので、それが今は大変役に立っていますね。5年間在籍した財産のひとつだと思っています。

――RTOCSも、長く続けることで変化を感じられたりしましたか?

1年目は、ほかの科目の学習も始まったばかりだったので、「どこから手をつけて、何をどうすればいいのか…」という状態で、見よう見まねでなんとか毎週答えを出していました。

それが、1年間で約50回と何度もRTOCSのお題に取り組んでいくうちに、「今回のケース(産業やビジネス)は、分析時にはこの切り口でやってみよう」とか、「今回の結論を出すときは、この切り口で考えるのがよさそうだ」とか、考えるための道具がどんどん増えていくのを実感するようになりました。そして、年数が経って慣れていくと、ファクト集めと分析に時間を割いていたのが、打ち手の検討に時間をかけられるようになりました。

1,2年目はひたすら勉強に必死でしたが、4年、5年と経ってくると、科目同士が結びついてくることで見える範囲が広くなり、正解のない問題に対しても、答えを作りやすくなりました。これも、長く学び続けたメリットのひとつだと思います。

※編集註:「RTOCS(アールトックス)」は「Real Time Online Case Study」の略称で、BBT独自のケースメソッドです。答えの出ていない「現在進行形の企業課題」をケースとして扱い、当該企業に関する調査・分析・戦略考案を自ら実施します。大前研一学長の戦略系科目において、2年間毎週1題=合計約100題 を繰り返し行います。

修了してから、後輩からケーススタディのお題をふられた際に、RTOCS的に分析をかけて、2時間程度で結論を出したんです。結論までの道筋を後輩に解説したら、「2時間でこんなにできるのか」と驚いていましたね。

使える道具が沢山身についているので、早くできるようになったのだと思います。実際は、もっと深くやらなければいけないですが、簡易的にやるのであれば、2時間程度でできるくらいになりました。

「巻き込み型」で家庭との両立を

――BBT大学院で学ぶことについて、ご家族の反応はいかがでしたか?
妻は、「あとから、あのときBBT大学院に入っていたら良かった…って言われるのはいや。やりたいんだったら、やってみたら」と、入学検討時に背中を押してくれました。

当時は国内外への出張が多く、妻も働いていたため、家庭との両立には工夫が必要でした。そこで、土日を午前1コマ、午後1コマの計4コマあるとして、そのうちの1コマは、皆でお出かけに行くなど、家族のことに時間を使おうと決めました。

もちろん、仕事と学業が忙しくてうまくいかない週もあれば、土日2日間かけて旅行に行く週もありました。でも、基本的には土日の1コマは家族の時間に充てていました。
また、今もそうなのですが、土日の料理は私が担当しているので、家族から経営大学院で勉強することに対して不満や文句などは特になかったですね。

――そのほかに、家庭との両立のために工夫していたことはありますか?
1,2か月分のスケジュールを家族内で前もってシェアしておくようにしておきました。あとは、学習の進捗状況や新しく学んだことなどもシェアしていました。

特に、妻との情報共有は大切ですよね。「RTOCSの今週のお題はあの企業だよ」などと話したり、「今週はRTOCSの課題に追われてピンチだよ。明日の昼までに結論を出さないと、一緒に買い物に行けないや」と事前に学習状況を伝えておいたりしていました。

子どもたちともよくBBT大学院の話をしていましたよ。お風呂に入りながら、「自分があの企業の社長だったらどうする?」って聞いたら、「パパ、それはね…」と答えてくれたり(笑)。

そうやって、スケジュールや学びを共有し、家族を巻き込みながら学んでいくことが、家庭と学業を両立させるコツだと思います。

入学前は想像すらできなかった変化を実感

――BBT 大学院を修了して、特にどのような力が身についたと感じていますか?

正解のない問題に直面したとき、自分なりの答えを出す力がしっかり身についたと感じています。

入学前は「MBAを取得したら、フレームワークに強くなったり、ストラテジーを考えられるようになったりするのかな」といったイメージで、こんな自分になれていると想像すらできていなかったです。

でも修了した今、「問題解決力」が鍛えられて、問題の見方や分析方法、検証の道筋などが感覚的にパッと出てくるようになりました。チームのメンバーで問題解決を考えるときにも、「こういう風に考えてみたら」といったアドバイスもできるようになったことに、自分でも驚いています。

問題解決力が身につくと、余裕ができて、何か起こっても慌てなくなりました。経営会議に参加すると、人事やマネジメントの複雑な問題も議題になりますが、そうした場面でも、BBT大学院での学びを生かし、自分の意見や解決案のしっかり発言できています。

また、現職は外資系なので、日本法人の社長も外国の方なんですね。特に西洋の方々とお仕事するにあたっては、ロジカルであることやファクトベースで発言することが求められます。そういう意味でも、BBT 大学院での学びは、グローバルな仕事をするときも大変役に立つと思います。私自身、説得力のある伝え方ができるようになり、彼らとも仕事がしやすくなったと実感しています。

入学前の自分は、上司のNさんや一緒に仕事をしてきた経営者の方々を、下から見上げているような状態だったと思います。それが、私も上へ登っていき、高い視座、広い視野で物事を見られるようになると、憧れていた方々の見方や考え方が深く理解できるようになりました。

――BBT大学院の学びを実践の場で生かしている具体例はありますか?

最近、2025年に向けて、ビジネスユニットが成長してゆくための営業のストラテジーを作りました。そのストラテジーを作るときも、さまざまなフレームワークを活用し、しっかりと分析したうえで積み上げていくストラテジーを作ることができました。他の方の作ったストラテジーの抜け漏れに気が付くくらい、解像度に上がりました。

また、現在携わっている新製品の開発でも、大前学長がおっしゃる「戦略的自由度(SDF:Strategic Degrees of Freedom)」を考え、仮説と検証を繰り返しながら行っています。
今後、自社が注力していくべき分野についても、ポートフォリオを描きながら考えることができています。

それ以外にも、BBT大学院で学べて本当に良かったなと思うのが、アントレプレナーシップやリーダーシップなどの資質やマインドに関する科目も多くあったことです。そうした学びを社内の人材育成や採用面接のときにも役立てています。

――最後に、経営大学院への入学を検討中の方にメッセージをお願いします。

私は、BBT 大学院で MBA を取り、「MBAを取ったら終わりではなく、一生学び続けていくことが大事なんだ」ということを痛感しました。

何か問題が起こるのが人生ですから、自信を持って自分で答えを出せる力をつけていきたいと思っていらっしゃる方は、BBT 大学院で学んでいただければ、学び続けることの重要性を体感できると思います。